「(先週の試合を休んで)いい感じにきている。ズレていたものがきっちり直ったわけではないし、違和感はあるけれど、全体的にいい方向に向かい始めているので、この状態で試合をやってどうなるのか、すごく期待感がある。『楽しみだな』と思っています」 ジ…

「(先週の試合を休んで)いい感じにきている。ズレていたものがきっちり直ったわけではないし、違和感はあるけれど、全体的にいい方向に向かい始めているので、この状態で試合をやってどうなるのか、すごく期待感がある。『楽しみだな』と思っています」

 ジェネシス招待(2月13日~16日/カリフォルニア州)に臨んだ松山英樹は、試合を前にしてそう語ると、実際に安定したショットを披露。4日間通算8アンダー、5位タイで終え、今季3度目のトップ10フィニッシュを決めた。



ジェネシス招待を5位タイで終えた松山英樹

 ただ、予選ラウンドは苦しい戦いだった。初日は、なかなかパットが決まらないうえ、14番(パー3)のティーショットの際には、隣ホールから音が聞こえてミスショットを放つ不運もあって、3バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの「71」。首位と7打差のイーブンパーで、42位タイ発進となった。

「いいところも何カ所かあって、”悪いゴルフ”という雰囲気ではなかった。パットは入らなかったけど、後半にかけて、いいショットも出てきていたと思う。(手応えは)悪くなかった。(14番のティーショットについては)音は気になったけど、それに惑わされているようではいけないと思う」

 2日目も、グリーン上で苦しんだ。バーディーチャンスをことごとく逃し、短いパーパットも外すなどして、1イーグル、2バーディー、5ボギーの「72」。通算1オーバー、トップと10打差の57位タイへと後退した。

 それでも、最終18番でバーディーを決めて、ギリギリで予選を通過。松山はホッとした表情を見せた。

「(イーグル発進で)いいスタートを切れたし、最初のほうはパッティングもすごくよかった。でも、途中からなかなか(パットが)決まってくれなくなって、ミスパットも少しずつ増えてきて……。少ししんどいラウンドだった。

 ショットに関しては、ティーショットも、アイアンもよくなってきている。これを、明日も、明後日も、続けられるようになったら、自信を持って打てるようになると思う。まあ、何とか決勝ラウンドに残れたので、明日以降もがんばっていきたい。パット次第では、まだチャンスはあると思っています」

 迎えた3日目。グリーン上で苦戦してきた松山は、パターをマレット型に変えたことで変貌。過去2日間で入らなかった距離のパットを次々に沈めて、圧巻のゴルフを披露した。

 最終的には、1イーグル、6バーディー、1ボギーの「64」でホールアウト。この日のベストスコアをマークして、通算6アンダー、首位と4打差の11位タイまで急浮上した。

「(10番スタートのこの日もイーグル発進して)本当に流れよくプレーできていたので、いい一日でした。パットに関しては、昨日のラウンドが終わったあとに練習して、今朝も打っている感じでは、エース(パター)でもすごくよかったけど、今年に入ってから全然入っていなかったので、ちょっと(パター)替えてみようかなと。『気分転換しようかな』と思って、スタートする15分前に替えたら、思いのほか(パットが)入ってくれて(笑)。1つ、オプションが増えたかなと思う。

 昨日、今日と、ショットは『前進したな』『違ってきたな』という感じはある。あとは、パッティングが同じように、1段階、2段階(上へ)とうまくいくようになれば、毎回、優勝争いができると思うので、そこを目指していきたい。今日と同じようなプレーはそう簡単にはできないと思うけど、常にそれを目指していくことは大事。(明日も)いいプレーができればチャンスはあると思うので、ベストを尽くしたい」

 難しいピン位置と硬くなったグリーンによって、上位陣もスコアを伸ばせずに苦しんだ最終日。一時、松山はトップと2打差まで迫ったが、結局、5バーディー、3ボギーの「69」で回った松山は、3打及ばずに5位タイで戦いを終えた。

「予選ラウンドをギリギリのところで通って、優勝を争えるところまで戻ってきたというのはすごくよかった。やっぱり予選を通らないと、こういうゴルフもできないんだなというのがわかって、予選を通ることの大事さをあらためて感じた。ただ、昨年、一昨年と(予選ラウンドを)ギリギリのところでしか通っていないので、もう少し上で通れば、また違ったゴルフもできるんじゃないかと思っている。そのためにも、初日、2日目で、もっといいゴルフができるようにしたい。

(4日間を通して)パターはまだまだだけど、ショットに関してはある程度、『こうなんじゃないかな』というのが見つかった。自分の中で、明るい材料になったと思う。これを続けていけば、どうなるのかなって、(今後に向けて)すごく楽しみがある。あとは、『もう少しかな』という点がまだあるので、そこがうまくできれば、自ずと優勝っていうのが、見えてくるんじゃないかな、と思っています」

 ショットの調子が上がって、タフな設定に対しても、「チャンスは多かったですし、そこを決め切れなかったのがすごく悔しい。もったいないところがいっぱいあった」と言う松山。およそ2年半ぶりの優勝は、もはや目前に迫っている。それが、次週のWGCメキシコ選手権(2月20日~23日/メキシコ)であってもおかしくない。