15日、世界耐久選手権(WEC)第7戦「6 HOURS OF FUJI」の公式予選が富士スピードウェイにて行なわれ、熾烈な接戦の末にロイック・デュバル組のアウディ8号車がポールポジションを獲得した。トヨタ勢も好調で3-4位。まさに秋の好天と…
15日、世界耐久選手権(WEC)第7戦「6 HOURS OF FUJI」の公式予選が富士スピードウェイにて行なわれ、熾烈な接戦の末にロイック・デュバル組のアウディ8号車がポールポジションを獲得した。トヨタ勢も好調で3-4位。
まさに秋の好天といっていい気象条件となった予選日の富士。午前中に1時間の最終フリー走行を終えたのち、各陣営は午後2時台の公式予選に挑んだ。
WECの予選はプロトタイプ(LMP)カテゴリーとGTカー(LMGTE)カテゴリーに分かれての、各20分間のセッション。1台あたり2~3名のドライバー登録があるうちの2名のベストタイム平均によって順位を決める。
3大メーカーが競う最高峰クラス「LMP1-H」のポールポジション争いは今年もスーパーフォーミュラ級の超絶に速いタイムレベルでの争い、しかも最終的に3社計6台の予選平均タイムが0.564秒差以内におさまる大激戦に(トップ5は0.286秒差)。セッション中は0.005秒差で順位入れかわりが連発する状況もあったほどだが、そのなかでポールを獲得したのは#8 アウディ(L.ディ・グラッシ & L.デュバル & O.ジャービス)だった。
「ベリークロース、ベリークロース!」と言いながらポール会見場に姿を見せたのはディ・グラッシだが、まさにそういった戦い様であった。最終的な予選1~2位の平均タイムの差は0.025秒。そして僚友デュバルも「我々(3社)は近いところに居る」と戦況について話す。
昨日のフリー走行では#1 ポルシェに1秒近い差をつけられていたアウディ勢だが、デュバルは「ベストタイムを出した時の搭載燃料量が違ったのではないか」と語るなど、ライバルとのパフォーマンス差が見た目のタイム差ほどではないことを示唆していた。それにしても予選から(トヨタ勢を交えて)ここまでの接近した戦いになるとは、観る側にとって嬉しい誤算。富士に訪れた観客は大いにエンジョイできたことだろう。
決勝レースに向けてもトップ3に3メーカー1台ずつという状況、デュバルは「タフな戦いになる」と推測する。決勝もこのまま接戦が続きそうな気配が高まってきた。
LMP1-Hクラスの予選結果は以下の通り。
1位 #8 アウディ(L.ディ・グラッシ & L.デュバル & O.ジャービス)1分23秒570
2位 #1 ポルシェ(T.ベルンハルト & M.ウェーバー & B.ハートレー)1分23秒595
3位 #5 トヨタ(A.デビッドソン & S.ブエミ & 中嶋一貴)1分23秒739
4位 #6 トヨタ(S.サラザン & M.コンウェイ & 小林可夢偉)1分23秒781
5位 #7 アウディ(M.ファスラー & A.ロッテラー & B.トレルイエ)1分23秒856
6位 #2 ポルシェ(R.デュマ & N.ジャニ & M.リーブ)1分24秒134
#8 アウディは現在ドライバーズランク2位で、トップの#2 ポルシェを追っている。ポールの1点を得たことで差は36.5点。今大会の結果次第では#2 ポルシェ戴冠決定となる可能性もある数字だが、予選の形勢を見る限りは、#8 アウディが差を詰めての次戦以降持ち越しが濃厚な雰囲気にもなってきた(ポイント3位は#6 トヨタで首位と38点差)。
トヨタ勢も好調。「予選より決勝」の意を前日から示していた中嶋一貴と小林可夢偉も、「予選から結構、戦えました」との旨をセッション終了直後に語っており、「マシンのダウンフォースレベルがコースに合っていますね」(一貴)など、ポジティブなムードを感じさせてくれている。トヨタ目線から見ても、前年王者ポルシェを交えた3メーカーの戦いは決勝も極めて接近した攻防となりそう。今年の富士6時間は、想定以上に面白い戦況で決勝日を迎えることとなった。
大注目の決勝レースは、明日(16日)の午前11時スタート予定となっている(当日観戦券の発売あり)。
#8 アウディが富士のポールを獲得。写真:FIA WEC
#8 アウディが富士のポールを獲得。撮影:遠藤俊幸
予選後のポールポジション会見(各クラス1位が集合)。撮影:遠藤俊幸
3連勝中の#1 ポルシェは予選2位。撮影:遠藤俊幸
中嶋一貴組の#5 トヨタは予選3位(後方の#7 アウディは同5位)。写真:FIA WEC
小林可夢偉組の#6 トヨタは予選4位。写真:FIA WEC
現在ドライバーズポイント首位の#2 ポルシェは予選6位。撮影:遠藤俊幸