「テニス史上最高の選手は誰か」という議論では必ず名前が挙がり、長く世界ランキング1位やグランドスラムのタイトルを争ってきているロジャー・フェデラー(スイス)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)。ラリーの長さという観点から、二人の特色が分析され…
「テニス史上最高の選手は誰か」という議論では必ず名前が挙がり、長く世界ランキング1位やグランドスラムのタイトルを争ってきているロジャー・フェデラー(スイス)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)。ラリーの長さという観点から、二人の特色が分析された。フェデラーは自ら仕掛けて攻撃することを好む選手だ。それに対しジョコビッチは正確なベースラインプレーヤーで、ストロークの深さ、方向、安定性を武器に我慢強く相手を仕留める。スタイルのまったく違う二人だが、ATPの分析によると、短いラリーでも長いラリーでもほぼ同じ結果を出している。
2018年から2020年の2,854試合で集められたデータを、ラリーの長さによって0-4ショット、5-8ショット、9ショット以上、の3種に分類し、分析した。
0-4ショット(短いラリー)
0-4ショットのラリーでは、どちらのプレーヤーも多くて2度しかボールに触れていない。そんな短いラリーでは、フェデラーの方がジョコビッチよりポイントを取っているだろうと予測されたが、実際にはほとんど変わらなかった。
フェデラー: 53.75% (4,816 / 8,960)
ジョコビッチ: 53.54% (4,382 / 8,184)
フェデラーがわずかに0.21%優っているだけで、ほぼ同じと言っていい。このカテゴリーのトップはダニール・メドベージェフ(ロシア)で、54.98% (5,248 / 9,546)のポイント取得率だった。
9ショット以上のラリー
長いラリーでは、ジョコビッチがフェデラーをリードしていることが予想された。だがこちらも、予想されたような結果ではなかった。
ジョコビッチ: 54.63% (1,404 / 2,570)
フェデラー: 54.53% (806 / 1,478)
ここではジョコビッチが0.1%優っており、その差はさらに小さい。ただこのデータは期間で区切っているので、二人がプレーした試合数、セット数には多少の差があるかもしれないが、短いラリーの本数はフェデラーが1割ほど多かったのに対し、長いラリーの本数はジョコビッチの方が約70%も多いのは、やはり二人のプレースタイルの違いを際立たせていると言えるだろう。ちなみにこのカテゴリーでトップだったのは日本のNo.2、西岡良仁(日本/ミキハウス)の56.57% (784/1,386)だ。
5-8ショットのラリー
ジョコビッチ: 55.51% (2,086 / 3,758)
フェデラー: 53.27% (1,840 / 3,454)
意外なことに、この中ぐらいの長さのラリーが2.24%と、最も二人の差が大きかった。そしてこのカテゴリーでダントツだったのは世界2位のラファエル・ナダル(スペイン)の59.71% (1,304 / 2,184)。
このデータからわかるのは、ジョコビッチは短いラリーでもフェデラーと同じぐらい優れているし、9ショット以上の長いラリーにおいてもフェデラーはジョコビッチに遜色はないということだ。優れたプレーヤーたちがいかに偉大かを知るためには、時にはデータを読み込む必要がある。
※写真はジョコビッチ(左)とフェデラー(右)
(Getty Images)
翻訳ニュース/ATPTour.com