専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第262回 プロのトーナメントが始まり、ホッと胸をなで下ろしております。そのまま毎週開催とはなりませんが、時々試合を見ることができれば、励みになるし、ゴルフ業界全体が盛り上がっ…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第262回

 プロのトーナメントが始まり、ホッと胸をなで下ろしております。そのまま毎週開催とはなりませんが、時々試合を見ることができれば、励みになるし、ゴルフ業界全体が盛り上がって、いいムードになります。ぜひとも、トーナメントが定期的に開催される日が早く来てほしいと思う、今日この頃です。

 さて、本題に移ります。今回は、プロががんばり始めたので、アマチュアもがんばらなきゃ、というお話をしたいと思います。 

 では、プロとアマの単純な比較をしてみます。

 ゴルフ業界において、プロとアマチュア、どちらの売り上げが大きいでしょうか?

 プロは、トーナメントの売り上げ、テレビの放映権料、広告料、契約金などを含みます。片や、アマチュアは、約600万人いるゴルファーのラウンド代、練習代、ゴルフ用品の売り上げなどです。

 これは、迷うことなく、アマチュアです。バブルの頃と比べると半分ぐらいになったとはいえ、まだおよそ600万人もの人が定期的にラウンドしている――その経済活動のほうが、断然大きいです。

 つまり、ゴルフ業界全体を盛り上げるなら、プロの試合も重要だけど、我々アマチュアゴルファーの日頃のラウンドが大事、と言いたいのです。何事も「小さなことからコツコツと」と、西川きよし師匠も言っているではないですか。

『レジャー白書』によると、ゴルフ業界の市場規模はざっと1兆3500億円(2015年)。内訳は、用具販売が3390億円、打ちっぱなしが1350億円。そして、ゴルフ場の売り上げが8780億円となっています。以降、今年は別にして、その市場規模はほぼ横ばい状態になっているようです。

 やはりみなさん、ゴルフ場でお金を落とすんですね。

 ちなみに、プロの試合の売り上げはどうかというと、1試合の費用が10億円未満です。賞金、入場料収入、会場での物販、テレビ放映権料などを入れても、その程度です。ツアー全部で100試合もないので、アマチュアの10分の1程度の売り上げとなります。

 とにかく、デカいのはゴルフ場の売り上げです。バブルの頃は、18ホールのコースで年間10億円を売り上げたコースがあって、話題になりました。当時は景気がよくて、予約は常に満員。プレー代も高騰し、年間7~8億円を売り上げるコースがざらにありました。

 それが、バブル崩壊で売り上げが落ち込み、年間の売り上げが5億円を切るのも当たり前に。酷いと、3億円、2億円と下がって、ゴルフ場を維持していくことが大変な状況になりました。

 コースの管理・維持だけで、年間1億円はかかると言われています。その費用を削ったら、芝は荒れ放題。グリーンは重くなって、雑草まで生えてくる始末です。すると、お客さんがさらに減って、売り上げがさらに低下。売りに出されるゴルフ場が続出しました。

 そうして現在、日本にはメンバーコースが2400、それにパブリックコースを加えて、ざっと2500のゴルフ場があると言われています。それら全体の売り上げが、8780億円。それを2500のコースで割ると、およそ3億5000万円。1コースあたりの平均売り上げとなります。

 この数字、妙にリアルですね。もちろん、売り上げ2億円のコースもあり、5億円稼ぐコースもあっての平均ですけどね。

 3億5000万円という売り上げは、ざっくり言うと、1日の売り上げが約100万円ということです。平日と土日ではプレーフィーに違いがありますが、100万円の売り上げは、1万円を支払うお客さんが1日、100人いればいいわけです。

 要するに、毎日25組が4バックでしっかり入れば、ちょうど3億5000万円の経営が成り立つんですな。18ホールのコースの満員枠は、約50組(日照時間で変化あり)ですから、ちょうど半分のお客さんが入れば、十分というわけです。

 一方、お客さん目線で見てみると、約600万人のアマチュアゴルファーが1人1万円のプレー代を支払うとして、1年間で14回通うと、8400億円の売り上げとなり、ゴルフ場全体の売り上げに近い数字となります。

 1回に支払うプレー代や年間のプレー回数には、個人差があります。1回3万円のコースで年間3回プレーする人もいれば、1回3980円のコースに年間50回通う人もいるでしょう。ともあれ、それらすべてをひっくるめて”アマチュアゴルファーは月イチゴルファー説”が、おおよそ成り立つことが面白いと思いました。

 翻(ひるがえ)って、ギアやグッズの売り上げですが、先述した用具販売3390億円という数字からすると、約600万人いるとされるアマチュアゴルファーの消費額は、年間でひとり平均5万6000円程度となります。これは、ドライバーを買う人もいるし、ボールとティーしか買わない人もいて、あくまでも平均額です。

 何にしても、買い物とラウンド代を合わせて、アマチュアゴルファー1人あたりの、年間の消費額は約20万円。さらに、交通費や飲食代、宿泊費なども加えると、平均で年間約30万円ぐらいでしょうか。その出費額は、なかなかのものです。




「ゴルフ界を盛り上げるために!」とは言っても、無駄遣いは禁物ですよ...。illustration by Hattori Motonobu

 我々がいかに日本経済に貢献しているか、もっとアピールしてもよろしいのではないでしょうか。

 過去2カ月ほどは自粛生活を送っていて、出かけるとしたら公園を散歩する程度でした。もちろん、公園利用だけなので、ほとんどお金は使っていません。だから、クレジットの請求額が極端に少ないんです。日頃、ゴルフや飲み食いなどに、どれだけたくさんのお金を使っていたのかってことですよね。

 6月初旬の段階で日経平均の株価は、なんと”コロナショック”前の水準、2万3000円台に到達しました。その後、紆余曲折ありますが、一旦戻ったのは事実です。

 2008年のリーマンショックによる暴落では、元に回復するまでに5年もかかっているんですよ。それに比べると、今回の”コロナショック”による立ち直りの早いこと。2月の末に2万3000円台だった株価は、3月の中頃で1万6000円台まで下落。それが底値でした。そこから3カ月弱で、何事もなかったように株価が戻ってしまうとは……。

 底値の時は、世界の株式の時価総額が、1週間で1000兆円も吹っ飛んだと言われています。それもなんだかなぁ~、あくまでも机上の空論ですからね。

 株を持っていて、底値で売った人は大損をしていますが、1月から6月までず~っと持っていた人は「あれ? 株価、前に戻ってんじゃん」となります。あくまでも結果論ですが、今回はじたばたせずに何もしなかった人が”正解”だったようです。

 というわけで、ゴルフですが、こちらもじたばたせずに、普通にラウンドを復活させましょう。私はすでに2回ほど復帰戦をこなしましたけど、以前と変わらないスコアに、妙にホッとしたりして……。

 現状では、プロの試合は時々しか開催できません。けど、アマチュアのラウンドはいつでも可能になっています。我々が消費拡大をして、ゴルフ業界全体を賑やかにしていきましょう。

 マスクをしたり、バンカーのレーキがなかったりといったこともありますが、それはそれで”ウィズコロナ”と割り切って、時代の流れに従っていきましょうか。