メジャーリーガーの名産地として知られているドミニカ共和国。2013年のWBCでは名だたるメジャーのスター選手で構成された代表チームが他国を圧倒し、全勝優勝を飾った。 しかし、この国は伝統的に国際大会では目立った成績を残していない。ドミニカ…

 メジャーリーガーの名産地として知られているドミニカ共和国。2013年のWBCでは名だたるメジャーのスター選手で構成された代表チームが他国を圧倒し、全勝優勝を飾った。

 しかし、この国は伝統的に国際大会では目立った成績を残していない。ドミニカ人にとって野球はあくまで金を稼ぐ場。国際大会で国の名誉をかけて戦うという意識はさほど高くはない。メジャーリーガーが参加しないプレミア12は、その開催時期が国内ウィンターリーグとも重なっていることもあり、メンバー集めには野球連盟も苦労している。

【写真提供:共同通信社】中日のエンニー・ロメロ

 今回のメンバーも、この秋のアリゾナ・フォール・リーグでもプレーしたエレウリス・モンテロ(カージナルスマイナー)のような有望株もいるにはいるが、メジャーリーガーはおろか、ウィンターリーグ各チームの主力を除いたマイナーリーガー主体の構成となったようだ。

 その中で、頼りになるのはやはり「日本組」だ。投げる方では中日のエンニー・ロメロ、先日巨人を退団したサムエル・アダメス、打撃陣では広島のアレハンドロ・メヒア、楽天を退団したカルロス・ペゲーロが今回の代表チームを引っ張っていくだろう。

【写真提供:共同通信社】広島のアレハンドロ・メヒア

 日本組を除くメンバーで実績のあるのは、メジャー通算149勝のアービン・サンタナだが、今年で36歳。今シーズンはホワイトソックスで3度先発したものの1勝もできずリリースされ、メッツとマイナー契約を結んで3Aで4勝4敗、1Aで1勝1敗ということで全盛時の力はない。

 また、メジャー通算107セーブのネフタリ・フェリス(エスコヒード/ドミニカウィンターリーグ)も今シーズンはプロリーグでのプレーの形跡がなく、スカウトへのアピールのためかウィンターリーグを離脱しての参加となっている。

 彼らの他に、メジャー経験者としては、2017年にカブスで19試合マウンドに立ったアリエル・エルナンデス(レンジャースマイナー)、ダイヤモンドバックスなどで3シーズンプレーした外野手、アルフレド・マルテ(ニュージャージー/米独立カンナムリーグ)がいるが、現在の所属が示すようにさほど怖い存在ではない。

 ドミニカといえば、そのパワーあふれるバッティングがイメージされるが、今シーズン、独立系のアトランティックリーグのソマセットでファーストのレギュラーを務めたエドウィン・エスピナルやインディアンズの1Aと2Aでプレーした外野手オスカル・ゴンサレスあたりがレギュラーを務めねばならない攻撃陣は、他国と比べてどうしても見劣りがする。

 投手陣も、マイナーの下位クラスのピッチャーが中心で、メキシカンリーガーをそろえるメキシコ、キュラソー組をそろえるオランダ、豊富な選手層のアメリカといった国々と戦うメキシコラウンドを突破するのは難しいと思われる。
 

文=阿佐智