専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第264回“コロナショック”で、わずか3カ月の間に、ゴルフのルールや仕様がかなり変わりました。 キャディーバッグのセルフ運搬やスループレー、バンカーのレ…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第264回
“コロナショック”で、わずか3カ月の間に、ゴルフのルールや仕様がかなり変わりました。
キャディーバッグのセルフ運搬やスループレー、バンカーのレーキ撤去など、たくさんあります。それに対して、ものの見事に合わせる、我々の適応能力に驚いています。
しかも昨年、R&A(英国ゴルフ協会)とUSGA(全米ゴルフ協会)によるルール改正がありました。ピンを立てたままパターを打てるとか、OBの措置も暫定球を打たずに前進2打罰でよろしいとか、ほかにもドロップの仕方や最大スコアの設定など、ルールやマナーが激変したのです。
ここで言いたいのは、たった2年でこれだけゴルフの常識が変わったのですから、今から30年後のゴルフなんて、ものすごく変貌しているのではないか、ということです。ロボットの『Pepper』くん2050年バージョンが、キャディーをやっているかもしれません。う~ん、大いにありうる。
というわけで、気候変動からテクノロジーの進化を含めて、未来のゴルフについて、いろいろと予測していきたいと思います。
(1)地球温暖化の影響は?
地球温暖化が進んでいることは、みなさんも、十分に承知していますよね。これ以上、暑くなってはかなわん!? と思いつつも、もはや諦めの境地にもあります。
現在の東京は、およそ30年前と比べると(ヒートアイランド現象も加味して)平均気温が2度ぐらい上がった、と言われています。それは、約30年前の宮崎県と一緒ぐらいだそうです。
ということは、30年後の東京は、現在の沖縄、あるいはバリ島くらいの平均気温になってしまうのでしょうか。「バンザ~イ! 関東にいながら、南の島に行ける!!」……って、そういうことではないです。
遠い未来、地球温暖化によって海面が上昇。例えば、東京が水没し
「南国化」するなかでも、ゴルフを楽しんでいる人はいるんでしょうね...。illustration by Hattori Motonobu
東京が”南の島化”したら、どうなるのか? あまりにも紫外線が強いので、肌へのダメージを考慮して、むしろ半袖のポロシャツの中に、長袖のインナーを着るようになっているんじゃないですか。
沖縄でゴルフをしていると、地元のゴルファーのみなさんは、長袖のインナーを着ています。能天気に、半袖、短パンでプレーしているのは、本州から来たお客さんだけです。
暑くなって、厚着となる現象。これが、30年後に起きるんですな。
(2)ベント芝は大丈夫か?
沖縄のゴルフ場のグリーンは、高麗芝が多いです。気温が高いため、寒冷型のベント芝は育ちにくいのです。高麗芝以外では、バミューダ、ティフトン、耐塩性に強いシーショアパスパラムなどの暖地型芝が多く使用されています。
というわけで、30年後、本州のゴルフ場でもベントグリーンが味わえるのは、高原のコースのみ、ということになるかもしれません。
暖地型芝は、癖があって、カップの手前でよく切れたりします。そして、冬場には、芝の色がくすむなどの弊害があります……とか言いながら、30年後には、本州のアマチュアゴルファーたちもバミューダ芝にすっかり慣れて、「フロリダにいる気分だ」などと言って、普通にプレーしているかもしれませんけど。
(3)ルールの簡略化
R&A自体が、若者のゴルフ離れを危惧しています。しかしながら今後、30年ほど時が経てば、ゴルフ環境も初心者がプレーしやすい方向に変わっているんじゃないですか。
今後起こりうる、ルール変更や環境の変化を予想してみましょう。
・「最大3パット」ルール
グリーンで何回もパットを打つのはしんどいです。いずれ、グリーン上は「最大3パット」というルールになるんじゃないですか。ひょっとしたら、「最大2パット」になっている可能性も……。今の流れからすると、十分にあり得ます。
・「マリガン」の一般化
朝イチのティーショットにおいて、失敗したらもう一度打てる「マリガン」は、アメリカでは一般的です。朝から胸糞悪いOBなんて、誰もしたくありません。日本でもとっとと「マリガン」を採用しましょう。素晴らしい慣習になると思います。
・ディボット跡からは打たない
どこぞの原理原則主義者が、「ゴルフは平等の精神が大事だから、ありのままに打つべし」と言っていますが、どうなんでしょう?
滅多にないナイスショットをして、気分よくセカンド地点に行ってみたら、ディボット跡にボールがあった!? これを打て、ということのほうが、よっぽど不平等だと思うんですけどね。
だいたいアマチュアゴルファーが、ディボット跡からうまく打てるわけがありません。芝生の保護の観点からも、”傷口に塩を塗る”ようなことはやめましょう。
もちろん、これらはすべて、プライベートラウンドでのことですよ。試合では、”あるがままに打つ”が基本でしょう。
(4)スループレー&ナイターゴルフが定着
“コロナショック”でスループレーが増えて、その有りがた味がわかってしまうと、今後はスループレーが当たり前になるかも。新型コロナウイルスの感染予防対策もありますが、コース側としても、スループレーのほうが、午前スタートと午後スタートがあって、スタート枠が多く取れるメリットがありますからね。
現にこの4月、新しくリニューアルされた太平洋クラブ八千代コース(千葉県)は、スループレー専用コースとしてグランドオープンしました。このように、何かのきっかけで、コースを改造したり、リニューアルしたりしたゴルフ場は、スループレー専用コースに切り替えるのはアリでしょう。
ナイターゴルフに関しては、一時流行ったものの、ゴルフ人口が減少して下火になりました。でも、都会のゴルフ場がナイターでコースを開放すれば、再ブームの可能性は大いにあります。
都市部にあるゴルフ場は、おおよそ古い名門コースですが、「うちらは地主だから」とふんぞり返って、一般にまったく開放しないでいることはできません。公益法人化しているコースは、地域に貢献する義務が発生するからです。
そうしないと、公益法人の認可が下りませんしね。だから、埼玉や神奈川の名門コースには、県民開放デーがあります。
それと同じ理屈で、都心に住む住人のニーズに応えるべく、都内のコースでも地域住民開放デーがあっても、いいと思うんですよね。それを、ナイターゴルフで開放する、というのはいいんじゃないでしょうか。今は、LED照明なので、電気代も安いですから。
そうやって30年後、都心でのナイターゴルフが一般化しているといいなぁ~。
(5)空飛ぶ車で移動
その登場はすでに今、散々話題になっているので、さすがに30年後には、空飛ぶ車が一般にも販売され、それに乗ってゴルフに行く人も出てくるのではないでしょうか。
空飛ぶ車というと多くの人は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくるデロリアンみたいな、家から離陸する車を連想するわけですが、それは法律的には難しいです。やはり、新木場などにあるヘリポートからのフライトになると思います。
実際に、バブルの頃には、ヘリコプターを利用してゴルフに行っている人がいました。今でも、ツアーなら5、6万円の費用で、ヘリコプターを利用できるみたいですよ。
それが30年後には、各地域に空飛ぶ車用のヘリポートが増設され、それを活用して、ゴルフに行ったり、旅行に行ったりする人が増えるんじゃないですか。
(6)ゴルフ場の自動化
今から30年も経ったら、ボールにチップが埋め込まれて、スマホで探せるぐらいのことはできるでしょう。そうすると、ズルはできませんね。
大型ドローンを使った薬剤散布、肥料撒きなどは、普通に行なわれていると思います。
でも、ゴルフのラウンドはこれ以上、ハイテクで楽になっても困ります。我々は、お金を払って、面倒くさいことを楽しんでいるのですから。
極端な話、コースに行かずにゴルフができるようになっても、それはちょっと違うな、と思います。進化は、ほどほどがよろしい。
30年後と言えば、私は91歳。たぶん生きていないでしょう。30年後の未来を見られるみなさんのことは、それだけで羨ましいです。若いって、素晴らしいなぁ~。