保坂典子のAmerican Cheer Life Vol.6皆様こんにちは!NFLのシーズンも中盤に入り始め、ますます毎週日曜日が楽しみで仕方がありません!皆様が応援されているチームの調子はいかがでしょうか? 今年はかつて所属していたレイダ…

保坂典子のAmerican Cheer Life Vol.6

皆様こんにちは!NFLのシーズンも中盤に入り始め、ますます毎週日曜日が楽しみで仕方がありません!

皆様が応援されているチームの調子はいかがでしょうか? 今年はかつて所属していたレイダースが好調なので、私はウキウキモードです!

試合を見て気付かれた方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、10月はブレストキャンサー(乳がん)アウェアネス強化月間として、トレードマークカラーであるピンクを選手、チアリーダー、関係者すべてが身につけて、検診を促進したり、戦っている方やサバイバーである方を応援や賞賛したりする月であります。私も今月早速乳がん検診の予約を入れました。女性読者の皆様も是非、この機会に検診を受けてみてください。

さて今回のお題は日本人が優れている点、海外で日本人であることを生かすコツについてお話ししたいと思います。

日本で生活していた頃、私は欧米の方々に強い憧れを持つ人間でした。しかし、アメリカで生活をしている今は、自分が日本人であること、日本で育った事にとても感謝し、誇りを持っています。

アメリカに来た当初は、アメリカ人に比べて顔が大きく手足も短いため容姿に自信がなく、堂々と振まえませんでした。頑張ってアメリカ流に馴染もうと、無理をしてチームの皆から人気がある子や、素敵だと思われている子、リーダー格の子の行動を観察し、真似をしたこともありました。

今思えば、当時の私は劣等感の固まりみたいなものでした。

『早くみんなに追いつかなくちゃ!』『迷惑をかけてはいけない!』

そんな思いから、練習前はもちろん、自分自身だけでなく他のメンバーが注意された事や、教えてもらったコツなどを思い出しながら自分自身で練習し、習ったルーティンは必ず完璧に覚え練習に臨んでいました。

おそらく日本人ならば多くの人が『そんなの当たり前』と思われるでしょう。しかし、ある時、こうした行動がアメリカでは高い評価につながることに気づきました。

自己主張が強い人が多いアメリカで、人の意見を静かに聴き実行する、言われた事、注意された事を、素直に直す事ができるというのは大変な長所として評価されるのです。

特にNFLチアリーダーは、アメリカ人のお年頃の女性40人が集まって一つのものを作り上げようとするわけですから、ただでさえ時間がかかります。

ディレクターやキャプテンは一回注意して直してもらえれば、仕事が早く終わり仕上げる事が出来るので、素直にアドバイスを聞いてくれるメンバーはありがたい存在なのです。上下関係が厳しい日本で生きてきた私にとって、先輩の言うことを聞くのは当たり前です。しかし、アメリカは先生にあたるディレクターにさえ、敬称をつけずに名前で呼び合う文化です。注意される毎にどうしてできなかったかの理由が述べられ、自分は悪くないという事を主張します。日本でいうところの『いいわけ』をすることが当たり前になっています。

ある日の練習でその『理由』が述べられる時間が多い時があり、しびれを切らしたディレクターが『私はどうしてできなかったかの理由を聞く時間をこれ以上割くつもりはない。典子のように、注意された事にありがとうとひと言だけ言いすぐに直すという行動を皆もしてほしい』と言いました。

ディレクターやキャプテンなど、上の立場の人が見ていないところでも一生懸命で手を抜くことなく、小さい約束やルールを守り、立場に関係なく誰に対しても誠意的に接していたことも評価されていたと思います。

技術的にダンスが上手いとか、容姿が素敵とか、最初からミスをしないということで褒められたことはありませんでしたが(苦笑)、態度や物事に対する姿勢でチームに貢献する事が出来ることを学びました。そして私が『ザ・アメリカ』とも言える組織であるNFLの歴史あるチーム、レイダースのチアリーダー『レイダレッツ』の一員として活動できたのは、日本人として当たり前の道徳や行いをそのまま実行したからだと思っています。

その証拠に、レイダレッツではチームメイト40人の投票で決まる新人賞に選んでいただきました。

私よりダンスが上手い子も、容姿がとても素敵で、とても賢くキャリアがある女性がいる中で私が選ばれたのは、私の日本人としてのアイデンティティの部分が評価されたからでしょう。

もし、昔の私のような欧米人コンプレックスを持っている方は、『日本人らしさ』に誇りを持っていただけたら嬉しいです。

では、今日もスマイルで!

 

Noriko Hosaka

獨協大学卒業後、Xリーグチアリーダーを経て2008年に渡米。NFLワシントンレッドスキンズ、米国室内プロフットAFLサンノゼセイバーキャッツ、NFLオークランド・レイダースと米国で計6年間、チアリーダーとして活動。現在はNFLを目指すチアリーダー向けのワークショップを開催するなど、後進の指導にあたっている。サンフランシスコ在住