ニューヨークの地元紙「デイリー・ニューズ」は「ワールドシリーズのベストパフォーマンスを振り返る」と題した特集記事を掲載。7つの「パフォーマンス」の中に、2009年のワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜氏(ヤンキース)の活躍も選出されている…

ニューヨークの地元紙「デイリー・ニューズ」は「ワールドシリーズのベストパフォーマンスを振り返る」と題した特集記事を掲載。7つの「パフォーマンス」の中に、2009年のワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜氏(ヤンキース)の活躍も選出されている。

■NY紙が選ぶ歴代WSベストパフォーマンス、2009年の松井秀喜氏も選出

 カブスとインディアンスが世界一を目指す第112回ワールドシリーズは2試合を終え、1勝1敗のタイとなっている。28日(日本時間29日)からはシカゴのリグレー・フィールドに舞台を移し、3試合が行われる。第1戦ではインディアンス先発クルーバーが3回までに8奪三振を奪うなど6回4安打無失点と快投し、6-0で勝利。一方、カブスは第2戦で先発アリエッタが6回途中を1失点と好投し、若き強打者のシュワーバーが2打点の活躍。守護神チャップマンはワールドシリーズ史上最速の104.1マイル(約167.6キロ)をマークして試合を締め、5-1で快勝した。

 クルーバーやチャップマンの投球は球史に残るものとなりそうだが、ワールドシリーズでは過去にも数多くの名場面が生まれている。ニューヨークの地元紙「デイリー・ニューズ」は「ワールドシリーズのベストパフォーマンスを振り返る」と題した特集記事を掲載。7つの「パフォーマンス」の中に、2009年のワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜氏(ヤンキース)の活躍も選出されている。

 NY地元紙の記事は「ヒーローは記憶に残るが、レジェンドは決して死なない」という“野球の神様”ベーブ・ルースにまつわる名言から始まる。「ポストシーズン、偉大な野球選手たちは遺産を残してきた。その多くは(野球殿堂のある)クーパーズタウンにこそいないが、時を経て彼らの伝説はMLBで言い伝えられている」と、現在も語り継がれる伝説的な活躍について回顧している。

■今でもヤンキースタジアムでは大歓迎を受ける松井氏

 ワールドシリーズで絶大な強さを発揮した強打者として、真っ先に名前が挙がるのはレジー・ジャクソンだろう。「ミスター・オクトーバー」の異名で知られる“レジェンド”について、特集では「レジー・ジャクソン以上にワールドシリーズを体現する選手はいないだろう。ヤンキースの代名詞とも言える1977年ワールドシリーズ第6戦の3本塁打は史上最高の場面だ」と紹介。その名場面をベストパフォーマンスの筆頭に挙げた。

「ヤンキースに来る以前も、ジャクソンはポストシーズンで活躍を見せていた。彼はオークランド・アスレチックスが3年連続ワールドシリーズ制覇を成し遂げた際の選手だ。1973年にはワールドシリーズMVPを受賞している」

 記事では、レジー・ジャクソンの偉大な功績について、このように紹介。ただ、本当の伝説が生まれたのは、ヤンキース移籍後だったとして「1977年、彼はニューヨークのワールドシリーズ進出に貢献した。そして伝説的瞬間が生まれた。最終戦となった第6戦、ジャクソンは3本塁打、5打点を記録した。ヤンキースでは1928年のベーブ・ルース以来となる偉業だ。ジャクソンは打率.450、5本塁打、8打点という成績を残し、2回目のワールドシリーズMVPを受賞した」と「ミスター・オクトーバー」のベストパフォーマンスを振り返っている。

 さらに、2011年に敗退寸前からの勝負強い打撃でレンジャーズ初の世界一を阻止した当時カージナルスのデビッド・フリース、2001年にヤンキース相手に7試合で3勝を挙げてダイヤモンドバックスを初の世界一に導いたランディ・ジョンソン、2014年にロイヤルズ相手に2勝1セーブの活躍でジャイアンツのワールドシリーズ制覇に貢献したマディソン・バムガーナーとMVP獲得者の名前が並ぶ。

 そして、この次に「ヒデキ・マツイ」が登場する。2009年の活躍は、今でもファンの心に強烈に刻まれており、セレモニーなどで松井氏がヤンキースタジアムに姿を現すと、スタンディングオベーションで迎えられる。

■「ヤンキースをマツイが救出した」「打席上のマツイは手がつけられなかった」

「2009年、ワールドシリーズ制覇から遠ざかっていたヤンキースをマツイが救出した。6試合中3試合しか先発してないが、打席上のマツイは手がつけられなかった。マツイは打率.615、3本塁打、8打点を記録。第6戦では、4打数3安打6打点を記録。本塁打1本に二塁打を1本放ちヤンキースは7-3で勝利した。ヤンキースは世界一。マツイはMVPに輝いた」

 世界一を決めた第6戦で、1試合6打点を挙げた松井氏。2回に先制2ランを放つと、3回には2点タイムリー、そして5回にも右中間フェンス直撃の2点二塁打を放った。直後に二塁上で「MVPコール」を受けた松井は、その後の打席で再び「MVPコール」を受けた。ヤンキースがその後、世界一から遠ざかっていることもあり、現在もニューヨークでは絶大な人気を誇る。

 特集ではさらに、1967年のワールドシリーズで3勝を挙げたカージナルスのボブ・ギブソン、そして1928年に打率.545、4本塁打、9打点と驚異的な活躍を見せてヤンキースを4連勝での世界一に導いたルー・ゲーリッグが取り上げられている。

 長いワールドシリーズの歴史の中でも特筆すべき活躍で“伝説”を残した松井氏。その記憶は薄れることなく、これからも語り継がれていくことになりそうだ。