男子テニス国別対抗戦・デビスカップの予選ラウンド「日本vsエクアドル」が3月6日から兵庫県三木市で始まり、シングルス2試合が行なわれた。2日目にはダブルス1試合とシングルス2試合が予定されており、先に3勝した国が11月にマドリードで開…

 男子テニス国別対抗戦・デビスカップの予選ラウンド「日本vsエクアドル」が3月6日から兵庫県三木市で始まり、シングルス2試合が行なわれた。2日目にはダブルス1試合とシングルス2試合が予定されており、先に3勝した国が11月にマドリードで開催されるデビスカップ・ファイナルズに出場する。



左から岩渕監督、錦織、内山、添田、綿貫陽介、マクラクラン勉。錦織は、2016年以来の代表合流となった

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために無観客試合となった今回、日本代表の中心メンバーである錦織圭(ATPランキング31位。3月2日づけ/以下同)が、2016年9月以来となる代表復帰を果たした。だが、昨年10月の右ひじの手術後戦列を離れている錦織は試合にエントリーはせず、リハビリは順調だが出場できるレベルには達していないことを会見で語った。

「だいぶ治っているけど、体調面がまだマックスではない。自分の体がもうちょっと鍛えられて、自信がついてから臨もうと思っています。でも、痛みもないですし、もうちょっとだと思います。(復帰時期は)まだ目途は立っていないです。なるべく早く戻って来られたらいいなという感じですね。(4月からの)クレーシーズンになるかもしれない。何とも言えない状況です」

 デビスカップ日本代表の岩渕聡監督は、錦織のエントリーを見送った理由を次のように語る。

「彼は、ずっとNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)にいて、何とかデビスカップを復帰戦にしてもらいたいと思っていました。チームとして、もちろん錦織には出てほしいという気持ちがずっとありましたので。彼も一生懸命調整をしてくれたんですけど、間に合わなかった。シングルスがきつかったら、ダブルスの可能性も話していたのですが、(試合のエントリーに)名前を入れるところまでは、やはりまだ戻って来ていない。

 ただ、錦織がチームにいることは、いろんな意味でほかの選手にいい影響があります。何カ月もリハビリをしている彼(錦織)にとっても、間近でほかの選手のプレーを見ることはいいことだと思う。もちろんオリンピックのこともありますし、総合的に見て彼をチームに入れました」

 オリンピックにプロテニスプレーヤーが出場するには、原則4年間で4回、国の代表としてプレーしなければならない。しかし、錦織は今回のエクアドル戦を含めても2回。国際テニス連盟(ITF)の定める条件を満たしていない。

 今後は、日本テニス協会からオリンピックに出場するワイルドカードをITFへ申請することになるが、今回の錦織のデビスカップ参加をプラス材料として、ワイルドカードを獲得しやすくする狙いもあるようだ。

 錦織が出場しない日本は、大会初日のオープニングマッチに添田豪(117位)が登場。しかしエミリオ・ゴメス(151位)に対して、35歳の添田は第1セットと第2セットのいずれも第1ゲームでサービスブレークを許し、後手を踏む。結局、添田が得意とするリターンでもミスが多くなってしまい、持ち味である粘り強さを出し切れずに5-7、6-7で敗れた。

 第2試合では、内山靖崇(90位)がロベルト・キロス(276位)に6-7、6-2、6-7で惜敗。初めて日本代表のシングルス1に起用された内山だったが、ファイナルセットのタイブレークであった3回のマッチポイントを取りきれず、期待に応えることができなかった。

 これで日本(ITF国別ランキング17位/以下同)は、初対戦となるエクアドル(27位)からシングルスでまさかの連敗を喫し、もう後がない。

 崖っぷちで迎える大会2日目、岩渕監督がコンディションの整っていない錦織を起用することはないだろう。日本代表は3連勝して逆転できる力を持っているはずだが、それは簡単ではない。

 今回、エクアドルはファイナルズに出場したいという強い思いから、新型コロナウイルスの影響があるなか来日。闘志むき出しで戦いに挑んできており、死に物狂いで勝利をもぎ取りにくるはずだ。

 日本は昨年の予選ラウンドで、中国に対して1勝2敗からの逆転勝ちを収めている。今回もその再現はなるか。日本代表チームの底力が試される。