7月25日放送の「卓球ジャパン!」は、大好評のレジェンドシリーズ第2弾! 「卓球ニッポン!復活の日」と題して、15年ぶりのメダルを決めた世界卓球2000男子団体準々決勝を、激闘の当事者である松下浩二&偉関晴光が2週にわたってDEEP解説する…

7月25日放送の「卓球ジャパン!」は、大好評のレジェンドシリーズ第2弾! 「卓球ニッポン!復活の日」と題して、15年ぶりのメダルを決めた世界卓球2000男子団体準々決勝を、激闘の当事者である松下浩二&偉関晴光が2週にわたってDEEP解説するという、まさに"レジェンド"な回となった。

今でこそ、日本チームのメダル獲得は珍しくないが、当時は中国はもちろんのこと、その他のアジア勢、ヨーロッパ勢も強く、メダルへの道はかなり険しい時代。15年もメダルから遠ざかっていた日本男子が、強豪台湾との大一番を総力戦の末に制した日本卓球史に残る名勝負である。

まずこの一戦を振り返る前に注目したいのが、日本のオーダーだ。



1 田崎俊雄 vs 蒋澎龍
2 偉関晴光 vs 荘智淵
3 松下浩二 vs 張雁書
4 偉関晴光 vs 蒋澎龍
5 田崎俊雄 vs 荘智淵

ここまで8戦全勝と今大会絶好調のキャプテン・松下を2点使いではなく、3番に配置。このオーダーの裏には松下の並々ならぬ思いがあったのだと明かされた。

実は前夜のミーティングでは、松下を2点使いにし、直前のドイツ戦の3番で敗れた偉関は出場しないオーダーで固まっていた。しかし「私は蒋澎龍には分が悪くて勝つチャンスがなかった。偉関さんはアジアの選手に強かったので、私が2回出るよりも、偉関さんと田崎が出て、私は3番で確実に勝つオーダーの方がいいと思った」という松下が、前原正浩監督に偉関の起用を直訴したのだ。

本来、監督が決めたオーダーに選手が口出しすることはないし、それで変更することもないが、この時は松下の熱意が上回った。

「(直訴は)僕も人生の中で1回だけ。本来であれば、選手は意見を言ってはいけないが、私自身も32歳で最後のチャンスだと思っていたので、どうしても勝ちたかった。最後は前原監督が大きな器で変えてくれたので、今でも感謝しています」(松下)



そしてスタートした日本対台湾。

日本は1番のペン表速攻型の田崎が台湾のエースの蒋澎龍に対して、持ち前の"カミカゼスマッシュ"で攻め立て互角の戦いぶり。終盤で不運なエッジがあり惜しくも敗れたものの、良い流れを作り出した。

「田崎は負けたけどすごくいい試合して、チーム全体の雰囲気は全然動揺してなかった」と、田崎からバトンを受け取った偉関が、2番でパーフェクトなプレーを見せる。



実は、前日ミーティングでオーダーから外されていた偉関が台湾戦の出場を聞いたのは当日の朝。自分が試合に出るとは思っていなかったため前の晩も遅くにホテルに戻り、試合の準備も一切していなかった。当日はユニフォームも1着しか持っておらず「まさか2試合出るとは......」とかなり驚いたと言う。

しかし「前日まで遊んでいた人とは思えないプレー(笑)」と松下が冗談を言うほどに、37歳の鉄人・偉関は強かった。

相手が苦手とするフォア前を軸に多彩なサーブで翻弄。得意の回り込みフォアドライブを次々と決め、相手の荘智淵がゲーム終盤で戦意を喪失するほどに叩きのめしたのだ。

そんな偉関のプレーでMC平野早矢香を驚かせたのが、レシーブで見せた台上フォアドライブ。台から出るか出ないかのハーフロングサーブを台上からのドライブ強打で仕留めるテクニックは、ダブルスで世界を2度制した偉関ならではのプレーだろう。

ゲスト解説者として偉関のことは知っているが、実際のプレーを見るのは今回が初というMC武井壮も、「(今までは)可愛いおじさんみたいなイメージだったのに(笑)」と、予想を上回るキレッキレのプレーに最後まで感心しきりだった。

またこの一戦は、番組でも度々名前があがる荘智淵にも注目が集まった。今では台湾代表の大黒柱であり、琉球アスティーダの一員としても活躍する大ベテランの人気Tリーガーだが、当時は18歳のフレッシュボーイ。偉関の老練な台上テクニックに揺さぶられたものの、ラリー戦では切れ味鋭い両ハンドドライブで鉄壁のブロックを打ち抜くなど、若々しいプレーを披露した。



そして偉関が取り返し、1-1となって3番に登場したのが、キャプテンの松下。

ここで自分が取らねば、オーダーを変えてもらった意味がない。相手はワールドツアーで敗れている強敵だったが「僕は絶対勝ちますから」と宣言してコートに入ったと言う。

それほど気合いに満ちた一戦だったがゆえに、プレッシャーもかなりのもの。「何試合も国際大会に出ていますが、この試合が本当に一番緊張しました」と松下は当時の心境を振り返る。

緊張によるプレーの固さに加えて、張雁書の強烈なフォアドライブに腰が引けてしまい、らしくないカットのミスが出てしまう。それでも「守りになるとフォアハンドで打たれてしまうので、積極的に変化と攻撃をミックスさせて得点しようという作戦でした」という松下は、サーブからの3球目攻撃で得点し、ラリーでは打球点を落とした絶妙なナックルカットで相手のミスを誘った。調子は上がらないながらもじわりじわりと追いついてくる相手をなんとか退け、第1ゲームを21-19の接戦でものにした。


続く第2ゲームは......といきたいところだが、残念ながら今週はここで終了。
次週8月1日に松下の激闘の続き、そしてラスト5番で田崎がメダルを決める歓喜の瞬間を大公開。お見逃しなく!

「卓球ジャパン!」 BSテレ東で
毎週土曜夜10時放送