いよいよ明日10日、東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)が開幕する。今季は1試合総当たり制で行われ、勝率によって順位が決定される。試合数が少ない分一試合一試合の重みは今まで以上に大きくなるだろう。この戦いに早大や他大学はどのような布陣で…

 いよいよ明日10日、東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)が開幕する。今季は1試合総当たり制で行われ、勝率によって順位が決定される。試合数が少ない分一試合一試合の重みは今まで以上に大きくなるだろう。この戦いに早大や他大学はどのような布陣で臨むのか。今回は早大編と他大学編に分け、各校の戦力を分析する。

★早大編


今季の注目投手である山下

 まずは投手陣、重要な試合の先発を任されるのはプロ注目のエース左腕・だろう。最速151キロの直球に多彩な変化球を織り交ぜる投球は絶品であり、も「普通に投げてくれれば普通に結果が出る」と全幅の信頼を寄せている。昨秋第2先発として3勝を挙げたも先発での起用が有力。救援陣ではエースナンバー『11』をつけるが昨年同様試合終盤の重要局面で登板する予定だ。他にも、といった経験豊富な面々がブルペンに控える中、今季注目の投手はだ。これまでリーグ戦での登板経験はないものの、恵まれた体格から投じられる質の高い直球は一級品。小宮山監督も「元気であれば5連投させたいくらい」と大きな期待を寄せており、柴田と同様に試合終盤の重要局面を任される見込みだ。


攻守の要として活躍が期待される岩本

 野手陣の注目は何と言ってもだ。4番・捕手という重責を担って臨む今季、「難しいことを乗り越えてやろうという意気込みがこちらにもひしひしと伝わる」と小宮山監督が述べるなど、非常に気合が入っている様子。攻守の要として岩本がどれだけの活躍を見せられるかに、チームの命運が懸かっていると言っても過言ではないだろう。また上位打線にはや、といった経験豊富な最上級生がそろう予定。3選手とも昨季は調子が上がらず苦い経験をしており、ラストイヤーでのリベンジに期待したい。下級生では昨年全試合にフル出場したと中軸を打つ予定の、ルーキーながら正遊撃手を務めるの開幕スタメン入りが濃厚だ。さらに今回は酷暑の中での連戦であるため、レギュラー・非レギュラーを問わず総力を挙げて戦う必要がある。小宮山監督が5試合の中でどのような選手起用を行うのかにも注目が集まる。

★他大学編


明大エースの入江

 早大の開幕戦の相手は明大。昨年全日本大学選手権を制したメンバーの大半が卒業しているが、粘り強いチームカラーは今年も健在だろう。注目はエースの入江大生。高い身体能力でプロ球界からも熱い視線を集めており、最速150キロの真っすぐが魅力だ。近年開幕戦ダッシュにつまずくことの多い早大だが、この短期決戦を制するには開幕戦の勝利が不可欠だ。少ないチャンスをものにして勝利をつかみ、次戦以降に向けて勢いをつけたい。

 次に相対するのは法大。こちらも昨年からメンバーが大きく入れ替わっているが、ポテンシャルの高い選手がそろっている。警戒したいのは3年生投手の三浦銀二。昨秋は抑えとして8試合に登板し、驚異の防御率0.00を記録した。先発の経験も豊富であり、どのような起用法をされるのかにも注目が集まっている。この難敵に対しても少ないチャンスをものにし、ロースコアの接戦を勝ち切ることが必要だろう。

 第3戦の相手は東大。野手陣には経験豊富な選手が残っており、投手陣が昨年度卒業した大黒柱・小林大雅氏の穴をどれだけ埋められているかが最下位脱出の鍵となる。今年度主将を務めるのは笠原健吾。シュアな打撃と軽快な守備が持ち味の内野手だが、2年秋には本塁打を記録するなどパンチ力も秘めている。昨季は全試合に出場しながら打率.105と悔しい結果に終わっており、ラストイヤーでのリベンジに燃えているだろう。法大戦、東大戦は連戦となるため、小宮山監督がどのように選手を起用していくのかにも注目だ。


慶大主将の瀬戸西

 そして第4戦で相まみえるのは慶大。昨年のドラフト会議で4選手がプロ入りするなど多くの主力選手が卒業したものの、今年も充実の戦力を保持し、優勝候補に挙がっている。注目は主将の瀬戸西純。下級生の頃からレギュラーとして出場していた瀬戸西だが、打順は主に下位で、どちらかというと走塁や守備の印象が強い選手だった。しかし今年からリードオフマンを務めるようになると、3月のオープン戦では先頭打者本塁打を放つなど打撃も一段とパワーアップした様子。早川も「瀬戸西が得点に絡んでくると慶応のリズムも良くなってくる」と警戒している。この好敵手を倒すことで、優勝が大きく近づいてくるだろう。

 最後にぶつかるのは立大だ。投手・野手ともにバランスよく戦力をそろえており、特に下級生の野手に好選手の多いチームだ。注目は中軸を打つであろう山田健太。昨年は春季リーグ戦の途中から4番に定着すると、秋季リーグ戦では終盤まで首位打者争いに絡む活躍を見せた。最終戦で投手陣の疲労も心配される中ではあるが、いかにこの強打者を打ち取るかが勝敗を分けるだろう。最後の力を振り絞り立大を倒すことができれば、その先にあるのは9季ぶりの栄冠だ。

(記事 池田有輝、写真 姉﨑珠有、江藤華氏、池田有輝)