ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチを中心に2019年ラグビーワールドカップへ向けてスタートした日本代表だが、初陣を勝利で飾ることはできなかった。11月5日、東京・秩父宮ラグビー場に18,235人の観客を集め、昨秋のワールドカップでベスト…


 ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチを中心に2019年ラグビーワールドカップへ向けてスタートした日本代表だが、初陣を勝利で飾ることはできなかった。11月5日、東京・秩父宮ラグビー場に18,235人の観客を集め、昨秋のワールドカップでベスト4入りしたアルゼンチン代表(現ワールドランキングは日本より3つ上の9位)に挑み、20-54で大敗。壁は厚く、南米の雄から18年ぶり2度目の勝利を挙げることはできなかった。

 初采配を振った指揮官は、「試合の強度はトップリーグとは全然違う、選手たちが初めて感じる強度だったと思う。情熱、パッションはあったが、ミスもあり失点につながった。けれども、選手の戦いは嬉しく思っている」と試合を振り返った。
 昨年のワールドカップで3勝1敗という歴史をつくったメンバーから大きく変わった。この日は初代表の13人がデビューするなど、若い布陣で臨んでいた。敗れたものの、ジョセフ ヘッドコーチは奮闘した選手たちを称えた。
「初キャップの選手たちにはおめでとうと祝福の気持ちを送りたい。桜のジャージーを着るということ、日本代表でプレーするというプライドをしっかり見せてくれた」

 日本は立ち上がりよく、PGで先制した。出足鋭いタックルで相手の突き刺さり、場内を沸かせたシーンもあった。が、アルゼンチンは冷静にボールキープして次々とつなぎ、トライを奪って逆転した。
 注目のスクラムは序盤こそ互角だったが、アルゼンチンは昨年のワールドカップでドリームチームに選出された右PRラミロ・エレラなどが次第に強さを発揮し、ジャパンのコラプシングを誘った。スクラムでペナルティを得たアルゼンチンはPGで得点を重ねる。35分にはラインアウト後、SHマルティン・ランダホがスペースを突いて抜け出し、サポートしたSOニコラス・サンチェスにつないで2本目のトライを挙げた。

 6-21でハーフタイム。

 後半早々、日本はラインアウトボールをスチールされ、テンポよく攻めたてられ失点する。48分(後半8分)にはクイックスローインから果敢に攻めようとしたが、パスをカットされてカウンターを許し、アルゼンチンに4トライ目を奪われた。

 スピーディーにボールを良く動かし、キックも織り交ぜながら果敢にアタックするも、相手の堅守に阻まれなかなかゴールラインを割れなかった日本は、52分にNO8アマナキ・レレイ・マフィがインゴールにねじ込みTMOでトライが認められたが、流れは変わらなかった。
 61分、アルゼンチンは自陣でのスクラムからの攻撃で、CTBマティアス・オルランドが抜けて敵陣深くに入り、テンポよくつないでSOサンチェスがトライ。65分と75分にも日本のディフェンスは破られ、54失点することとなった。

 守りについてジョセフ ヘッドコーチは、「これまでとは違うスタイルを試しているところ。相手のアタックを見極めきれなかった部分もあった。疲れてくると判断が悪くなることがあるので、しっかり取り組んでいきたい」と語る。スクラムについては、「アルゼンチンはニュージーランド、オーストラリア、南アフリカと2回ずつ試合をやってきた上でこの試合に臨んでいた。我々はスクラムセッションは少なかったにもかかわらず、体格の大きい相手FWに対してよくやった。コーチはいい仕事をしてくれたと思う」とこれからの成長を期待している。

 大差がついたゲームとなったが、試合終了前、日本はスクラムで反則を得て速攻を仕掛け、右へ展開してWTBレメキ ロマノ ラヴァがトライを挙げて意地を見せた。

「日本は常に攻撃を積極的におこなうというアイデンティティを持っていると思う。そういう部分はワールドカップのときのチームとなんら違わない。そういう部分をずっと持ち続けているチームだと思う」
 そう評したのはアルゼンチンのダニエル・ウルカデ ヘッドコーチだ。そして、新たな出発を切った日本に対して経験豊かな知将はこうも言った。
「若い選手は、国を背負って、代表になったんだという非常に強い気持ちと誇りがあって、普段よりプレーを急いでしまってエラーにつながった部分もあったと思う。しかし、2019年のワールドカップへ向けて、ロングスパンで考えた上で、新しい選手を起用してチームを一つにまとめていくということは、ラグビーというスポーツでは必要なこと。だから、今回はいいスタートが切れたのではないか」

 新生ジャパンはこれから少しずつ「ONE TEAM」になっていく。6日からヨーロッパ遠征へ出発。そして、ジョージア代表、ウェールズ代表、フィジー代表に挑む。