リバプールが国内リーグの連勝記録を「18」に伸ばした。 2月24日に行なわれたウェストハム・ユナイテッド戦を3−2で勝利し、30年ぶりとなる悲願のリーグ優勝にまた一歩近づいた。本拠地アンフィールドでは、これで21連勝。1972年にリバプー…
リバプールが国内リーグの連勝記録を「18」に伸ばした。
2月24日に行なわれたウェストハム・ユナイテッド戦を3−2で勝利し、30年ぶりとなる悲願のリーグ優勝にまた一歩近づいた。本拠地アンフィールドでは、これで21連勝。1972年にリバプールが達成した国内トップリーグでのホーム連勝記録に並んだ。
笑顔を見せながらチームメイトとアップする南野拓実
とはいえ、試合では大苦戦を強いられた。
相手は下位に沈むウェストハム。4−4−1−1を採用したデビッド・モイーズ監督は自陣深い位置で守備を固め、リバプールの攻撃が生きるスペースを徹底的に打ち消した。本職が守備的MFのマーク・ノーブルをトップ下で起用したり、時間帯によってサイドMFが最終ラインまで戻って6バックに変形したりと、とにかくディフェンス重視で戦った。
それでも、相手が下位のウェストハムだったせいか、熱狂的なファンが集まるゴール裏のKOPスタンドは前半、普段よりも静かだった。前半は淡々と進んでいったが、後半9分にワンチャンスをモノにしたウェストハムに逆転ゴールを許すと、ここからアンフィールドの住民たちの声量は一気に跳ね上がった。
彼らの声援に押されるように、後半23分には相手GKの捕球ミスというラッキーな形で同点。さらに後半36分には、FWサディオ・マネが決勝ゴールを叩き込んだ。
最後はCBジョエル・マティップの投入(後半45+1分)で高さを注入し、4−3−3の形を維持したまま試合終了のホイッスルを聞いた。一時は「今季リーグ初黒星か」と思ったが、3−2の逆転勝ちで勝ち点3ポイントを掴んだ。
そして、アトレティコ・マドリードとのCL決勝トーナメント1回戦・第1レグ(2月18日)から公式戦2試合連続でベンチスタートとなった南野拓実に、最後まで出番は訪れなかった。
結果、公式戦4試合で出場機会がない。南野がピッチに立ったのは、3週間以上前のサウサンプトン戦(2月1日)が最後だ。年末年始に故障した選手たちが代わる代わる復帰してきた今、日本代表MFは我慢の時が続いている。
それでも、クラブの期待感は変わっていない。ウェストハム戦で販売されたマッチプログラムでは、南野のインタビューが4ページにわたって掲載された。25歳のアタッカーは、リバプールでの課題やイングランドのサッカースタイル、自身のプレー位置などについて、次のように語った。
「まずはチームの戦術にフィットすることが大事。それから自分の持ち味を出して、チームの力になりたい。練習も全力で取り組んでいますし、もっとできるところをユルゲン・クロップ監督やチームメイトに見せていく必要がある。チームメイトは、みんなワールドクラスの選手。練習もクオリティが高いです。彼らと毎日練習していけば、自分も成長できると思います」
「イングランドサッカーの特徴は、インテンシティが高く、フィジカル的にもタフなこと。だが、それは想定していたことですし、できるだけ早く適応しないといけない。自分のポジションについては、対戦相手や試合状況で変わってくると思います。だから、『この位置でプレーしたい』とは言えません。もちろん、どのポジションで起用されてもいいプレーを見せたいです」
目を引いたのは、南野がクロップ監督について言及している箇所だった。ドルトムントで師弟関係にあたった香川真司(現サラゴサ)から、52歳のドイツ人指揮官について話を聞いていたという。香川から聞いた話と、自身が抱いた実際の印象は、さほど変わらなかったようだ。
「加入して2、3日後に、クロップ監督から『君の好きなようにプレーしてほしい。楽しんでくれ』と言われました。選手として、監督がそう言ってくれたのは本当にうれしかった。更衣室では、彼は選手の気持ちを高めるのが非常にうまい。練習や試合のなかで、自分もクロップ監督の高いモチベーションに応えたいと思っています。
リバプールに加入する前と後で、クロップ監督への印象はそんなに変わっていません。香川真司選手からも、『クロップ監督はとても情熱的で、常に選手を理解しようとしてくれる人』と聞いていました。実際、ここにやってきて、クロップ監督は聞いていたとおりの人でした」
リバプールでの生活も、徐々に慣れてきたという。新居も見つかり、ゆっくりと生活基盤が整いつつあるようだ。同時に、リバプールの街への愛着も増してきている。
「市内は少しだけまわりました。リバプールはすばらしい街です。中心部は歩いてまわりました。ビートルズの銅像も見ましたし、非常に魅力的な街です。リバプールの人々はサッカーを愛していて、心からリバプールを応援していると感じました。
同時に、自分の街のようにも思えてきて、ここでの生活を楽しんでいます。ビートルズの曲はいくつか知っているし、彼らの曲を聞くのも楽しい。機会があれば、もう少しこの街のことを知りたい」
今後は、2月29日のワトフォード戦(プレミアリーグ第28節)、3月3日のチェルシー戦(FAカップ5回戦)、3月7日のボーンマス戦(プレミアリーグ第29節)と、過密日程が続く。これまでの流れから考えると、カップ戦のチェルシー戦で先発のチャンスがまわってきそうだが、果たしてどのタイミングで出番が訪れるか。
「自分ができることをやっていく」と語っていた南野も、いっそう気持ちを高めているはずだ。