四大陸選手権、優勝は羽生結弦、2位にジェイソン・ブラウン、鍵山が3位だった 2月6日からソウルで開催された四大陸選手権。シニアの大会初出場で3位という鍵山優真の結果は快挙だった。 優勝した羽生結弦は、鍵山についてこう評価している。「僕がこの…
四大陸選手権、優勝は羽生結弦、2位にジェイソン・ブラウン、鍵山が3位だった
2月6日からソウルで開催された四大陸選手権。シニアの大会初出場で3位という鍵山優真の結果は快挙だった。
優勝した羽生結弦は、鍵山についてこう評価している。
「僕がこの大会で初出場して2位になったのは16歳の時でしたが、すでにシニアで戦っていたので、緊張感とかプログラムの長さにも慣れていました。でも彼はジュニアで戦っていてジュニアのエレメンツで練習をしているなか、こうやってシニアの舞台で戦えるというのはすごいなと思うし、カッコいいことだなと思っています」
この大会、鍵山は挑戦者という意識しか持っていなかった。
「フリーはジュニアのプログラムにコレオシークエンスを入れるだけで、それほど苦労はなかったですが、ショートは4回転が入るか入らないかの違いがあるので、その調整は難しかった」と言う。
鍵山はショートプログラム(SP)では、4回転トーループに最も自信を持てたため、全日本選手権とは違って苦手意識を持っていたトリプルアクセルを2番目にして、冒頭に4回転トーループを入れる構成にした。
本番ではその前半のジャンプを3.26点と2.63点の加点をもらうジャンプにし、スピード感あふれるのびのびとした滑り。後半の連続ジャンプの3回転ルッツはエッジが不明瞭と判定されたがGOE(出来ばえ点)で減点されることなく、ノーミスで自己最高の91.61点を獲得した。
「終わったあとは89点くらいかなと思っていました。80点台と90点台はぜんぜん違うし、なかなか乗り越えられない壁だと思っていたので、得点を見た時は『こんなにも出るんだ』と驚きました。でも羽生選手は(過去に今回の自分と)同じジャンプ構成でも100点近い点数を出していたので、そこを考えたらまだまだだなと思いました」
こう話す鍵山は、リンクの氷が硬く跳ねるということもあり「あまり力を入れずにリラックスした状態で跳ぶように心がけた」と、シニア顔負けの対応力も見せていた。
「こういう舞台でノーミスをできたのは、やっぱりリラックスしていたからだと思います。全日本はプレッシャーとかいろいろあって体が固まってしまっていましたが、今回はすごく落ち着いていたのがよかった。やっといい演技ができたと思いますが、もっと早くからそういうことを意識していればよかったと後悔しているし、悔しい気持ちもあります」
鍵山は「今回は表彰台というよりも、今シーズンずっと達成できなかったショート、フリーともにノーミスをするという目標があるので、それを達成できるように頑張りたい。フリーは自分としては今季すごく自信を持っているので、2本ずつ入っている4回転とトリプルアクセルをしっかり決めて、笑顔で終われればいいなと思っています」と、力む様子もなかった。
フリーでも、挑戦するという意識は変わらなかった。緊張もなく「このメンバーの中に自分も入って戦えるということがすごく楽しかった」と、あくまでポジティブだった。
最終組2番スタートの鍵山は、最初の4回転トーループ+2回転トーループをきれいに決めると、3回転ループのあとの4回転トーループとトリプルアクセルからの3連続ジャンプもしっかり決め、完璧な滑り出し。後半に入ってもスピード感あふれる滑りは衰えず、3回転フリップ+3回転トーループもしっかり決め、3回転ルッツはエッジ不明瞭と判定されながらも減点はなし。最後のトリプルアクセルでわずかに着氷を乱したが、ほぼノーミスで自己最高の179.00点を獲得すると、合計も自己最高の270.61点でその時点でトップに立った。
「最後のトリプルアクセルのミスは技術的なことではなく、気持ち的なところでもなくてただ体力がなかったということです……。それでも楽しくやれたと思うので、満足しています。朝の公式練習ではトリプルアクセルをパンクしていたけど、6分間練習でしっかり4回転とともに調整できた。点数や順位もちょっとだけ気になっていたけど、それよりもいま自分がここでどれだけ戦えるかということを知りたかったので、いい点数が出てよかったです」
その後、羽生がトップに立ち、SP2位のボーヤン・ジン(中国)は合計267.67点にとどまると、最終滑走のジェイソン・ブラウン(アメリカ)は熟成された滑りを見せて合計274.82点で2位。鍵山の3位が決定した。
「この試合はあまりメダルとか順位を気にすることもなく、自分の演技に集中していただけだったので、3位という結果を知った時はビックリしましたし、すごくうれしかった。世界選手権になれば強い選手はもっともっといるので、自分がこの得点を出しても順位は下がってくると思うけど、この大舞台でこれだけできたということは自信につながった。来季シニアに上がるかどうかはわからないけど、いつでもシニアで戦える準備ができたと思います」
鍵山は今季、全日本ジュニアを初制覇したがジュニアGPファイナルでは優勝した佐藤駿の後塵を拝する4位と悔しい結果に終わった。だがその後は全日本選手権で3位になり、1月のユース五輪でも優勝。次に狙うのは、最大の目標でもある3月の世界ジュニアだ。
「この大会で得た自信を世界ジュニアでも生かせるようにしたい」と言う鍵山にとって、優勝を意識して臨む大会になる。そこでどういう結果を残せるか。急成長中の彼にとって、真価を試す場になるだろう。