「レアル、CL大一番を前に不気味な落ち着き」の記事はこちら>> 8月12日から、リスボンのダ・ルスとジョゼ・アルバラーデで、準々決勝以降を争うことになった2019-20シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)。それに先駆けて、現地時間の7日と…
「レアル、CL大一番を前に不気味な落ち着き」の記事はこちら>>
8月12日から、リスボンのダ・ルスとジョゼ・アルバラーデで、準々決勝以降を争うことになった2019-20シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)。それに先駆けて、現地時間の7日と8日には、第1戦を終えたところで中断となった決勝トーナメント1回戦の第2戦、計4試合が行なわれる。
すでにベスト8入りを確定しているのは、パリ・サンジェルマン、アトレティコ・マドリード、アタランタ、ライプツィヒの4チーム。そして以下が、残された4つの椅子を懸けて戦う決勝トーナメント1回戦だ。
・マンチェスター・シティ×レアル・マドリード(2-1)
・ユベントス×リヨン(0-1)
・バイエルン対チェルシー(3-0)
・バルセロナ対ナポリ(1-1)
(左が第2戦のホーム。カッコ内は第1戦の結果)
最大の注目カードはマンチェスター・シティ対レアル・マドリードだ。サンティアゴ・ベルナベウで行なわれた第1戦は、レアル・マドリードがイスコのゴールで先制するも、シティがガブリエル・ジェズスとケビン・デ・ブライネのゴールで逆転するという展開だった。
内容は45対55の割合でシティの優勢。アウェー戦であることも加味すれば、当時の両者の力関係は40対60ぐらいだったと想像できる。
だが、レアル・マドリードは再開後、国内リーグにおいてチーム力を上昇させた。すでに優勝を決めていた最終節のレガネス戦こそ2-2で分けたが、他の10試合にはすべて勝利を収め、もたつくバルサをあっさり逆転。最後は5ポイントの差をつける余裕の逆転劇を演じている。
最大の要因は、左利きのサイドアタッカー、マルコ・アセンシオの復帰にあると見る。攻撃はこれでよりバラエティになった。
ケガから復帰しリーグ戦優勝に貢献したマルコ・アセンシオ(レアル・マドリード)
それ以外の4人のサイドアタッカー(ヴィニシウス・ジュニオール、エデン・アザール、ルーカス・バスケス、ロドリゴ・ゴエス)は、いずれも右利きだ。中盤選手タイプであるイスコ、フェデリコ・バルベルデもサイドをこなすが、彼らも4-3-3の布陣上では、同じサイドしかできない右利きだ。
左利きの選手は、マルコ・アセンシオが復帰するまで、常にコンディションに問題を抱え、機能的とはいい難いガレス・ベイルひとりだった。そのベイルは今季のCLで117分しかプレーできていない。
レアル・マドリードの攻撃陣はつまり、顔ぶれが多い割に、変化の幅が少なかった。そこに右もこなせば左もこなすマルコ・アセンシオが復帰した。
メンバー交代5人制で行なわれることも後押しする。彼をそこにどのタイミングでどう落とし込むか。試合の行方に大きな影響を与える選手であることは間違いない。先発でいくのか、交代の切り札として使うのか。ジネディーヌ・ジダン監督の選択はいかに。
一方のシティにも光る選手がいる。20歳のMF兼アタッカー、フィル・フォーデンだ。こちらも左利きである。そしてアセンシオ同様、前回の第1戦に出場していない。レアル・マドリードにとっては未知の選手になる。身長は171センチ。久保建英と重ねたくなる選手だ。ウイングもこなせば、4-3-3のインサイドハーフもこなす。ポジションの適性でも2人はよく似ている。
シティでスタメン級を務めるフォーデンと、レアル・マドリードへの復帰が叶わない久保。年齢が1歳上とはいえ、フォーデンは現時点では久保の上をいく存在だ。実際、シティが4-0で大勝した再開後の国内リーグ、リバプール戦では、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍を演じている。
一番の違いはボール操作のステップにある。細かい久保に対してフォーデンは一歩の幅が大きめだ。久保が俊敏に見えるのに対し、フォーデンにはスケール感を抱かせる。
筆者の目には、昇り調子のレアル・マドリードをシティが再度、叩くには、新戦力の活躍は必須と見る。フォーデンの活躍が不可欠と見るが、英国最大手のブックメーカー、ウィリアムヒル社は、それぞれの突破確率を1.12(シティ)対5.5(レアル・マドリード)と、シティにかなり肩入れした予想をしている。せいぜい1対3程度ではないかと思うのだが。
4試合の中で最も順当に収まりそうな試合は、バイエルン対チェルシーだろう。ホーム戦を3-0のリードで迎えるバイエルン。注目はその試合内容だ。このチームこそ優勝争いの本命だと思うからだ。さしたる根拠があるわけではないが、CLを長く見ていると、ぼんやりと順番のようなものが見えてくる。そろそろこのチームが勝つ番ではないか、という順番だ。
優勝に飢えているビッグクラブ。戦力的にもフレッシュで、底が割れていない未知なる魅力を備えたチーム。それでいて正統派。バイエルンは、時代の中心に位置するオーソドックスなサッカーを実践する。ピッチを広く使う展開力に富んだダイナミックなサッカーだ。
前述のウィリアムヒル社も、シティとともにバイエルンを本命に推す(4.33倍)。以下は、すでにベスト8入りを決めているパリ・サンジェルマン(6倍)、バルサ(9倍)、アトレティコ(9倍)、アタランタ(10倍)、ユベントス、ライプツィヒ(15倍)......と続く。しかし、だとすれば、21倍で9番手につけるレアル・マドリードが、より面白い存在に見えることも事実。繰り返すが、カギを握る選手はマルコ・アセンシオだ。
バルサ対ナポリは、ナポリに例年のような元気がないので、サッカー的に冴えのない状態が続くバルサでも、なんとかなる気がする。
一番の接戦はユベントス対リヨンだろう。しかし、その結果が優勝に大きな影響を与えるようには見えない。ユベントスのレベルは毎年少しずつ落ちている。
リスボンで行なわれる準々決勝は、ホーム&アウェーなしの90分1本勝負だ。流れ的には、すでにベスト4入りを決めているチームより、7日、8日に試合をする4チームのほうが有利に見える。ここで一番いいサッカーをしたチームが、そのまま勢いに乗る気がしてならないのだ。