プロ野球は8日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)が始まる。パ・リーグは、日本ハムが最大11.5ゲーム差を逆転してペナントレースを制覇。■SBはロッテに好相性、ファイナル進出の可能性は高い? プロ野球は8日からセ・パ両リーグの…

プロ野球は8日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)が始まる。パ・リーグは、日本ハムが最大11.5ゲーム差を逆転してペナントレースを制覇。

■SBはロッテに好相性、ファイナル進出の可能性は高い?

 プロ野球は8日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)が始まる。パ・リーグは、日本ハムが最大11.5ゲーム差を逆転してペナントレースを制覇。ファーストステージで対戦する2位ソフトバンク-3位ロッテの勝者をファイナルステージで迎え撃つ。日本シリーズに進出するチームは、果たしてどこになるのか。

 リーグ覇者の日本ハムに、昨季まで2年連続日本一のソフトバンク、そして2010年は史上初めてリーグ3位から日本一まで駆け上がる「下克上」を成し遂げたロッテ。いずれもCSを戦い慣れているチームだが、ヤクルト、日本ハム、阪神、DeNAの4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は「日本ハムに死角なし」と予想する。

 まずは3位のロッテについて、「ロッテと言えば下克上ですが、今年はちょっと厳しいかなと見ています。上の2つが強いですし、特に日ハムは、今年は充実しています。ソフトバンクを何とか倒しても、その後に日本ハムに勝つ体力が残るかな、という感じなので」と予想する。

 特に、ファーストステージは「相性」の悪さが目につく。「ロッテはまず千賀を打てない。最後の対戦となった9月27日の対戦(ソフトバンクが3-2で勝利)も、8回に2点差を追いつきましたが、押し出し2つは千賀のミス。CSでも手を焼くでしょう。千賀が最初に来られたら、まず1つ取られてしまう」。千賀は今季、ロッテに対して7試合で4勝0敗、防御率2.36と好成績を残している。

 一方で、ロッテの2枚看板である涌井と石川は、ソフトバンク打線と決して相性がいいわけではない。今季10勝7敗、防御率3.01の涌井はソフトバンクに対して8試合で2勝2敗、防御率3.60。さらに、今季14勝5敗、防御率はリーグトップの2.16だった石川は、ソフトバンク戦では4試合で1勝3敗、防御率3.95と苦しんでいる。野口氏は「涌井、石川で2つ取ってしまわないと、ロッテは苦しい。でも、2人ともそんなにソフトバンクと相性が良くない。厳しいかなと見ています。順当にいけば(ファイナルステージは)日本ハムとソフトバンク2チームの争いになるのではないでしょうか」と分析する。

■ペナントレースでは柳田の離脱が響いたソフトバンク

 ただ、仮にソフトバンクが勝ち上がったとしても、日本シリーズ進出は厳しいという。そもそも、今季は優勝の大本命と見られていたソフトバンクがV3を逃した理由とは何だったのか。多くの評論家同様、ソフトバンクの優勝を予想していた野口氏は「やはり故障者が出たのは響いたかなと思います」と指摘する。特に、終盤戦で柳田が不在となったのは痛かった。

「やはり柳田離脱の影響は大きかったですね。いちばん大事な時に柳田がいなかった。今季はあの不調から始まって、離脱直前には打率3割(.306)までいっていたんですから。その戦力がいなかったのは非常に痛かった。あと、去年は打順が3、4、5、6、7番くらいまで固定できましたけど、今年は主力の不調などもあって出来なかった。そう考えると、李大浩が抜けた穴も大きかった」

 野口氏はさらに、バンデンハークの長期離脱も「大きかった。ちょっと長過ぎましたね」と言及。その上で「あとはキャッチャー。一時期、(主力は)鶴岡一人になってしまいましたからね」ともう1つの“敗因”を挙げる。「高谷が去年頑張ったのに、今年はほとんど出られなかった。打つ方は調子が上がらないとは言え、あれだけ守れるキャッチャーですから。配球がどうという声もあるみたいですけど、それでも去年は優勝、日本シリーズも経験しているキャッチャーがこういう結果に終わってしまったわけですから……」。ここもCSでは大きな課題となってくる。

 もっとも、今季について言えば、ソフトバンクの失速がV逸の最大の理由ではなく、日本ハムがそれを上回る強さだったという見方が正しいだろう。

「ソフトバンクの82勝は例年なら優勝でもおかしくない数字。だから、単純に日本ハムが上回った。日本ハムがすごかったということでしょう」

■ペナントレースでは柳田の離脱が響いたソフトバンク

 最終的には勝率.621で、同.606のソフトバンクに2.5ゲーム差をつけてシーズンを終えた日本ハム。防御率3.06、打率.266、132盗塁はリーグトップで、121本塁打もソフトバンクの114本塁打を上回るリーグ2位(トップは西武の128本塁打)。619得点は西武と並ぶリーグ2位でソフトバンクの637得点に及ばなかったが、467失点はリーグ最少(ソフトバンクは479失点)とあらゆす数字でライバルを上回った。そして、直接対決で15勝9敗と大きく勝ち越していることも、CSで日本ハムを後押しすると野口氏は見ている。

「ソフトバンクは日本ハムに6つも負け越してる。やりにくいと思っているはずですから、日本ハムが断然有利になってきます。例えば、日本ハムが短期決戦の戦い方を知らないチームだったらまだ分からないですが、知り尽くしていますからね。お互いが短期決戦の戦い方を知り尽くしているので、順当にいってしまうのかなと」

 この予想が覆す可能性があるとすれば、それは投打の軸の復活。「ソフトバンクはこのまま(左肘不具合の)和田が投げられないとなると一大事。ただ、柳田、和田が復帰できれば、分からないと思います。ソフトバンクにも十分に戦う力はある。ただ、それがなければ順当になってしまうかなと」。現時点では、日本ハム有利の状況に変わりはないという。

 日本ハムが王者として跳ね返すのか、ソフトバンクがシーズンの悔しさを晴らすのか、ロッテが得意の「下克上」で頂点に駆け上がるのか。目を離せない試合が続くことは間違いない。

フルカウント編集部●文 text by Full-Count