男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ・ワールドグループ・プレーオフ「日本対ウクライナ」(大阪・靭テニスセンター/9月16~18日/ハードコート)。日本の2勝0敗で迎えた2日目はダブルスが行われ、錦織圭(日清食品)/杉田祐一(三菱電機)が…

 男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ・ワールドグループ・プレーオフ「日本対ウクライナ」(大阪・靭テニスセンター/9月16~18日/ハードコート)。日本の2勝0敗で迎えた2日目はダブルスが行われ、錦織圭(日清食品)/杉田祐一(三菱電機)が、セルゲイ・スタコウスキー/アルテム・スミルノフに6-3 6-0 6-3の圧勝。3勝0敗とし、最終日を待たずにチームの勝利を決め、2017年のワールドグループ残留を決めた。

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 初日にダニエル太郎(エイブル)、西岡良仁(ヨネックス)のシングルスで2連勝を飾った日本。ウクライナはダニエロ・カレニチェンコからアルテム・スミルノフにメンバーを変更してきたが、植田実監督は予定通り、錦織/杉田のダブルスをコートに送り込んだ。デュースサイドに杉田、アドバンテージサイドに錦織。試合はスタコウスキーのサービスから始まった。

 第1セットは日本が6-3で先取した。1-1から先にサービスブレークに成功したが、続く錦織のサービスゲームでブレークバックを許し、2-2に追いつかれる。しかし2-3から一気の4ゲーム連取。錦織も、杉田も、序盤の硬さが徐々にとれ、わずか34分で第1セットをものにした。

錦織(前)/杉田の日本ペア

 第2セットはさらに早かった。24分の6-0。錦織/杉田は“即席ペア”とは思えないほどのコンビネーションのよさで着々とポイントを重ねていった。「リターンから攻めていこうと考えていた」と杉田。「初めて組んだわりには、いいプレーができた」と錦織。2人のプレーだけでなく、5000人を超す大観衆による日本への声援、30度を超える暑さが、ウクライナのペアを苦しめた。

スタコウスキー(左)/スミルノフ

 試合開始から約1時間での2セット連取は、それがどちらのチームにしろ、意外な展開。第3セットは1-1の第3ゲームから4人が立て続けにサービスゲームを落とすという、さらに意外な展開となったが、試合後の西岡の言葉を借りれば「負ける気はまったくしなかった」。日本ペアは怯むことなく攻め続け、第3セットは30分の6-3で日本の勝利が決まった。

 満面の笑みで抱き合う杉田と錦織。そこに植田監督が寄り添う。「この大舞台で自分の限界を超えたいと思っていた。しっかりと責任を果たせたと思う」と杉田が言えば、錦織も「リターンゲームが冴えていた。4人がそれぞれ勝利を挙げ、全員でつかみとった勝利です」と勝利の喜びを語った。

会見での日本チーム

 ウクライナは最後まで望みを捨てていなかった。カレニチェンコからスミルノフに変更したが、本来ならエースのマーチェンコに替えたかったはずだ。「でも彼は最終日の錦織戦にとっておきたかった。そのためには今日は休ませなければならなかった」とミハイリ・フィリマ監督が大きなため息をついた。

 昨日のシングルスに続き、ダブルスでも敗れたスタコウスキーが言う。「ベストは尽くしたが、力を出しきることができなかった」。12ゲームあったサービスゲームのうち、サービスキープできたのがわずか3ゲームではウクライナに勝ち目はなかった。

 最終日を待たずにチームの勝利を決め、ワールドグループ残留を確定させた日本。植田監督は「今はワールドグループに居続けることが大事」と口にした。「それが選手のモティベーションをつないでくれている」。負ければアジア/オセアニアゾーンのグループⅠに転落する危機だったが、これ以上ない完勝で踏みとどまった。日本にとって大きな勝利だったことは間違いない。

(テニスマガジン◎編集部/牧野 正)

※トップ写真は、ダブルスを戦い終えた錦織/杉田とウクライナのペア