8月1日放送の「卓球ジャパン!」は、レジェンドシリーズ第2弾の後半戦。先週に引き続き、世界卓球2000、男子団体準々決勝日本対台湾を、メダル獲得の立役者である松下浩二と偉関晴光がDEEP解説。

この一戦のヤマ場となった団体戦の3番、松下浩二vs張雁書を第2ゲームから振り返った。



それにしても日本式ペンドライブ型の張雁書、フォアの威力がすごい。世界屈指の守備力を誇る松下が「速いボールが怖くて、腰が引けている」と語るほどなのだ。



「中国選手もフォアハンドはすごく速かったけど、台湾の蒋澎龍と張雁書はそれ以上に速い。(中国選手が使う)中国製のラバーは台から距離を取ると失速するのに、2人は日本製のラバーを使っていたからあまり失速せず、すごく速く感じる」加えてコースのわかりづらさもあり、ストレートに来るフォアドライブに松下はほとんど対応できていなかった。

そんなパワーヒッターを相手に、回転に変化をつけてミスを誘い、ドライブを織り交ぜる戦術で応戦。苦しみながらも一進一退で進み、第2ゲーム18-17でチェンジサーブ(当時は21点・サーブ5本交代制)。

「ここから僕のサーブなので、相当有利な展開のはずなんですけど......」。一気に勝負を決めたい松下だったが終盤でミスが続いてしまう。

「もうちょっとじっくりやればいいんですが、焦っているので、早くポイントが欲しいんですよね。だから自分で変化つけようとして自滅している」チャンスであるサーブからの展開をものにできず、第2ゲームを落としてしまう。

1-1となって、最終第3ゲーム。ここで松下が見せたのは百戦錬磨のメンタルコントロールだ。まず、中盤での見せ場は8-7でのプレー。

大きくフォア側に動かされた状態で、張雁書がフォアストレートに強烈なドライブ。これまで松下を苦しめてきたエースボールだが、かろうじてラケットの先に当たったバックカットが、相手コートのフォア側サイドライン上にバウンドし、張雁書がドライブミス。

「これは大きいです。今までポイントされていたところを何とかしのいだ」と松下も語るように、流れを変えるミラクルプレーだった。

そこから14-9とリードを広げたものの、流れの移り変わりが激しいのが21点制ゲーム。開き直って攻め出した張雁書がじわりじわりと追いつき、16-15の場面では松下が攻め込む展開から反撃をくらい、同点に追いつかれてしまう。

好プレーで流れを引き寄せたところからの失速、そして得点すべき展開での失点。並の選手ならば、心が折れてしまう場面だが松下は違った。

「やばいとかそういうのは思わないですね。次どういうサーブを出すとか、どういうプレーをするとかしか考えていない」

さらに20-17とマッチポイントを握ったところから、3連続失点で追いつかれた時も頭の中はいたってクール。

「最後22-20で勝つと思っていたので予定通りだなと(笑)。だからそんなに焦ってないです」と言うのだから驚きである。

笑みを浮かべながらの発言だったため、冗談っぽくとらえた視聴者もいたかもしれないが、この「22-20で勝つ」というのは、実際に松下が試合を戦ううえで大切にしていた心構えの一つ。「最終的にデュースで勝てばいい。それまでは何本失点しても問題ない」と最初から考えておくことで、試合中の心理的な乱れを抑えているのだ。このメンタルコントロール術、現役プレーヤーはぜひとも参考にしてほしい。

「絶対に勝ちます」という試合前の宣言通り、冷静に戦い抜いた松下が23-21で見事勝利をおさめた。

「気持ちが乗ってましたね。負けたくないってよりも、絶対に勝つという気持ちが強かった。だから、プレーは良くなかったけど、やるべきことはやっている」(松下)

結果がわかっていてもなお手に汗握るこの熱戦を見終えて、MC武井壮も「つっかれたー!」と大興奮だった。





次回8月8日は、JOCエリートアカデミーの長﨑美柚&木原美悠をゲストに迎える、Wみゆう特集! ツヨカワペアの強さの秘密と素顔に迫る。お見逃しなく!

「卓球ジャパン!」 BSテレ東
毎週土曜夜10時放送