「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)の本戦4日目はシングルス2回戦5試合とダブルス準々決勝4試合が行われ、奈良くるみ(安藤証券)が世界ランク41位(9月12日付…

 「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)の本戦4日目はシングルス2回戦5試合とダブルス準々決勝4試合が行われ、奈良くるみ(安藤証券)が世界ランク41位(9月12日付)で第3シードのユリア・プティンセバ(カザフスタン)を6-2 6-2で破ってベスト8入りを決めた。

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「自分のテニスがいい方向に向かっている。勝ったことのない相手だったので勝ててうれしいし、自分のいいテニスができたことがうれしい」

 奈良は試合後のコートインタビュー、そしてそのあとの記者会見で何度も「うれしい」という言葉を重ねた。

 プティンセバとは、これまで4戦4敗。

 163cmのプティンセバは155.5cmの奈良と並んでも体格に差はなく、ツアーの中でも小柄な選手だが鍛えられたフィジカルとガッツあふれるプレーが持ち味で、奈良いわく「しつこくて嫌な相手」。4敗中2試合がフルセットでの敗退で、直近の対戦は今年4月のクレーコートの大会で第1セットをタイブレークで落とすと第2セットは0-6。奈良にとっては嫌な印象しかなかっただろう。

 しかも、プティンセバは今年全仏オープンでベスト8入りするなど躍進著しく、現在、自己最高ランクを更新中。初戦を見た奈良は「以前はしつこいだけと思っていたけど、うまく緩急をコントロールして、さらに嫌らしいところに打ってくる」と警戒した。

 手の内を知り合った相手ということもあり、プティンセバは試合序盤から奈良の得意なバックハンドではなく、しつこくフォアサイドに配球。その相手戦術に奈良も「相手がフォアに逃げてくることはわかっていた。フォアハンドでも逃げずに、自分の動きのスピードを上げて相手よりコートの中に入って打って、コートを広く使っていく」と、積極的に攻めに出た。

 さらに「ロングラリーを嫌がらずにプレーして、かつ仕留めるところを仕留めていく」という奈良がこの試合で当初目指したプレーも、最初からうまくはまった。

 第1セットは互いに2ブレークで2-2としたあと奈良が4ゲーム連取でこのセットを奪うと、第2セットも3-0とリード。結局、第2セットでは一度もブレークを許さずに押し切った。

「スコア以上に体はきつかったけれど、動ききれた。いい試合をして、勝てて本当に満足しています」と、奈良は自身のプレーに胸を張った。

 準々決勝の相手は、初対戦となるヤナ・セペロバ(スロバキア)。

「フラット系のショットで、展開がうまい選手。今日とはまた違った試合になると思うが、今のテニスをやれれば」と、この大会では2013年以来3年ぶりのベスト4入りに向けて意気込みを語った。

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 一方、1回戦を完勝で2回戦に進んだ大坂なおみ(日本)は第6シードのジャン・シューアイ(中国)に3-6 2-6の完敗。武器であるサービスも安定しなければサービスキープもままならず、ストロークでもアンフォーストエラーを重ねた。

「昨日(1回戦)は明確に自分が何をすべきかわかっていたけれど、今日は考えがいろいろと揺れてしまった。相手に対してどうプレーすべきか試合の間中ずっと考えていたけれど、相手がどうプレーしてくるかを考えすぎて自分自身で試合をより複雑にしてしまったのかもしれない。もしかして、もっとシンプルにプレーすべきだったかも」と、大坂は反省した。

 それでも「全米のキーズ戦での敗戦を踏み台として新たな課題に取り組んで、ある程度いいプレーができている。この数日に学んだことを、来週の大会に生かしたい」と、ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場が決まっている東レ パン・パシフィック・オープンテニスでの活躍を誓っている。

 ダブルスでは穂積絵莉(エモテント)/加藤未唯(佐川印刷)、青山修子(近藤乳業)/二宮真琴(橋本総業ホールディングス)の2組がベスト4入りを決めた。青山/二宮は1回戦で第1シードのシュー・イーファン/ジェン・サイサイ(ともに中国)を破り、この日の準々決勝ではデミ・シヒュース(オランダ)/レナタ・ボラコバ(チェコ)に7-5 6-3で勝利。

 また、穂積/加藤は1回戦で第2シードのカテリーナ・ボンダレンコ(ウクライナ)/シュアン・シージュン(台湾)を破ったのに続き、準々決勝でダニエラ・ハンチュコバ(スロバキア)/アリソン・リスク(アメリカ)を6-0 6-4で退けて準決勝進出を決めている。

(テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)