2019年、女子プロゴルフ界は若手が台頭した1年だった。1998年生まれの渋野日向子が全英AIG女子オープンで優勝し、日本人女子としては42年ぶりの快挙を達成したのはまだ記憶に新しい。また1999年生まれの畑岡奈紗は、3月にLPGAツアー…

 2019年、女子プロゴルフ界は若手が台頭した1年だった。1998年生まれの渋野日向子が全英AIG女子オープンで優勝し、日本人女子としては42年ぶりの快挙を達成したのはまだ記憶に新しい。また1999年生まれの畑岡奈紗は、3月にLPGAツアーのキア・クラシックで自身初の米ツアー4日間大会で優勝すると、国内でも日本女子オープンを制するなど世界ランキングでも日本人トップの位置につける。他にも原英梨花、河本結ら同世代が優勝して、若手がツアーを席巻した。周囲は彼女らを「黄金世代」と呼ぶ。

 

渋野にとってルーキーイヤーとして迎えた2019年は、大きな飛躍の一年となった。国内ツアー4勝、米ツアー(メジャー)1勝という成績を残した。特に8月の全英AIG女子オープン制覇は、海外だけでなくもちろん日本国内でも大きな話題となった。その後は、周囲からの大きなプレッシャーがあったかもしれないが、本人はそれほど重くは感じていなかったようだ。

「全英に優勝したことで色々な人に知ってもらえたので、1カ月くらいは自分が上手くいかなかった時にイライラしていたこともありました。でも、その中でもコーチや家族に『今まで通りでいいんだよ』と言っていただけたので、そこからは自分らしくできていました。特に(プレッシャーは)感じていなかったのかな(笑)、というか(プレッシャーなのかすら)分かっていなかったのかもしれません」。この強心臓が渋野の強さなのだろう。全英AIG女子オープン最終日の18番ホール、バーディを決めれば優勝が決まる時でも動じなかった。「プレーオフをしたくなかった。早く終わって、早く帰りたかった。自分でもそんなに打つつもりはなかったです。強気で打とうとは思っていたのですが、予想以上の強気だったので、(打った瞬間は)『やばい』と思った」。

周囲がうらやむようなこの強靭なメンタルはいつ培われたのだろうか。「(きっかけは)全然わからない。これまでも勝負強いことはなかった。でも(国内メジャーのサロンパスカップを)初優勝をしたことで、いい意味で自分に自信がついたところもあったし、自分を信じられたこともあったので、その中で良いプレーができているかもしれません」。20歳178日で大会史上最年少Vを飾った大会だ。

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高橋由伸×畑岡奈紗 「競技を戦うココロとカラダ」を対談(https://cocokara-next.com/athlete_celeb/yoshinobutakahashi-nasahataoka-conversation-01/)

2019年の渋野の活躍は前述の通り。最後の最後まで賞金女王を争ったが、最終的に惜しくも2位でフィニッシュ。29ラウンド連続オーバーパーなしの国内記録も樹立した。これだけのパフォーマンスができた一番の要因は、「どこでも振りぬけることが自分の良さだと思っています。狭いところでもドライバーを振りぬきますし、全英の12番でワンオンチャレンジもしました。失うものは何もない気持ちで毎試合挑んでいるところがあります。最終日は特に。優勝争いをしていようが、最後まで振りぬく」と説明する。この思い切りの良さが渋野の強さの土台になっている。これに加えて2020年は、アプローチをレベルアップしていきたいそうだ。

いよいよ2020年はオリンピックイヤー。渋野は現在世界ランキング11位。畑岡に次ぐ日本人2番手でこのままいけば、東京五輪に出場できる。目標の金メダル獲得に向けて、2020年は米ツアーのアジアシリーズ2戦(ホンダLPGAタイランド、HSBC世界女子選手権)で始動する。開催時期は2月末だが、この時期のタイとシンガポールは暑さ対策が重要になってくる。同シリーズ初参戦の渋野は、「半袖、半ズボンでプレーをすることです。陽に当たらないことが大事だと思うのですが、耐えられないので。あとは日傘ですね」と自分なりの準備を考えている。これは8月に開催される東京五輪も同様だ。また、ラウンド中の『もぐもぐタイム』がトレードマークのようになっている食事についても準備に抜かりがない。「(ラウンド中の)食べ物はしょっぱいものを食べます。梅干しとかそういうのを持っていきます。(アジアシリーズには)日本から駄菓子を持っていくと思います」。

このアジアシリーズには畑岡も出場する。黄金世代2人の出場で国内は俄然盛り上がること間違いないだろう。畑岡は、「予選落ちがないので、4日間のプランをしっかりと立てたいです。それでトップ10に入りたいです。先のことも考えていいスタートを切りたいです」とスタートダッシュ宣言する。

アジアシリーズ2戦の後は、4月の米ツアーメジャー初戦「ANAインスピレーション」が控えている。この大会は、海外のトッププレーヤーも参戦し五輪に向けて大きな意味合いを持つ。「メジャー大会でポイントも高いので予選落ちを絶対にできないと思っていますし、今のランキングを維持するためには上位争いをしないといけないと思うので、しっかりと頑張ります」と渋野が意気込みを語れば、畑岡も「そこに照準を合わせます。オリンピック前ということもありますし、大きな大会です」と大事な一戦としてとらえる。

そして7月末には二人にとって2020年大目標の東京五輪が行われる。畑岡は「日向子ちゃんがメジャーを取ったので、(オリンピックでも)ライバルになると思います」と闘志を燃やすが、渋野の目には畑岡は「(ランキングで)今私の上にいるのは日本人では奈紗ちゃんだけなので、私が目指す人だと思います」と映る。そして、同世代ながら海外ツアーを先に経験している『先輩』と敬意を払い、将来的な共闘も誓う。「3年くらい前から海外で戦っているので、色々な経験からして先輩です。全然レベルが違いますが、いつかは肩を並べてアメリカツアーで一緒に戦っていきたいです。今は奈紗ちゃんが頑張って引っ張ってくれているので、私も負けじと頑張らないといけないと思わせてくれる存在です。アメリカツアーで戦っている日本人選手は少ないので、もう少しレベルアップしてアメリカツアーで活躍したいと思っています」。

畑岡は「より安定したプレーを続けられるようなシーズンにしたいので、『安定』ですね」と2020年の自身のテーマを一言で表すと、渋野は「今年は『進』。色々なことを覚悟していかないといけない年だと思いますし、自分が進化しないといけない年だと思います。2019年は自分が思う以上の成績を残せましたが、自分がもっと高いレベルを求めてそこに向けて自分が進んでいけるように、もっと強い自分になれるように頑張りたい」と、お互いにさらなる高みを目指すための個々の方向性を垣間見せた。

「東京五輪で金メダル」と異口同音に目標を述べる渋野と畑岡。2人にとって2020年は飛躍の年になることは間違いないだろう。そして、黄金世代のトップランナーとして光り輝き続けていくことを願いたい。

◆◆◆WOWOW LPGA2020シーズン 主な放送スケジュール◆◆◆
畑岡・渋野 出場!LPGA女子ゴルフツアー「ホンダLPGAタイランド」
第1日 2/20(木)午後1:00[WOWOWプライム]※無料放送
第2日 2/21(金)午後1:00[WOWOWライブ]
第3日 2/22(土)午後1:30[WOWOWライブ]
最終日 2/23(日・祝)午後1:30[WOWOWプライム]

畑岡・渋野 出場!LPGA女子ゴルフツアー「HSBC女子世界選手権」
第1日 2/27(木)午後0:30[WOWOWプライム]
第2日 2/28(金)午後0:30[WOWOWライブ]
第3日 2/29(土)午後0:30[WOWOWライブ]
最終日 3/1(日)午後0:30[WOWOWライブ]

★連日生中継★畑岡奈紗・渋野日向子の全ホールに密着する「畑岡・渋野 専用カメラ」をWOWOWメンバーズオンデマンドにて連日配信!(「ホンダLPGAタイランド」第1日は無料)

WOWOWオンラインhttps://www.wowow.co.jp/sports/lpga/、「LPGA女子ゴルフツアー公式サイト」、新情報は「WOWOWゴルフ 公式ツイッターアカウント」 @wowowgolfでチェック!
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