ゴルフファンにとって、誰より女子プロゴルファーにとって、待ち焦がれた国内女子ツアーが、約3カ月半遅れ(16大会連続中止)で開幕する。無観客ながら、アース・モンダミンカップ(6月25日~28日)/千葉・カメリアヒルズCC)が開催される。 大…
ゴルフファンにとって、誰より女子プロゴルファーにとって、待ち焦がれた国内女子ツアーが、約3カ月半遅れ(16大会連続中止)で開幕する。無観客ながら、アース・モンダミンカップ(6月25日~28日)/千葉・カメリアヒルズCC)が開催される。
大会を前にして、渋野日向子はオンラインの記者会見で笑顔を弾けさせた。
「月曜日に行なったトレーニングで筋肉痛があること以外は、コンディションに何も(問題は)ない。元気いっぱいです!」
「元気いっぱい」という渋野日向子
師事する青木翔コーチは、自粛期間中、渋野がギアを上げすぎないように気を遣い、追い込んだ練習を避けていたという。新シーズンは、来年末までおよそ1年半続く。来夏には、近い将来の最も大きな目標である東京五輪もある。シーズンが開幕していない段階で力が入りすぎては、とても来年末まで、体力も、気力も、もたないという判断から、練習の密度をセーブしたのだった。
「(昨年末のオフから自粛期間にかけては)なるべく地元でしっかり練習して、課題としていたアプローチを重点的にやってきました。58度やピッチングウエッジ、9番アイアンで転がすアプローチもちょこちょこと。その成果を試合で試せたら、今後の米ツアーだったり、日本ツアーだったりで、レベルの高いゴルフができるんじゃないかと思う」
昨年の同大会では4位に食い込み、人生を一変させることとなった全英女子オープンの切符を手にした。験のいい大会なだけに、好結果を残し、新シーズンへの勢いをつけたいところだ。
「初めて出場したのが、2018年。(その大会初日に)ホールインワンもしたことがあって、昨年は全英の出場が決まって、思い出深い大会です。この試合から2020年が始まるし、過去2年の大会と比べても、いい状態で臨めると思う。昨年より、もっと上位を目指せるようにがんばりたいな」
全選手が会場入りの際に検温を義務づけられ、コーチを含めた全スタッフもPCR検査を受けた。そして、試合は無観客と、感染防止対策を万全にしての大会となる。
「思った以上に、自分の声をカメラのマイクが拾っちゃうと思うので、(プレー中に発する)言葉には気をつけなきゃと思います(笑)」(渋野)
その渋野と昨季、最終戦まで賞金女王レースを争って勝利した鈴木愛は、新シーズンの開幕を前に、彼女らしいネガティブな意気込みを口にした。
「こんなに早く(シーズンが)開幕するとは思っていなくて、(開幕は)もう少しあとを想定していました。(その分)思った以上に、ショットが間に合っていない感じ。アイアンは切り返しのタイミングが合わず、そのアジャストができていない。
でも、ドライバーはいいし、パターも調子がいい。ショットでどれぐらい(カップに)つけられるかがカギを握るかな。(無観客で開催されることは)ちょっと寂しい。キャディーさんに盛り上げてもらって、自分の気持ちを高めてゴルフに集中したい」
両者に加えて注目を集めるのは、安田祐香と吉田優利という2000年生まれ(ミレニアム世代)のふたりだ。大親友で、プロテスト合格も同期となるふたりは、国内デビュー戦の初日を同組で回る。
「いよいよだなって。不安とか、緊張もあるけど、楽しみのほうが強い。(吉田とのラウンドは)試合では2回目。うれしいです」
そう話したのは、高校2年生の時に日本女子アマを制した安田。一方の吉田も、安田とのデビュー戦には「楽しみと、ドキドキと、いろいろな感情があります」と話し、こう続けた。
「いつも練習している仲間なので、一緒に回れることがすごくうれしい。開幕が本当に待ち遠しかった。コースが難しく、(プロになって)プロのセッティング(でプレーするの)も初めて。コースマネジメントなど、今まで習ってきたことを全部、生かせたらいいなと思います」
昨季ツアーを席巻した「黄金世代」に、今季は話題の「ミレニアム世代」も加わる。ギャラリーのいない情景にあって、彼女たちの笑顔がより輝いて見えるだろう。