新型コロナウイルスに選手が感染するなど、2カ月近く活動を休止していたサッカーJ2のザスパクサツ群馬が練習を再開した。休止中に「サッカーとは何か」と自問してたどり着いた答えは「誰かを元気づけ、勇気づけるプレーをしたい」という思い。選手たちは今、リーグ再開に向けて懸命に走り込んでいる。

 全体練習を前橋市内で再開した1日。ピッチ上に並ぶ選手・スタッフを前にマスク姿の奥野僚右(りょうすけ)監督(51)が語りかけた。「スタメンを目指そう」「(新型コロナで制約はあるが)自分で限界や前提を決めずに初めての経験にチャレンジしよう」

 ピッチで顔を合わせる喜びと、いい緊張感が走った。チームによると、その後は選手間で距離も取りながらパス回しなどをしたという。

 チームは今季、3季ぶりにJ2に復帰。開幕戦に敗れた悔しさを次戦にぶつけようとした矢先に感染拡大でリーグが中断した。

 この間、選手1人が感染し、ほかの選手やスタッフら41人が濃厚接触者として外出を自粛した。チームは周囲の支えの大切さを改めて共有。4月1日から5月24日まで活動を休止し、各選手が自宅で練習に励んできた。

 「先が見えない中、世の中にサッカーって必要なのかと感じた。でもサッカーしかできないと思った」

 DF渡辺広大主将(33)は自粛が求められた中での思いを振り返る。心が折れずに体力作りに励めたのは「みんなの心を動かすプレーをしたい。そのためにも勝ちたい」と思いを新たにしたことだ。挑戦者の心を忘れず、仲間に積極的に前向きな声をかけようと思っている。

 チーム最年長のGK清水慶記選手(34)も自身を見つめ直したという。厳しい試合を想定し、「シュートを止めて流れを取り戻すプレーをしたい」と語る。

 前向きな思いは奥野監督も同じだ。リーグ延期、無観客、過密日程の可能性など先が見えなくても「今できることに集中して全力を尽くそう」と呼びかける。選手のモチベーションも、「与えられるものでなく、選手たちが自分の中で生み出すもの。これを学ぶチャンス」と思ったという。

 チームは5月25日からグループごとに練習を再開。感染対策としてピッチ内を10人に限定し、接触プレーは避けた。飲み物は共有せず、検温してピッチへの行き来はマスクを着用する。今後はゲーム形式の練習を重ねていく。

 選手の状態にばらつきがあるが、「心配ない。一丸となって戦えることに喜びを感じる」と奥野監督。再びプレーを見せることは「世間に安心感も与える」と話す。

 リーグ再開は27日。新型コロナの影響でリーグは今季の降格はない。チームの目標だった「勝ち点50以上、16位以内のJ2残留」のうち残留は達成した形だが、奥野監督は「元気や勇気を届けることを意識して向かっていきたい。サポーターに、とにかく楽しみに待っていてほしい」。(張春穎)