女子1万メートルで女王の座を射止めた高知県須崎市出身のランナーが、東京五輪を見据えている。

 残り1周を告げる鐘が鳴る。先頭集団の最後方で様子をうかがっていた鍋島莉奈選手(26)は、猛然と仕掛けた。ハーフマラソン日本記録保持者の新谷仁美、東京五輪マラソン日本代表の鈴木亜由子の両選手をあっという間に抜き去った。昨年5月の日本選手権。1万メートルで初めて頂点に立った瞬間だった。

 「私はまだまだ弱い選手です」。試合後のインタビューは優勝直後とは思えない落ち着きぶりだった。レースの結果に一喜一憂せず、謙虚な姿勢を貫く。初めからトップランナーではなかった者の強みだろう。