ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝が10日から開催される。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による約5カ月の中断を経て、ラウンド16第2戦から再開となったEL。そのイレギュラーの再開初戦を勝ち抜いた8強は、中立地ドイツでの一発勝負形…

ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝が10日から開催される。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による約5カ月の中断を経て、ラウンド16第2戦から再開となったEL。そのイレギュラーの再開初戦を勝ち抜いた8強は、中立地ドイツでの一発勝負形式に変更となった異例の短期トーナメント幕開けの一戦で、ベスト4進出を目指す。

◆準々決勝◆

8/10(月)

《28:00》

インテル vs レバークーゼン

マンチェスター・ユナイテッド vs コペンハーゲン

8/11(火)

《28:00》

ウォルバーハンプトン vs セビージャ

シャフタール vs バーゼル

★インテル優位もハフェルツけん引の高速アタックに勝機

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今シーズンのセリエA2位のインテルと、ブンデスリーガ5位のレバークーゼンが対峙する強豪対決は、マンチェスター・ユナイテッドと共に優勝候補筆頭に挙げられるインテル優位と見る。

1stレグの延期に伴い、準々決勝に先駆けて中立地ドイツでのシングルマッチ形式でヘタフェと対戦したインテルは、相手のPK失敗にも助けられながらも2-0のスコアで勝利。堅守速攻、前輪駆動のプレス、ファウルを辞さない、タフな相手に苦戦を強いられたが、主砲FWルカク、途中出場のMFエリクセンが前後半に挙げたゴールを守り抜き、イレギュラーな一戦をモノにした。

セリエAから続く過密日程の影響は懸念材料も、チームに目立った負傷者はおらず。幾つかのポジションでターンオーバーの採用が見込まれるが、盤石の状態で今回の一戦に臨めるはずだ。注目はEL連続ゴール記録樹立が期待されるルカク。ヘタフェ戦でエバートン時代から続くELでの連続ゴールを8試合に更新したルカクは、2005年にニューカッスルFWアラン・シアラー(当時はUEFAカップ)が記録した最多記録に並んだ。そして、この試合でゴールを記録した場合、新記録となる。

一方、レバークーゼンはジェラード監督率いるレンジャーズ相手に2戦合計4-1の圧勝で8強入りを決定。敵地での1stレグを3-1で快勝し、大きなアドバンテージを持って臨んだホームでの2ndレグでは、再三の決定機をモノにできないフラストレーションが溜まる展開も、後半立ち上がりにFWディアビが決めた先制点を最後まで守り抜き、1-0の勝利。格下相手にきっちり連勝を飾った。

インテル戦に向けては新型コロナウイルスの陽性反応により、欠場となるMFアミリに加え、累積警告によりMFアランギスを欠くことになる。ただ、それ以外に目立った離脱者はいない。個々のクオリティ、経験の面では劣るが、今季のブンデスリーガでバイエルン、ドルトムントを撃破した高速カウンターはインテル相手にも十分に通用するはずだ。FWフォラント、ディアビ、FWベイリーら快速アタッカーの果敢な仕掛け、裏へのスプリントと共に、レンジャーズ戦では決定力に課題を残した新星MFハフェルツの奮起に期待したい。

★ユナイテッド絶対優位! コペンハーゲンは一発勝負仕様で番狂わせ狙う

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優勝候補ユナイテッドと、デンマーク屈指の名門コペンハーゲンが対峙する一戦は、ユナイテッドが圧倒的な勝ち抜け候補だ。

今季のプレミアリーグを3位でフィニッシュした好調なチームは、リンツとのラウンド16を2戦合計7-1の圧勝で突破。敵地での1stレグを5-0で大勝し、ほぼ突破を決めていたこともあり、ホームでの2ndレグは多くの主力を温存。それでも、伏兵リンガードの公式戦2試合連続ゴールに、FWマルシャルの試合終盤の決勝点によってきっちり2-1の勝利を飾った。

中立地ドイツに乗り込んで戦うコペンハーゲン戦に向けてはDFジョーンズやDFショーらを除き目立った負傷者はいない。そのため、シーズン終盤戦で躍動した若手3トップ、トップ下のMFブルーノ・フェルナンデスとベストメンバーがスタメンを飾る見込み。ただ、GKに関してはシーズンを通して批判を浴びた守護神デ・ヘアではなく、セカンドGKロメロがリンツ戦に続き起用される可能性が高いようだ。

対するコペンハーゲンは、トルコ王者イスタンブール・バシャクシェヒルとのラウンド16を2戦合計3-1で突破。敵地での1stレグを0-1で落としており、相手との実力差を考えれば、逆転突破は厳しいかに思われたが、この2ndレグでは攻守両面で相手を圧倒。前半にFWウインドのゴールで先制に成功すると、後半立ち上がりにPKからウインドが加点。さらに、MFファルクのカウンターからのトドメの3点目で相手の心を折り、3-0の快勝を収めた。

ユナイテッド相手の劣勢は必至も、チャンピオンズリーグ(CL)とELの常連は弱者の戦いを心得ており、百戦錬磨のソルバッケン監督の下、組織だった堅守速攻で番狂わせを狙う。なお、元ユナイテッドDFバレラの活躍にも期待したい。

★元ポルト指揮官同士が激突! ウルブスの高速カウンターvsセビージャの堅守

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プレミアリーグでビッグ6に比肩する実力を持つウォルバーハンプトンと、大会最多優勝クラブのセビージャによる強豪対決は、実力拮抗の今ラウンド屈指の好カードだ。

今シーズンのプレミアリーグを7位で終え、惜しくもヨーロッパの出場権を逃がしたウルブスだが、今大会で初優勝を飾った場合、CL出場権獲得も可能だ。ギリシャ王者オリンピアコスと対峙したラウンド16では2試合ともに接戦となったが、1勝1分けの2戦合計2-1のスコアで突破を決めた。ホームで1-0の勝利を収めた2ndレグでは試合序盤に得たPKを主砲ヒメネスが決めて先制に成功。以降は一進一退の攻防となったが、守護神ルイ・パトリシオを中心に粘りの守備でリードを守り切った。

難敵との一戦に向けては出場停止のポデンセに加え、前十字じん帯損傷のDFジョニーの不在が痛手となっているが、爆速アタッカーのFWアダマ・トラオレ、主砲ヒメネス、技巧派アタッカーのFWジョタの並ぶ3トップは健在だ。

一方、セビージャは1stレグの延期に伴い、一発勝負となったローマ戦を2-0の快勝で飾り、ベスト8進出を決定。セリエAを7勝1分けの8戦無敗のローマを相手に接戦が予想されたものの、攻守両面で相手を圧倒。得点は前半に挙げたDFレギロン、FWエン=ネシリの2ゴールに留まったものの、鋭いカウンター、精度の高いセットプレーから再三の決定機を創出。また、チーム一丸となった堅守を武器に攻撃力が自慢の相手に対して、ほとんど決定機を作らせない会心の勝利で、公式戦無敗を18試合に更新した。

また、ローマ戦前にコロナ陽性反応が確認されたMFグデリを除き全選手が起用可能な状況だ。ローマとウルブスは前線のキャラクター、ビルドアップへのこだわりという部分では異なるものの、[3-4-3(3-5-2)]をベースに前から圧力をかけるスタイルが比較的似ており、良いイメージを持って試合に臨めるはずだ。

なお、ヌーノ監督はかつてポルトを指揮しており、ロペテギ監督にとってはローマ戦に続き元ポルト指揮官同士の一戦となる。さらに、ウルブスの主力MFネヴェスはポルト時代にデビューさせた教え子だ。

★EL常連対決はシャフタール優位

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ウクライナ王者シャフタールと、スイス屈指の名門バーゼルのEL常連対決は、シャフタール優位と見る。

今シーズンの国内リーグでも危なげなく4連覇を達成したシャフタールは、ヴォルフスブルクとのラウンド16も2戦合計5-1の連勝で勝ち抜けを決めた。敵地での1stレグを2-1で先勝したアドバンテージを持って臨んだ2ndレグは、終始押し込む形で優勢に試合を進めた。後半半ばに互いに1人ずつ退場者を出した中、試合終盤には前がかりな相手に対して、エースFWジュニオール・モラエスの2ゴールなどカウンター3発を叩き込んで3-0の勝利を収めた。

一方、バーゼルは昨季ベスト4のフランクフルトとのラウンド16を2戦合計4-0の快勝で突破。敵地での初戦を3-0の圧勝で飾った中、ホームでの2ndレグではリスクを冒して前に出たアウェイチームの攻撃を粘り強い守備できっちり受け切った。そして、試合終了間際にはMFファビアン・フライに先制点まで生まれ、2連勝での8強入りとなった。

互いに攻守のバランスが取れた好チームだが、FWタイソンやジュニオール・モラエス、MFマルロスと前線の個の能力で勝るシャフタール優勢の試合展開が予想される。