> リバプールの新記録達成は叶わなかった。 7月15日に行なわれたアーセナル戦で、リバプールは1−2で敗戦。この結果、残り2試合で連勝しても勝ち点は99ポイントとなり、2017−18シーズンにマンチェスター・シティが樹立した最多勝ち点記録(…
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リバプールの新記録達成は叶わなかった。
7月15日に行なわれたアーセナル戦で、リバプールは1−2で敗戦。この結果、残り2試合で連勝しても勝ち点は99ポイントとなり、2017−18シーズンにマンチェスター・シティが樹立した最多勝ち点記録(100ポイント)には届かないことになった。
アーセナル戦で効果的にボールに絡んだ南野拓実
振り返れば、シーズン前半戦のリバプールは破竹の勢いで勝利を重ね、18勝1分無敗(55ポイント)の驚異的なペースでシーズンを折り返した。新記録達成での国内制覇にも期待がかかったが、新型コロナウイルスの感染拡大によるリーグ中断で、リバプールの勢いは大きく萎んだ。
リーグ再開後の成績は、7試合で3勝2分2敗。明らかに調子を落としているが、それも仕方がないだろう。
リーグ中断前は2位のマンチェスター・Cに25ポイントの大差をつけ、優勝をほぼ手中に収めていた。そして、リーグ再開から2試合を終えたところで優勝を決めると、CL敗退がすでに決まっていることもあり、モチベーションの維持が難しくなった。
1−1で引き分けた前節のバーンリー戦も、好調時に比べるとコンディションの悪さ、キレのなさが目立った。今節のアーセナル戦も、DFフィルジル・ファン・ダイクとGKアリソンのミスから2失点。守備の柱に軽率なミスが出ているあたりに、心理面での難しさが垣間見えた。
試合後、ユルゲン・クロップ監督も「集中が切れていた。あのようなミスが出てしまえば、試合に勝つことはできない」と嘆いた。
さて、今回のアーセナル戦で、南野拓実は後半16分から途中交代で出場した。
投入時のスコアは1−2で追いかける展開。ロベルト・フィルミーノとの交代で4−3−3のCFに入った。この時間帯のリバプールは攻撃が停滞しており、前線を活性化する必要があった。
投入後、南野は効果的にボールに絡んだ。1分後にはFWサディオ・マネから縦パスを引き出し、ペナルティエリア内から左足でシュート。枠を外したが、精力的に動き回りながら要所要所で顔を出し、試合の実況でも「シャープな動きで、南野が攻撃にエネルギーを加えている」と褒められていた。
最大のチャンスは後半22分の場面で、ゴール前のこぼれ球が南野の足もとに入った。ゴールに押し込みたかったが、アーセナルのDFキーラン・ティアニーに身体を入れられ、日本代表MFは体勢を崩した。そのまま倒れていればPKになる可能性もあったが、チャンスをモノにできなかった。
その2分後には、左SBアンドリュー・ロバートソンからパスを受け、南野はダイレクトでマネに叩いた。国内リーグデビューとなったウォルバーハンプトン戦(1月23日)ではリバプールのプレースピードになかなか入っていけなかったが、アーセナル戦ではチームのリズムに合ってきた印象を残した。この点はプラス材料だ。
だが試合は、このまま1−2で終了。南野は2本のシュートを打ったが、結果を残すことはできなかった。
試合後のメディア評価は「まずまず」といったところで、地元紙リバプール・エコーは「投入直後にシュート。リバプール攻撃陣にエネルギーを与えた」として7点。「攻撃をエネルギッシュにした」と評した英衛星放送スカイスポーツは6点、英紙タイムズも6点の及第点をつけた。
今季も残すところ2試合。南野としてはゴールやアシストなど目に見える結果がほしいところだが、来シーズンに向けてコンビネーションの精度もさらに高めたい。周囲との連係が向上すれば、ゴールやアシストにつながるからだ。
「南野は周りに生かされるタイプの選手」と語るのは、日本代表でチームメイトの吉田麻也。以前、次のように話していた。
「(南野は周りを)生かすタイプというより、(周りに)生かされるほうだと思います。(日本)代表のパフォーマンスも、いつも完全にそうなので。ただ、(リバプールでの)スピードやプレー強度はこれまでのものとはまったく違うものになるので、そのへんは早くアジャスト(適応)しないといけないと思います」
本拠地アンフィールで行なわれる次節チェルシー戦のあとには、30年ぶりに国内リーグの優勝セレモニーが行なわれる。ひざにケガを抱える主将のジョーダン・ヘンダーソンもセレモニーに出席する見通しで、ユルゲン・クロップ監督らとともにトロフィーを天に掲げるだろう。
だが、南野としては次節でチャンスを掴みたい。最多勝ち点記録もなくなり、残り2試合のどちらかで、先発のチャンスがまわってくる可能性は高い。
ここで結果を残せるか——。残り試合のパフォーマンスは、勝負の年である来シーズンにもつながってくる。