2日の「全豪オープン」最終日。男子シングルス決勝で、第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と対戦。4時間、フルセットに及ぶ試合をジョコビッ…

2日の「全豪オープン」最終日。男子シングルス決勝で、第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と対戦。4時間、フルセットに及ぶ試合をジョコビッチが6-4、4-6、2-6、6-3、6-4で制し、8度目の優勝を果たした。WOWOWの解説で元デビスカップ代表選手である鈴木貴男さんがこの試合についての振り返りや、今シーズンの展望について語った。

鈴木さんは、ジョコビッチの強さはBIG3のラファエル・ナダル(スペイン)やロジャー・フェデラー(スイス)と共通している部分があるという。「身体、テニス、環境、何かにおいて自分があまり良くない状態のときというのがあります。そのときになんとかレベルを下げすぎないようにすることができます」と分析する。

「例えば、自分がエースを取れない、支配できないと思うのであれば、相手にプレーさせて体力を削ったり試合を長くしたりして、相手に難しいことをさせようということができる。今回の試合だと、第2、第3セットでおかしいなとなったところからの立て直しですね。そこがまさしくジョコビッチらしいなと感じましたね」と語った。

実際、第2、第3セットはティームに圧倒され、ポイントを奪うパターンが少なくなったように見えたが、持ちこたえてショットの正確さを取り戻し、第4セット以降はミスもティームより少なくなっていた。

対するティームについては「彼のテニスはサーブやネットプレーなど、ハードコートへの対応という部分で、非常に成長していると思います。それは紛れもない事実ですが、グランドスラムでBIG3の選手を2人倒すのは容易ではありません。決勝にどれだけエネルギーを失わずに行けるかというのがティームの課題だと思います。それには、ベースとなるテニスもそうだし、体力やメンタルも少しずつ、もう一回りレベルアップさせていかないといけないかなと思います」と、決勝に進むまでの勝ち方も大事だと語った。

男子シングルスの今後については「BIG3の強さが光りますね。今回はジョコビッチが優勝しましたが、ナダルもフェデラーもテニスの質はまだまだ高いと言えます。フェデラーに関しては体力的な部分や怪我になりやすいといったところが心配なのは少しあります」と、やはりBIG3の存在が大きいという鈴木さん。

「次の世代と言われる、ティームやダニール・メドベージェフ(ロシア)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)もレベルアップしているので、期待はできると思いますね。"全仏オープン"では、ティームはもちろん、ズベレフもクレーコートでの戦いをきちんとできればチャンスがあると思います」と、次世代にも期待を寄せた。

女子シングルスでは、21歳のソフィア・ケニン(アメリカ)がグランドスラム初優勝を果たした。「ケニンが初優勝ということで、新しい選手がまた来たなという感じはあります。ですが、それと同時に、1年を通じてグランドスラムを2個3個勝っていける選手を見つけるのは難しいと思います。サーフェスの違いだったり、ドローによっては他の選手にも勝てるチャンスがあったり。混戦といえるのは間違いないと思います」と語った。

また、「日本の選手たち、男子も女子も今年はオリンピックがありますので、"全仏オープン"までのツアーの戦い、ポイントの取り方がいつもと変わるかなと思います。他の国の選手たちも変わってくるかもしれませんね」と、オリンピックに向けていつもと違った動きを見せると予想した。

さらに「長いツアーですから、怪我をしていた錦織圭(日本/日清食品)やフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)が戻ってきますし、前半であまり振るわなかった選手が一気に勝ち上がってきたり、クレーコートでチャンスをつかむ選手が現われてきたりすると思います。そうしたカムバックする選手や新しい選手にも期待したいですね」と語った。

男子シングルスはジョコビッチ、女子シングルスはケニンが優勝し、幕を閉じた「全豪オープン」。しかし、2020年シーズンはまだまだ始まったばかり。今後どのようなドラマが生まれるのか、期待したい。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全豪オープン」でのジョコビッチ

(Photo by TPN/Getty Images)