北半球の多くの地でようやく春が兆し始める3月。プロテニス界ではアメリカはカリフォルニア州インディアンウェルズ、続いてフロリダ州マイアミで大きな大会が開催され、両大会を制することを「サンシャイン…

北半球の多くの地でようやく春が兆し始める3月。プロテニス界ではアメリカはカリフォルニア州インディアンウェルズ、続いてフロリダ州マイアミで大きな大会が開催され、両大会を制することを「サンシャイン・ダブル」と呼ぶ。どちらも男女共催の、グランドスラムに次ぐ規模の大会だ。この2大会を中心に、3月にスタートする大会をご紹介しよう。

「ATP1000 インディアンウェルズ(男子)/BNPパリバ・オープン(女子)」(アメリカ・インディアンウェルズ/3月11日~22日/ハードコート)

インディアンウェルズ、マイアミの両大会は男子では「マスターズ1000」、女子では「プレミア・マンダトリー」と呼ばれるカテゴリーで、優勝すれば1000ポイントが手に入る。本戦出場者数は男女各96名で、グランドスラムと違って男女各32名のシード選手は1回戦免除となり、6試合勝ち抜けば優勝できる。インディアンウェルズのテニス会場は砂漠の中にあるので昼夜の気温差が大きく、時に激しい風が吹き荒れる。

2020年の賞金総額は男女合わせて1708万5360ドル(約18億7700万円)で、男女は同額。シングルスの優勝賞金は136万1360ドル(約1億5000万円)、準優勝は69万3670ドル(約7600万円)。総額は8年前の2012年と比較すると約82%アップしており、1回戦で敗退しても1万8155ドル(約200万円)獲得できる。ダブルスの優勝賞金は1チームに47万9290ドル(約5270万円)、準優勝は23万3890ドル(約2570万円)、1回戦敗退の場合は1万6870ドル(約185万円)となっている。

昨年の男子の優勝者はドミニク・ティーム(オーストリア)。ティームにとっては初めてのマスターズ1000大会優勝で、決勝ではロジャー・フェデラー(スイス)から初めてハードコートでの勝利をあげた。ティームの2019年はそこまで3勝4敗、直前の「ATP500 リオデジャネイロ」では初戦敗退という惨憺たるものだったが、そのためインディアンウェルズの大会前に約2週間も練習することができ、それがとても良い効果を生んだようだった。インディアンウェルズの翌週から始まったマイアミの大会では、第3シードだったティームは1回戦免除だったが、初戦となった2回戦で当時世界54位のホベルト・ホルカシュ(ポーランド)に敗退している。

女子の昨年覇者は当時18歳だったビアンカ・アンドレスク(カナダ)。アンドレスクと、その前年の覇者であった大坂なおみ(日本/日清食品)は、奇しくも2人揃ってまださほど知られていない若手選手としてインディアンウェルズを制し、その同じ年に「全米オープン」を制して世界を驚かせた。

男子の大会最多優勝者はフェデラーとノバク・ジョコビッチ(セルビア)の5回。女子では驚いたことに過去3回以上優勝した選手はおらず、2回優勝した選手が9名、そのうち現役選手はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、キム・クライシュテルス(ベルギー)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)の3名で、つい先頃引退を表明したマリア・シャラポワ(ロシア)も2回優勝を遂げている。

「ATP1000 マイアミ(男子)/マイアミ・オープン(女子)」(アメリカ・マイアミ/3月23日~4月5日/ハードコート)

マイアミも規模はインディアンウェルズと全く同じで、優勝すれば1000ポイント、出場人数96名、男女各32名のシード選手は1回戦が免除される。賞金もまだ今年の詳細は発表されていないが、例年インディアンウェルズと同額である。インディアンウェルズのあるカリフォルニア州も、マイアミのあるフロリダ州も、陽光あふれる気候温暖なイメージなので、この2大会を制することが「サンシャイン・ダブル」と呼ばれるわけだが、砂漠で乾燥しているインディアンウェルズと違い、マイアミは湿度が高く雨も多いので、昨年も何度も雨天中断に見舞われている。

男子の昨年の覇者はフェデラーで、37歳235日という最年長大会優勝記録となった。過去最多優勝はジョコビッチとアンドレ・アガシ(アメリカ)の6回。

女子の昨年覇者はアシュリー・バーティ(オーストラリア)。バーティは14歳でプロになり、17歳で燃え尽きて2年間テニスから離れてオーストラリアの女子プロホッケーリーグでプレーしていた。それでリフレッシュして2016年にカムバック、22歳でのマイアミ優勝は当時の彼女にとってキャリアで最大のタイトルで、大会後に初のランキングトップ10入り。同年の「全仏オープン」と「WTAファイナルズ」を制し、現在世界1位だ。過去の最多優勝者はセレナの8回。

現役で「サンシャイン・ダブル」を達成しているのはジョコビッチ(4回)、フェデラー(3回)、そしてクライシュテルスとアザレンカが各1回達成している。

その他の大会

3月に開催される大会で「メジャータイトル」と言えるのは上記2大会だが、女子はその他にもう少し規模の小さい大会が4つある。そして男子は、残念なことに日本では無観客試合となってしまったが、「デビスカップ」クオリファイアー・ラウンド(日本・三木/3月6日~7日/室内ハードコート)が開催される。

現在世界31位の錦織圭(日本/日清食品)、現在48位とランキング急上昇中の西岡良仁(日本/ミキハウス)、内山靖崇(日本/北日本物産)、添田豪(日本/GODAI)、マクラクラン勉(日本)という布陣でエクアドルと対戦する日本チームは、過去最強と言えるかもしれない。昨年に引き続き11月に行われる決勝ラウンドに進出して、興奮と感動を巻き起こして欲しいものだ。

※為替レートは2020年2月27日時点

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「BNPパリバ・オープン」の会場

(Photo by Matthew Stockman/Getty Images))