1年生の時から首脳陣から高い期待を寄せられたものの、昨年はわずかな出場数に終わった鈴木萌斗(スポ3=栃木・作新学院)。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で長くなった調整期間の中で、その悔しさをばねに一体どのようなトレーニングを積んできたの…

 1年生の時から首脳陣から高い期待を寄せられたものの、昨年はわずかな出場数に終わった鈴木萌斗(スポ3=栃木・作新学院)。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で長くなった調整期間の中で、その悔しさをばねに一体どのようなトレーニングを積んできたのだろうか。3年目の東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)開幕を⽬前に控えた今、その意気込みを語ってくれた。

※この取材は8月5日に行われたものです。

「勝利に貢献するような成績を残せている」


オンラインで取材に答える鈴木萌

――新型コロナウイルスの影響で例年とは状況が違うと思いますが、どのようなことを意識して練習に取り組んでいますか

 活動ができていない部活動がある中で、試合を行える自分たちはとても恵まれていると思っています。そのため他の部活動の人たちの苦しみを自分たちが背負いながら、結果を残さないといけないと感じています。普通の練習ですが、その環境が当たり前ではないことを考えながら、練習に取り組んでいます。

――チームの雰囲気はどうですか

 リーグ戦が近づいてきてピリピリしてきているので、いい雰囲気になってきていると思います。

――現在の調子はいかがですか

 最近自分の調子はとてもいい感じになってきました。毎試合に1本は必ずヒットを打てていて、チームの勝利に貢献するような成績を残せています。リーグ戦でもこのまましっかり貢献できればいいなと思います。

――オフシーズンの期間に特に強化した部分はどこですか

 打撃面です。去年はなかなか思うようにいかず、成績が出ませんでした。その自分の打撃を1から見直して、オフ中にいろんなことを考えながらバットを振ってきました。

――3月の春季オープン戦では出場機会も多かったですが、手ごたえはいかかでしたか

 ツーストライクで追い込まれても粘ってフォアボールや泥臭いヒットでつなぐことができました。綺麗な結果じゃなくても、チームとしてつながっていると思うので、そこは調子が良かったのかなと思っています。

――自粛期間にはどのようなことに取り組みましたか

 できることはかなり限られていたので、主に素振りをしていました。また身体を大きくしようと思って、ウエイトを重点的にやっていました。

――その効果はありましたか

 体重面では4キロぐらい増量することができました。だから、自分の中では大きくなったかなという印象があります。

――対外試合が再開されてからのオープン戦での手ごたえはいかがですか

 オープン戦が始まってから少し体重が減ってしまったのですが、パワー面は強化できたという実感はありました。

――1年生の時からリーグ戦に出場されてきましたが、これまでの2年間を振り返っていかがですか

 1年生の時は少ないチャンスをものにできていたと思います。その一方で2年生になって思うようにいかなくて、自分の中でとても苦しかったです。そこを3年生になって結果で見返そうと思っています。

――苦しかった時に、モチベーションにつながっていたことは何かありますか

 2年生から3年生へ代が変わるときに、加藤さん(雅樹前主将、令2社卒=現東京ガス)の枠が空くことがわかっていたので、その枠をしっかり狙えたらなという思いがモチベーションになっていました。

――印象に残っている試合はありますか

 1年生の時の(秋の)早慶戦です。自分は外から見ていたのですが、4年生の意地がとても強く出ている試合がありました。4年生でつないで最後の最後で逆転した試合を見て、ラストイヤーにかける4年生の思いの強さを感じました。自分はまだ3年生なのですが、今の4年生に付いていって勝利に貢献できればいいなと思っています。

――今年は上級生となりましたが、昨年と意識の変化はありますか

 気持ちの面ではだいぶゆとりができましたね。でも去年までは3、4年生がたくさんいてのびのびやっていたのですが、上の学年ではしっかりしたプレーをしなくちゃいけないので意識づけは変わりました。

――雰囲気づくりのために何か意識しているものはありますか

 試合の中でいい感じでつなげたらベンチワークで盛り上がれていると思います。無駄なアウトや平凡なアウトではなく、ここぞという時にしっかりとつなぐことでチームがいい雰囲気になると思うので、試合の時は意地でも打ってやるぞと思って臨んでいます。

――チーム内でのご自身の役割は何でしょうか

 今は下位打線で打っているのですが、その中でもチャンスで回ってくる場面が多いので、そこをいかにつなげるか、次に生かせるかはとても重要になってくると思います。自分が打つか打たないかが点数に絡んでくると思うので、いかにつなげるかを一番意識しています。

――打順やポジションにこだわりはありますか

 自分の中ではあまりこだわりはないです。六大学はレベルが高いので、上位打線も下位打線も関係ないと思っています。

――激しい外野手争いが繰り広げられていますが、チーム内にライバルや意識している選手はいますか

 4年生の眞子さん(晃拓、教4=早稲田佐賀)です。1つのポジションを争っているので。今回は眞子さんのけがで自分が出ているのですが、眞子さんが帰ってきてからも自分が調子を上げて試合に出られるかが大事になってくると思います。

――走塁面ではどういったことを意識されていますか

 ピッチャーの雰囲気を見ています。自分の感覚的な問題なのですが、ピッチャーの投げる雰囲気を見てこのカウントにけん制は来ないだろうというのがなんとなく分かります。その雰囲気を読み取って、けん制がないと分かったらどんどん次の塁を狙っていこうと意識しています。

――監督やコーチからはどういったことを指導されますか

 打撃面では徳武さん(定祐コーチ、昭36商卒=東京・早実)からいろんなことを指導していただいています。バットの軌道を1から一緒に見直してくだいましたし、分からないことがあったらコーチ陣に色々と聞くようにしています。徳武コーチからのアドバイスで良くなってきていると感じています。

――自粛期間ハマったことはありますか

 ルービックキューブです。1から覚えて、2分以内にやり切ろうと自分の中でチャレンジをして、1分50秒ぐらいでできるようになりました。岩本選手(久重、スポ3=大阪桐蔭)が一時期ルービックキューブをやっていたので、それを見てやりたいなと思って自分も買ってやりはじめました。

――3年生はどういった学年カラーでしょうか

 個性豊かだと思います。野球の実力も高い選手が集まっているので、リーグ戦が近づくと1つにまとまることができるいい学年だと思っています。自分たちのスポーツ推薦組はとても仲がいいので、毎週空いていたらご飯に行くような仲です。

――鈴木選手が思う一番個性豊かな人は誰ですか

 徳山選手(壮磨、スポ3=大阪桐蔭)です。外受けはクールな感じだと思うのですが、自分たちといる時はかなりおもしろいキャラです。全然真面目じゃないというのが彼の意外な一面です。

――練習でもお互い意見を言い合うことはありますか

 聞けば答えるぐらいですね。特に何か言うような感じではないです。

――オフの日はどのように過ごしますか

 オフは自分の部屋でゴロゴロするのが好きなので、ゲームしたり、録画を見たりしています。一日中ベッドの上にいるような生活を送っています。自粛中にどうぶつの森を買って、こだわって作っていました。自粛期間が結構長かったので、結構進んじゃいました(笑)。

――試合の日のルーティンなどはありますか

 大学1年生の時から乃木坂46のインフルエンサーと欅坂46のサイレントマジョリティーの2曲を聴いて、いつも球場入りしています。音楽を聴くのが好きで、たまたまリーグ戦の時に多く聞いていたのがその2曲だったので、なぜかリーグ戦の時には必ずこの2曲を聞くようになっていました。今ではリーグ戦になったら必ずこの2曲を聴くというルーティンになりましたね(笑)。

「必ず1試合に1本はヒットを」


昨春の法大3回戦でソロ本塁打を放つ鈴木萌

――リーグ戦でのチームの目標を教えてください

 優勝です。試合数は少ないですが、5戦勝ち切って秋にもいい雰囲気で臨めるように、まずは優勝を目指して頑張っていきたいと思います。

――今年は変則的な試合形式となりますが、どのようなことを意識していますか

 一試合一試合がとても大切になると思います。投手面では総力戦になると思うので、一人一人の投手に対してしっかり対策をして臨んでいきたいと思っています。

――鍵となる対戦カードはどこだと思いますか

 やはり慶応ですね。早慶戦が一番の鍵になると思います。また開幕戦である明治も意識しています。強いチームだと思いますし、1戦目をいかに勝ちきるかが大事になると思っています。

――リーグ戦での個人の目標を教えてください

 打率を3割台に維持することを目標にしています。必ず1試合に1本はヒットを打ってチームに貢献したいと思います。

――最後にリーグ戦への意気込みをお願いします

 このような状況の中でリーグ戦ができることに喜びをかみしめて、精一杯優勝に向けて頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 瀧上恵利)

◆鈴木萌斗(すずき・もえと)

1999(平11)年6月25日生まれ。180センチ、77キロ。栃木作新学院高出身。スポーツ科学部3年。外野手。右投左打。自粛期間中でも、ウエイトを強化してパワーアップしてきたという鈴木萌選手。粘り強く、チームに流れを呼び込む打撃に注目です!