「三菱 全日本テニス選手権91st」（本戦10月22～30日／2846万円／東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート／ハードコート）の本戦7日目は、男子シングルス準々決勝と女子シングルス準決勝および混合ダブルス準決勝が行われた。…

 「三菱 全日本テニス選手権91st」（本戦10月22～30日／2846万円／東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート／ハードコート）の本戦7日目は、男子シングルス準々決勝と女子シングルス準決勝および混合ダブルス準決勝が行われた。

◇　　　◇　　　◇

　18歳の綿貫陽介（グローバルプロテニスアカデミー）の快進撃が続いている。3回戦で第1シードの守屋宏紀（北日本物産）を破ったのに続き、準々決勝では第5シードの竹内研人（北日本物産）を6-2 6-4のストレートで退けた。

　第13シードの綿貫は18歳らしからぬ落ち着きで、竹内の緩急をつけたラリーにも動じなかった。

「スライスで緩急をつけたりコースを突いたりしてくるとわかっていたから、ある程度ラリーが長くなると想定していた。セカンドセットはリードされる場面もあったが、気持ちに余裕はあった」

　経験豊富な並み居る先輩プレーヤーたちを次々に破っても笑顔はない。

「それほどうれしいということはない。先もあるし、自分のテニス自体は足りないという気持ちが強い。ボールの質は上がり切っていないし調子自体もよくないので、もやもやするところはある」

　勝ったあとの記者会見とは思えないほど反省の弁が続いたが、それでも「勝負どころを取りきることができているのが成長したなと実感するところ」と自身の試合運びを冷静に評価した。

　頂点まではあと2勝。自身で合格点を与えるプレーをしたときにどんな結果が待っているのか、期待が高まる。

　その綿貫と準決勝で対戦することになったのは第15シードの小ノ澤新（イカイ）。諱五貴（明治大学）とのサウスポー対決を6-4 6-7(4) 6-2で制して自身初のベスト4入りを果たした。

　ファイナルセットはともに足に限界を感じながらの激闘となったが、最後は28歳の小ノ澤がプロの意地を見せて突き放した。

「僕の課題はメンタル。12月に結婚が決まっていて彼女もずっと応援してくれているので、今日はなんとしても勝ちたかった。これで生活費を稼ぐことができた」と小ノ澤は笑顔を見せた。

　一方、敗れた諱は「悔しい負け方だったが、プロとの体力の差が出た」。卒業後は就職を決めている諱は「これが最後の試合」と言い、降雨のため試合途中からコロシアムでの再開となったことに感謝した。

「コロシアムで試合をするのは初めてで、緊張したけど楽しかった。インドアも好きだし、ここでできたのもよかった」

　気持ちのいいほどのフォアハンドの攻撃力で全日本の台風の目となった諱は「最後までやり切れた」と充実感を漂わせたが、コロシアムの雰囲気は彼に少しだけプレーヤーとしての未練を残したかもしれない。

◇　　　◇　　　◇

　連覇をねらう第2シードの内山靖崇（北日本物産）は第12シードの高橋悠介（フリー）を6-3 6-4で退け、準決勝に進出。また、第3シードの関口周一（Team REC）は第11シードの江原弘泰（日清紡ホールディングス）を6-4 6-1で破り、自身初のベスト4入りを決めた。

　両者の対戦成績は、プロ入り後は内山が7勝2敗とリードしているが、「（内山の）クセはわかっているし、やってくることもわかっている。よく試合も見ているので、どうプレーするかじっくり考えたい」と関口。

「一緒に練習もするし、オフコートでも仲がいい（関口）」という2人が、準決勝で激突する。

（テニスマガジン／ライター◎田辺由紀子）