新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界のスポーツ界が揺れている。 国内ではプロ野球の開幕が先延ばしとなり、一度は開幕したJリーグも一時中断。そして、東京五輪の延期も決まった。 ゴルフ界も同様だ。アメリカツアーに限らず、国内ツアーも開幕…
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界のスポーツ界が揺れている。
国内ではプロ野球の開幕が先延ばしとなり、一度は開幕したJリーグも一時中断。そして、東京五輪の延期も決まった。
ゴルフ界も同様だ。アメリカツアーに限らず、国内ツアーも開幕からトーナメントの中止が続いている。女子ツアーにおいては、開幕戦のダイキンオーキッドレディス(3月5日~8日/沖縄県)からスタジオアリス女子オープン(4月10日~12日/兵庫県)までの6試合、さらに先日、7戦目のKKT杯バンテリンレディスオープン(4月17日~19日/熊本県)の開催中止も発表された。
現状を鑑みれば、ツアーが再開できるかどうかは、いまだ不透明な状況だ。それでも、選手たちは準備を怠ることなく、いつツアーが再開してもいいように態勢を整えている。
そんななか、日本人選手と同様に苦心しているのが、日本女子ツアーを主戦場としている韓国人選手たちである。
新型コロナウイルスの感染がアジア全域に広がり始めた頃、日本政府は国内の感染拡大を防ぐため、3月9日(午前0時)、中国と韓国からの入国を制限する一連の措置を発動。各々の国から入国した際は、入国後、検疫所が指定する場所で14日間の待機を求められることとなり、うかつに入国できなくなってしまったからだ。
そのため、韓国人選手をマネジメントする方々から、「ツアー再開のメドが立っていない状態で、今後の対応をどうすればいいでしょうか?」と、私のところにまで相談の連絡があった。
その際、私は「状況が落ち着くまで、韓国で待機するほうが賢明だと思います」と答えた。当時はまだ、現在あるような深刻な状況への想像が及ばず、事態が終息に向かえば、日本への入国も平常どおりに戻るだろう、と踏んでいたからだ。
だが、事態は日に日に悪化しているように見える。ツアー再開はもちろん、韓国からの入国に際しても、平常化する見通しはまったく立っていない。
そうした状況のなか、韓国人選手たちは今、どのように過ごしているのだろうか。話を聞いたところ、ほとんどの選手が韓国に滞在し、調整を続けているようだ。
ツアー再開に向けて、現在は韓国で調整を続けているアン・シネ
今季、日本女子ツアーの出場権を得ているのは、申ジエ、ペ・ソンウ、イ・ミニョン、黄アルム、アン・ソンジュ、イ・ボミ、ペ・ヒギョン、全美貞、李知姫、ユン・チェヨンと、シード選手が10名。第1回リランキングまでの出場権(賞金ランキング51位~55位の選手)を持つイ・ナリ、そして2017年の国内メジャー、ワールドレディスチャンピオンシップ・サロンパスカップ優勝による3年シードの資格を持つキム・ハヌル、さらに昨季のQTファイナルステージの上位者(第1回リランキングまで)であるハン・スンジ、アン・シネ、ジョン・ジェウンらである。
それぞれ、自身のSNSなどで、現在の自らの様子などを発信している。
昨年末に俳優のイ・ワン氏と結婚したイ・ボミは、新居を韓国に構えての新婚生活の様子をしばしば報告。先日は、インスタグラムで母ファジャさんとゴルフをしている写真をアップしていた。
イ・ボミの所属先によれば、イ・ボミは現在、「韓国で調整を重ねつつ、(ツアーの動向に)臨機応変に対応するための準備も整えている」という。
また、早めに日本入りする予定でいたキム・ハヌルは、入国制限がかかる前までに日本便のチケットを手配できず、来日を断念した。現在は、そのまま地元に残って調整中。入念にトレーニングしている姿や練習している様子を、インスタグラムに頻繁にアップしている。
最近は、春の新作ウエアに身を包み、「ウエアには春が来た」と、ゴルフ場でプレーしている姿を紹介。トーナメントの中止が続いて、自らには春が来ていないことを、憂いているようだった。
昨季のQTで念願のツアー出場権(第1回リランキングまで)を得たアン・シネも、韓国で待機している。インスタグラムでは、海外でオフを過ごしたり、愛犬と戯れていたりする姿とともに、ここ最近は、ゴルフ場でプレーしている様子もアップ。ツアー再開に向けての準備に余念がない。
キム・ハヌル同様、アン・シネも3月8日までに日本に来る予定でいたが、最終的には地元に残ることを決断。所属先の担当者によれば、「状況を見守りながら、このまま地元で練習を続けていく」と言う。
申ジエも、韓国で黙々と練習を続けている様子を、自身のインスタグラムにアップ。一緒に「春だ。練習するには、とてもいい天気。試合をするにもいい日なのに。ウイルスよ、どこかへ消えてなくなれ!」といったメッセージも添えていた。
「試合がいつから開催するのかわからないので、とても困惑しています」とは、申ジエのマネジメント担当者。とはいえ、かつて世界の頂点に立った申ジエ自身は、自らがやるべきことは十分にわかっている。ツアーが再開されれば、万全な状態でトーナメントに臨んでくるだろう。
ちなみに、慈善活動にも熱心な選手として知られる申ジエ。先日も、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、「韓国の中央自殺防止センターに、マスク6500枚を寄付した」と韓国メディアが伝えている。
日本ツアーの開催を待ちながら、今、自分がやるべきこと、できることを続けている韓国の選手たち。先行きが見えない分、相当なストレスもあるだろうが、このまま地道な調整を続けていくしかない。
彼女たちのプレーが見られることを、日本でも多くのファンが待っている。そのことは、彼女たちも知っている。だからこそ、明るい未来が待ち受けることを願いつつ、入念に準備を整えている。