アメリカ・ニューヨークで開催された全米オープン(8月29日~9月11日/グランドスラム/ハードコート)。 故障のため欠場することすら考えたというノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ここ7年で6度目の全米決勝に駒を進めたがタイトルにはあと…

 アメリカ・ニューヨークで開催された全米オープン(8月29日~9月11日/グランドスラム/ハードコート)。 

 故障のため欠場することすら考えたというノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ここ7年で6度目の全米決勝に駒を進めたがタイトルにはあと一歩及ばず、5度目の準優勝で折り合いをつけることになった。

 ジョコビッチによれば、彼は重要なポイントで硬くなったのだという。出血したつま先を含む、このところずっと対処しなければならなかった肉体的な問題のせいではないと言った。  スタン・ワウリンカ(スイス)に7-6 (1) 4-6 5-7 3-6で敗れた決勝で、見逃せないスタッツがある。彼の世代でもっともすぐれたリターンの名手のひとりであるジョコビッチだが、つかんだ「17」のブレークポイントのうち獲得できたのはわずか3つだけだった。  「重要な場面で僕は度胸を欠いてしまったよ。対して、彼は冷静さを保っていた。それが試合を決めたのだと思う」とジョコビッチ。「経験が豊富で何をすべきかを知っていても、ときにそういうことが起こってしまうのだと思う」  グランドスラムで12回の優勝経験を持ち、生涯グランドスラム(キャリアにおいて4つのグランドスラムのすべてで優勝すること)を達成した上、ATPランキングで200週もナンバーワンとして過ごし、テニス界で初めて獲得賞金1億ドルを超えた男からの実に驚くべき告白だった。

 何より彼は今季の前半はほとんど無敵と見なされていたのだ。ウィンブルドンの3回戦でサム・クエリー(アメリカ)に敗れるまで、ジョコビッチはグランドスラムで30試合連続で勝利を収め、約50年ぶりにグランドスラムのタイトルを4大会連続で獲った3人目の男となった(2015年ウィンブルドンから2016年全仏まで4つのグランドスラムを連続制覇)。  しかしジョコビッチはナンバー3のワウリンカに対する試合の重要な時間帯で、あまりに受け身になり過ぎていたと認めた。ワウリンカはその試合に勝ち、キャリア3つ目のグランドスラム・タイトル、全米初のトロフィを獲得した。  「彼はより勇敢だった。彼は踏み込み、アグレッシブにプレーしていた」とジョコビッチ。「一方で僕はまるで、何が起こるか待っているような感じでプレーしていた」。  ジョコビッチのリターンゲームほど、それが明白になった。彼は繰り返しワウリンカのサービスをブレークするチャンスをつかんでいたが、その都度逃してしまった。

 日曜日の決勝より前の試合では、ジョコビッチはリターンゲームの50%を取っていた。しかし、ワウリンカに対してはリターンゲーム「22」のうち3つを取ったにすぎなかったのだ。  「ブレークポイントをものにできなかったことについては、本当にひどかった。ただただ、ひどかったよ」とジョコビッチ。  彼は21度目のグランドスラム大会決勝に進出した。これは男子テニスの歴史上、ロジャー・フェデラー(スイス)に次いで2番目に多い回数である。そして、彼の決勝での戦績は今回、12勝9敗になった。

 そこには全米オープンでの2勝5敗も含まれる。ジョコビッチは2011年と2015年に優勝しているが、2007年にはフェデラーに、2010年と2013年にはラファエル・ナダル(スペイン)に、2012年にはアンディ・マレー(イギリス)に敗れている。  決勝が行われた日曜日に、ジョコビッチは全豪、全仏、そのほか5大会で優勝した今季の56勝6敗について自己評価するように頼まれていた。彼は先月、リオ五輪の1回戦の少し前に左手首を痛め、それからここ2週間は両肩、右肘の問題、さらに今大会の決勝で足にそれほど深刻ではないケガをしている。  「4つのグランドスラム大会のうち、2つに勝つというのはかなりいい年だと言える。そして、ここでもまた決勝を戦った。不満はないよ。当然ながら、もう1つタイトルを獲ることができればよかったけど、まあ仕方がない。握手をして、よりよいプレーをした選手から手渡された“負け”を受け入れて、前に進んでいかなければならないんだ」と、ジョコビッチは言った。  「僕がビッグマッチで負けるのは初めてではないし、また最後でもない。そこから学ぶことができればと願う。そうして、より向上したい。なぜってそれが、僕らアスリートにとっての人生のサイクルなのだから」。(C)AP