紺碧の空の下、体育各部新入生が早稲田の街を練り歩く——これが例年の新人パレードの様子である。地域の方々、応援してくださる方々への感謝を表して行われる一大イベントだが、今年は新型コロナウイルスの影響により中止に。また、入部式も大隈講堂での…

  紺碧の空の下、体育各部新入生が早稲田の街を練り歩く——これが例年の新人パレードの様子である。地域の方々、応援してくださる方々への感謝を表して行われる一大イベントだが、今年は新型コロナウイルスの影響により中止に。また、入部式も大隈講堂での開催は断念された。それでも、「新入部員や皆と紺碧の空や校歌を歌いたい」という思いからオンライン形式での開催が検討され、競技スポーツセンターのみならず体育各部実行委員会や体育各部学生らが一体となり、早稲田スポーツ史上初となるオンライン形式での体育各部入部式が実現された。

 400人を超える体育各部新入生が、画面上に会するという異例の光景。内容としては、式辞、体育各部実行委員会からの激励、早稲田アスリート宣言の唱和、代表による宣誓、校歌斉唱などが例年通り行われた。


総勢400名以上が参加。隣同士で「W」の文字を作った(写真提供:競技スポーツセンター)

 約2ヶ月にわたって活動が制限されていた部活動だが、大学生活は既にスタートを切っている。石井昌幸競技スポーツセンター所長からは「早稲田のスポーツは社会の中にある。早稲田大学体育各部の一員として、今日からしっかりと自覚して取り組んでほしい」というメッセージが、これからエンジを背負っていく新入部員たちに伝えられた。新入生部員宣誓に選ばれた清水大成(スポ1=大阪・履正社)は、「改めて4年間頑張ろうという気持ちが強くなった。この現状を悲観的に捉えず、今、自身のやるべきことに真摯に取り組み、更にステップアップできるよう今後の自分に活かしていきたい」と意気込みを語った。

 約1時間に及んだ式の最後には、応援部の宮川隼代表委員主将(人4=千葉・市立稲毛)と、安田直矢代表委員主務(教4=県岐阜)による指導の下、校歌斉唱が行われた。「直接校歌を届けさせていただきたかったという想いはある」(宮川隼代表委員主将)と悔しさも滲ませたが、動画に合わせながら、総勢430名はそれぞれの自宅から腕を振り、心を一つに校歌を歌った。


校歌斉唱の様子。各自が自宅で腕を振って参加した(写真提供:競技スポーツセンター)

 この数ヶ月で、当たり前だった日常はすっかり変貌してしまった。しかし今回のオンライン入部式のように、離れていても、心は一つになれるのではないか。困難な状況だからこそ、「われらが行手は窮り知らず」の精神で前を向き、新たな生活へと歩み出していくことが求められるだろう。

(記事 布村果暖)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

佐藤清彦(競技スポーツセンター事務所)

――完全な中止ではなくオンライン形式での開催を決定した理由はどのような点にありますか

佐藤 新型コロナウイルス感染症への対策のため、当初はやむをえず入部式を中止する予定でした。しかし、競技スポーツセンターでは、「新入部員や皆と、”紺碧の空”や”校歌”を歌いたい」という気持ちから、オンラインでの入部式を開催する検討をスタートしました。せっかく早稲田大学に入学し、体育各部に入部した新入生の皆さんが、なかなか思うように活動できていない現状で、少しでも「早稲田大学体育各部の一員」として実感を持ってもらえるきっかけとなればと思いました。体育各部実行委員会の皆さんや体育各部の先輩方のご協力を沢山頂きながら、開催することができました。

――実現までの経緯で大変だったことは

佐藤 通常、大隈講堂で行う「入部式」や、高田馬場から早稲田大学まで行進する「新人パレード」であれば、長年の実績や経験もあります。実行委員会や応援部の皆さんに直接、新入部員へご挨拶いただいたり、校歌指導を行っていただいたり、地域や早稲田スポーツファンの皆様から直接激励をいただいたり、一生の記憶に残るようなイベントでした。今回のオンラインは、全く初めての試みであり、400名を超える参加者数にネットワークが耐えられるのか、またリハーサルなし、新入部員の皆さんに分かりやすく伝えることができるか、心配ばかりでした。結果、無事、最後まで滞りなく終了することができました。部長、監督、コーチを含め、430名の方々に参加いただきました。新入生も緊張している様子でしたが、しっかり取り組んでくれたと思います。これも、体育各部実行委員会、応援部が工夫してくれたり、ラグビー蹴球部丸尾主将が「早稲田アスリート宣言」のリードを取ってくれたり、先輩の声を新入部員に届けることもでき、良い会になったと思います。やはり、4年生は頼りになりますね。

進藤綾香(競技スポーツセンター事務所)

――新人の宣誓を担う新入生はどのように決定されましたか

進藤 体育各部実行委員会が選出してくれました。これは毎年のことですが、早稲田大学の体育各部に入部する1年生には、宣誓や表彰式に慣れているので、全く問題なかったです。オンラインでもスムーズにやってくれたと思います。

――体育各部以外の新入生にメッセージはありますか

進藤 早稲田大学新入生のみなさん、入学おめでとうございます。まだ、思い描いていたような早稲田大学の生活はまだできていないと思います。しかし、みなさんが伸び伸びと生き生きとキャンパスで活動するときが必ず来ると思います。それまでは、できることをしっかりとやっていきましょう。早稲田大学では、学業をしっかり行うことはもちろんのこと、課外活動その他で、向上心と実行力で充実した4年間を過ごすことができると思います。自分の目標、夢に向かって、がんばってください。
また、ワセダや仲間を感じることができる、そのひとつに「早稲田スポーツの応援」があります。試合が開催された暁には、ぜひお友達と応援にいらしてください!そして、応援歌「紺碧の空」や「早稲田大学校歌」を歌いましょう。
最後に、早稲田大学体育各部の多くは、現在も新入部員を募集しています。興味のある方は、ぜひ各部のWEBサイトにお問い合わせください。

野球部 清水大成(スポ1=大阪・履正社)

――オンライン入部式に参加した感想をお聞かせください

清水 今年はオンラインでの入部式となりましたが、新入生代表として宣誓を務めさせていただき大変ありがたく思っております。改めて4年間頑張ろうという気持ちが強くなりました。

――登校できないという予期せぬ状況が続いていますが、現在の大学生活についてどのような思いがありますか

清水 新型コロナウイルスの影響で思うような大学生活が送れていませんが、この状況でしかできないこともあると考え、物事をプラスに捉えて行動するよう心掛けています。

――自粛期間はどのようにトレーニングを行なっていましたか

清水 これまでの競技生活の中でもここまで自分の時間がとれたことはなかったので、体力作りや体幹トレーニングなどの基礎的な動きから見直して練習していました。

――現在持っている、部活での目標は

清水 いち早くチームに貢献できるような選手になりたいと思っています。

――これからの活動に向けた抱負があればお願いします

清水 新型コロナウイルスの影響で思うように練習ができない期間が続いていますが、この現状を悲観的に捉えず、今、自身のやるべきことに真摯に取り組み、更にステップアップできるよう今後の自分に活かしていきたいです。

応援部 宮川隼代表委員主将(人4=千葉・市立稲毛)

――例年とは異なる、オンライン開催になったことについてどう思われますか

宮川 私が1年生で新人パレードを経験した時に早稲田の町全体で応援をしてくださっているという意識を持つことが出来、とても素晴らしい環境がある大学の体育各部の一員として活動を行えることを誇りに思い、モチベーションが上がりました。
今年のその様な経験をさせてあげることが出来ず、その点が一番悔しいです。

――参加された感想は

宮川 オンライン入部式中の新入生の様子も拝見をさせていただきましたが、どうしても新入生の顔が若干戸惑っていた様に見えました。
特に校歌斉唱の際には映像と音声がずれてしまう等もあり、戸惑いは大きかった様です。しかし、その中でも懸命に一拍を行おうとする姿が多くの新入生から見られたことは嬉しかったです。ただどうしても、これから早稲田スポーツを担う新入生の皆さんにお会いして直接校歌を届けさせていただきたかったという想いはあります。

――部内で、新入生と話したりする機会はありましたか

宮川 私は未だその様な機会はありませんでしたが、6月中にはリーダーの入部希望者一人一人とリモートで話させていただこうと考えています。
新入生の中には高校の頃から応援部に入部したくて、早稲田大学に入学をしたという新入生が何人もいると聞いて話をするのがとても楽しみです。

――体育各部新入部員および新入生全体へのメッセージがありましたらお願いします

宮川 現役学生の多様性に留まらず、OBOG、早稲田の地域の方々等、これだけ様々な人が関わり一体となっている大学は少ないと思います。そういった中でこれから「早稲田」というものを好きになる機会が数多く訪れると思うのでかたちは千差万別だと思いますが、全力で早大生を楽しんでいただければと思います。