膝に手をついたまま、しばらく動けない選手たちの姿が印象的だった。F東京は昨季、Jリーグ史上初のアウェー8連戦を戦った。連戦最後の相手は、残留争いをする磐田。ラグビーW杯開催により本拠地・味の素スタジアムが使用できず、真夏の8月から敵地での連戦が続いていた。FW永井謙佑、MF橋本拳人、DF室屋成ら主力が代表活動に参加するなど、選手の疲労はピーク。1―0で勝利を告げる笛が鳴る。肉弾戦を制した永井は、その場であお向けに倒れ込んでいた。全員が力を出し切り、連戦を乗り越えた。

 原動力になった試合がある。昨年10月の鳥栖戦だ。1―1の終了間際、相手のオフサイドとハンドのようにも見えた疑惑の得点で、同年シーズン初の3戦未勝利。首位から陥落した。試合後、選手らは複雑な思いを吐露し、長谷川健太監督(54)も、審判への敬意を前提に「すぐには整理できない」と口にしたという。それぞれの心の糸が切れそうになった。

 オフ明けのミーティング。指揮官は清水の監督を務めた09年の話をした。その年は、残り6試合で首位に立ったが、その後5連敗などで7位に終わった。連戦に加え、首位のプレッシャーと闘う選手を思い「俺らは何もなく始まったチームだから。これから、順位が1位か2位か3位になるかもしれないけど、今まで俺らがやってきたサッカーを最後まで続けていこう」と伝えた。

 14年にG大阪を率いて3冠(リーグ、リーグ杯、天皇杯)を達成した経験も持つからこそ、言葉に重みがあった。主将MF東慶悟は「何を言われても説得力がある。選手だと常に1位にいたくて意識する人もいるけど、最後に1位になっていればいいと言ってもらえると、安心して次の試合に臨める。そんな監督を信頼しているし、優勝させたいと思った」。奮い立った選手たちは、その後の神戸(3〇1)、大分(2〇0)、磐田と3連勝で敵地の連戦を締めくくった。

 昨季はあと一歩で優勝を逃し、2位。選手は「今年こそタイトルを」と口をそろえる。勝ちたい、監督を勝たせたい―。かなわなかった、リベンジに燃える思いは強い。(F東京担当・小又 風花)

 ◆FC東京 1935年創部の東京ガスサッカー部が母体となり、97年に東京ガスフットボールクラブに改称。98年にはプロクラブ化。「FC東京」と改称して、99年からJリーグに参戦した。獲得タイトルはナビスコ杯(2004、09年)、天皇杯(11年度)。ホームタウンは東京都で、クラブカラーは青と赤。ホームスタジアムは味の素スタジアム(収容4万8955人)。