8月開催と異例なものになった東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)。昨春のセンバツで主軸として優勝の立役者となるなど、鳴り物入りで入学した熊田任洋(スポ1=愛知・東邦)は、前評判通りの大きな戦力として早大野球部に加わった。日本一を知る彼に…

 8月開催と異例なものになった東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)。昨春のセンバツで主軸として優勝の立役者となるなど、鳴り物入りで入学した熊田任洋(スポ1=愛知・東邦)は、前評判通りの大きな戦力として早大野球部に加わった。日本一を知る彼に、9季ぶりのリーグ戦優勝を目指す早大の現状、そして春季リーグへの意気込みを伺った。

※この取材は8月2日に行われたものです。

「1年の春からスタメンで出るということが目標」


オンラインで質問に答える熊田

――大学は本日より夏季休業期間となりましたが、大学の授業には慣れましたか

 本当だったらキャンパスに通って、というところでしたがそれができずオンラインだったので、何とも言えないですね(笑)。オンラインのほうには慣れました。

――全面オンライン授業となりましたが、今学期はどのようなことを学ばれましたか

 スポーツ科学部なので、スポーツの文化だったりメンタルだったりについて学びました。

――野球に生かせそうな部分はありましたか

 メンタルトレーニングで、試合前のモチベーションの保ち方だったり、ルーティーンの重要性だったりというのは生かしていきたいなと思いました。

――新型コロナウイルス感染拡大による自粛の前のことについて伺います。大学の野球にはどれくらいで慣れましたか

 自分の中では早稲田の野球部には溶け込めたかなとは思いますが、いざ試合をすると、高校と大学の違いというのが強く感じるので、まだそんなに慣れていないのかなと思います。

――具体的にはどのあたりが違うと感じますか

 投手の球質も違いますし、高校みたいには点も取れないので一つのミスが命取りになる点というのが大きく違うかなと思います。

――春季リーグ延期が決まった当時のお気持ちはいかがでしたか

 春のリーグ戦をすぐにやりたいという気持ちもあったのですが、焦らず自分のモチベーションを落とさずに技術を高めなくてはいけないな、と思いました。

――まもなくして部での集団練習も休止となりましたが、その期間の練習についてお聞きします。どのようなかたちで自主練習をしていましたか

 野球部の寮の周りで、坂でのダッシュだったり、素振り、守備の基礎練習だったりをしていました。

――試合がないということでモチベーションを保つのが難しかったかもしれませんが、その間目標にしていたことは何ですか

 自分は1年の春からスタメンで出るということを目標にしてきたので、必ずレギュラーを取るということを意識していました。

――実践的な練習が限られる中、試合勘を鈍らせないように工夫していたことはありますか

 素振りでも投手を想定して振ったり、守備でも打球に対する1歩目というのを意識したりしてやっていました。

――6月の上旬に部での練習が再開しましたが、その時に何か感じたことなどはありましたか

 いざ練習すると、自分の中では体を動かしていたつもりでしたが、やはり少し鈍っていて難しいところはありました。

――チームとしてはどのような練習に重きを置いていましたか

 短い練習しかできないので、時間を無駄にしないということはずっとチームの中で言われていました。

――熊田選手個人ではどのようなところに意識を置いていましたか

 夏のリーグ戦に向けて、短い時間でもしっかり力をつけるというのが一番で、しっかりバット振り込んで、大学生の投手に対応できるようになるということを意識していました。

――話題が変わりますが、今年は高校野球でも例年とは異なるものになっています。甲子園も中止になりましたが、出場経験のある熊田選手はどう感じましたか

 3年間きつい練習をやってきたと思うのですが、みんな甲子園を目標にその練習に耐えてきたので、その甲子園大会がなくなったというのは自分だったら3年間なんだったんだと思ってしまうと思いました。後輩とも連絡を取ったりしますが、「悔いが残らないようにしたい」と言っていて、嬉しく思いました。

――母校・東邦高校は校内に新型コロナウイルス感染者が出た影響で愛知県の独自大会への出場を辞退されました。1学年下の後輩とはどのような連絡を取りましたか

 本当に悔しいと思うけど、また次大学野球というのがあるのでそこでその悔しさを晴らせるように頑張ってほしい、とは伝えました。

――東邦高校というつながりで、同期である石川昂弥選手(中日ドラゴンズ)が1軍で安打を放つなど活躍を見せていますが、どのように感じていますか

 高校の時から凄かったのですが、プロに入って1軍の投手から安打を打っているので、同期としては嬉しいのですが、少し差がついちゃったなと感じました。自分も大学で頑張らなきゃ、というのは強く思いました。

「チームに貢献できる打撃を」


春季オープン戦・城西大戦で遊撃の守備に就き、キャッチボールをする熊田

――最近のお話に移ります。オープン戦でも国士館大戦でのタイブレークサヨナラヒットなど打撃での好調さがうかがえます

 自粛期間、大学の投手に対応できるような力強さだったりスイングだったりを心がけてやってきたので、それが今結果として出ているのでいい感触は持っています。

――木製バットへの対応は問題ないようにみえますが、いかがですか

 木製だと芯に当たらないと飛ばないですし、金属だったら抜ける打球でも木製だとそれが安打にならなかったりするので、今でも難しいところかなと感じます。

――守備面についても伺います。自粛期間中で実践的な練習が限られていたかと思うのですが、人工芝への対応も含めていかがですか

 守備は今のところ問題なくできているのかなと思います。

――開幕が迫っている春季リーグ戦について伺います。このリーグ戦は5試合のみの短期決戦になりますが、個人での目標をお聞かせください

 まず試合に出場することと、打撃では六大学のピッチャーとは初対戦になりますが、走者がいればかえせるような打撃、チームに貢献できる打撃をしたいと思います。

――対戦したい投手はいますか

 いい投手がそろっているのですが、特に層が厚いのは慶応の投手陣だと思うので、対戦してみたいという気持ちはあります。

――短期決戦ということで主戦級の投手との対戦が多くなることが予想されますが、数字に関してはどのあたりを目指したいというのはありますか

 打撃では打率3割を目指したいです。

――早大は長らく優勝からは遠ざかっていますが、今季優勝をするためのカギはどのようなところだと思いますか

 短期決戦ということで、ミスをしてしまったほうが負けてしまうと思うので、守備のミスだけでなく攻撃でもチームバッティングができなければ命取りになってしまうので、そこが重要だと思います。

――最後に、チームでの目標を教えてください

 やっぱりリーグ戦の優勝だと思います

――ありがとうございました!

(取材・編集 山崎航平)

◆熊田任洋(くまだ・とうよう)

2001(平13)年4月15日生まれ。174センチ。76キロ。愛知・東邦高出身。スポーツ科学部1年。内野手。右投左打。1年生ながら遊撃のレギュラーを狙う熊田選手。インタビュー中たびたび口にしていた「チームに貢献」という言葉からは優勝を目指す気持ちの強さを感じました!期待の大型ルーキーの開幕戦に注目です!