専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第251回 ゴルフにまつわる”素朴な疑問シリーズ”をやってみたいと思います。 まず今回は、メンバーは同じコースばかりラウンドして飽きないのか? その疑問…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第251回
ゴルフにまつわる”素朴な疑問シリーズ”をやってみたいと思います。
まず今回は、メンバーは同じコースばかりラウンドして飽きないのか?
その疑問を解明していきます。
これは、コースにもよりますが、18ホールのコースの場合、毎週1回ラウンドするとしたら、数年もすれば、飽きると思うんですよ。
でも、マスターズを開催するオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの「メンバーにしてやる」と言われたら、そりゃ、飽きずに足しげく通うでしょ。タダでいくらでも回っていいとなったら、かつてのアイゼンハワー大統領のように、ゴルフ場内に小屋を建てて住んでしまったりして……。
そんなわけで、憧れのコースに入会できたことを想定し、その場合、どれくらいで飽きるのか、さまざまなケースを考えてみたいと思います。
(1)名門コースの場合
名門コースのメンバーになるということは、なかなか入ることができない由緒ある倶楽部に入会を認められた、ということです。つまり、コースも魅力ですが、ハイソサエティな人々が集まる倶楽部活動に参加できる――そこが、重要なポイントとなります。
名門倶楽部は、メンバーの活動がアクティブです。”金持ち喧嘩せず”の精神で、組み合わせも、ラウンドもスムーズ。
「これはこれは、○○物産の専務さんじゃないですか」「いやぁ~、そちらは○○銀行の副頭取ですね。これからもよろしくお願いします」なんてね。こういう集まりが大事だから入会するのであって、コースなんて、どうでもいいっちゃ、どうでもいいです。
けど、古い名門コースは、コース自体もずば抜けてすばらしいことが多いです。「名匠○○が設計。何度ラウンドしても、飽きない戦略性があるコース」といった触れ込みどおりです。
トータルで見れば、そうした名門コースのメンバーは、そこで人脈を広げて、さらなる飛躍を遂げることが優先。もしコースが飽きる頃になったら、どこかの高級リゾートコースのメンバーになって、新たな楽しみを見つけているでしょう。セレブとはそういうものです。
(2)熱心なメンバー
ゴルフに熱心で、年間50~60回はラウンドする人でも、自分のコースでラウンドするのは、その半分くらいではないでしょうか。ゴルフ好きだからといって、「自分のコースしか回らない」という人は稀です。
コンペもありますし、「今度はうちのコースへ遊びに来てください」と誘われて、社交ゴルフをしたりしますからね。
そうなると、よそのコースを半分見ながら、自分のコースのいいところ、悪いところを冷静にチェックできます。その際、メンバーコースを持ってラウンドすることについて、結婚生活に例える人がいます。ほかのコースで絶えず”浮気ラウンド”して、たまにメンバーコースに戻ってくると、「本妻のよさがわかる」……って、なんだんねん。
それはいいとして、アクティブメンバーは、月に一度の月例競技会、季節ごとの大きな競技に出場し、さらにプライベートラウンドをこなして……なんてやっていると、あっという間に1年が過ぎていきます。
そうして、いくらコースの特徴を熟知しても、スコアは伸びていきません。ラウンドをすればするほど、ゴルフの奥深さに気づき、飽きるのを通り越えて、もはや”求道者”のようです。そうやって、”ホームコース巡礼”を繰り返すんですね。
たぶん、熱心なメンバーの一生なんて、あっという間だと思いますよ。「あれ? もう80歳なの?」「いやぁ~、一度はシングルになりたかったなぁ」ってね。
まあ、それはそれで、幸せなゴルフ人生だと思います。
(3)入会1年目ぐらいの人
メンバーになって、1~2年目あたりが一番楽しい時期です。まずは、入会祝いとして、ホームコースに友だちを呼びます。それは、「素敵なコースですね」と言われたいため、です。
そして、そんな社交辞令的なおべんちゃらを言われると、そのお返しとばかりに、頼まれてもいないのに、コースの説明をするんですな。「ここは池が回り込んでいて、池ポチャが多いよ」ってね。
で、そうやって説明したばかりなのに、自らが”お手本”を見せて、豪快な池ポチャ。こういうダチョウ倶楽部のコントみたいなことが、よくあります。
挙句の果てに、自分がコースの説明をしておきながら、初めて来たビジターの友だちにスコアで抜かれてしまう始末。それで最後は、「あいつは、遠慮ってものを知らないのかよ」って愚痴るんでしょうな。
よく言われる「地主の利」は、せいぜい2~3打。だから、ビジターでもシングルクラスの人が来れば、自分よりスコアがいいのは当たり前です。
メンバーになって1年目でわかることは、「自分よりうまいやつと、コースを褒めないやつは、二度と呼ばない」――そういうことです。
(4)そこそこのメンバー生活だと
個人的には、2つのコースにそれぞれ7年ほど、足かけ15年ぐらいメンバー生活をしていた時期がありました。まだ30代だったので、「今まで届かなかった距離なのに、今回はその木まで届いた」なんて言って、コースを攻略する楽しさを覚えたりしたものです。
各コースとも、10年も経たずに辞めたので、飽きることはありませんでした。むしろ、コースを覚えるのに必死で、「あれ、このホール、こんなところにバンカーあったけ?」とか、ラウンドするたびに新たな発見があったりしました。
それは、夜の飲み屋で接するお姉さんたちと似ていますね。席に付いてくれたお姉さんに「初めまして」と言うや、「あらイヤだ、先月、酔っぱらって来た時に付いたじゃない」とか言われるのと一緒です……って、ほんまかいな。
2つのコースともけんか別れしたわけではないので、たまに知り合いのメンバーに呼ばれて、ラウンドすることがあります。
そうすると、50歳を過ぎたあたりから、「今までは短いユーティリティーで届いていたのに、ウッドを使わないと(グリーンに)乗らないじゃん。飛距離、落ちたな……」とか、自分の老いと対面することになります。
これまた、人生なり。
(5)メンバーコースに求めるもの
時々、有名な名門コースや、観光地にある風光明媚なコースに行ったりします。それはそれで楽しいのですが、「毎回、そこで回れ」と言われると、しんどいと思うんですよね。
難易度の高い名物ホールのオンパレードだったりすると、なおさらです。こってりしすぎて、きついじゃないですか。『いきなり!ステーキ』の常連さんじゃないけど、毎週2回ぐらいステーキを食べる体力は、こっちにはないです。
メンバーになるなら
「ほどほどのコース」、毎日食べても飽きない和定食のようなコースがいいかもしれませんね
毎日食べるなら、ごはんに漬物、納豆、焼き魚とかね。そういう献立になりますもの。
コースも一緒で、メンバーコースは、ステーキみたいにこってりしていないほうが長く付き合えます。ほどほどの難しさ、ほどほどの距離、ほどほどのメンテナンス、ほどほどの料金、そして、ほどほどの料理メニュー……それで、いいのです。
うなぎが自慢料理だからって、毎回4000円もするうなぎ御膳ばかり食べられないですから。だいたいゴルフ場に、うなぎを求めていません。
結局、飽きても、また行きたくなるのが、ホームコース。長年メンバーでいることになれば、老いとの戦い、飛距離の衰えを痛感させられますが、今度は息子を連れてのラウンドや、シニア競技、グランドシニア競技といった楽しみも待っています。
そう考えると、手を替え品を替えて、クラブライフというのは、案外続いていくものですね。