今年度の戦いを終えたヨット部。11月に行われた全日本学生選手権(以下、全日本インカレ)では、13年ぶりに6位以内に入り総合入賞を果たすなど、充実の一年となった。昨年度は上級生の代が不在という厳しい状況を経験しながらも、2年間、屋台骨として…

 今年度の戦いを終えたヨット部。11月に行われた全日本学生選手権(以下、全日本インカレ)では、13年ぶりに6位以内に入り総合入賞を果たすなど、充実の一年となった。昨年度は上級生の代が不在という厳しい状況を経験しながらも、2年間、屋台骨として常にヨット部を支えてきた4年生。引退を迎えた現在の心境を主将、副将に伺った。

第1回は副将の朝倉史悠(商4=日大習志野)のインタビューをお送りします。

――11月に行われた全日本インカレを振り返ってみて、改めていかがでしたか。

 「思い返してもチームとして総合入賞した瞬間というのは本当にうれしかったです。12年間ヨット競技を続けてきて、最後の4年間、同期と後輩と頑張れたのが報われた瞬間でした」

――学生として臨む最後の大会で、個人としてはどのような気持ちで臨みましたか。

 「学生として臨む最後の戦いですし、12年間、土日は毎日ヨットに乗り続けてきたので、それに一区切りをつける、自分の人生のターニングポイントのような大会だと思っていました」

――結果についてはどう捉えていますか。

 「うれしい半分、ちょっと悔しいです。470級は入賞して、僕たちのスナイプ級は惜しくも32点差で入賞を逃してしまったので、そこの点差をひっくり返せなかったのは悔しかったです」

――最終日となる2日目はどのような気持ちで臨みましたか。

 「順位を死守するというよりも、僕たちはチャレンジャーとして臨んでいたので、1レース1レース結果を求めていきました」

――緊張はしましたか。

 「初日の第1レースはめちゃめちゃ緊張しました。どんなスポーツでも入りは大切だと思うので、多少そこのプレッシャーはありました。初日が終わったタイミングでその緊張は取れました。自分たちのレベルが把握できて、そこからはチャレンジ精神を出すことができました」

――そんな中臨んだラストレース。楽しかったですか。

 「楽しかったですね。いろんな感情が出たというか、のびのびヨットに集中できました。ここまできたら同期と乗りたいと思って、4年生のクルーと乗ったのですが、やっぱり感慨深いものがありました。ヨット人生の中で一番楽しむことができました」

――結果、明大ヨット部としては13年ぶりの総合入賞を果たしました。

 「めちゃめちゃ喜びました(笑)。終わった後に抗議を受けてしまって、どの順位になるかわからなかったのですが、それが全部解消されて。入賞が決まった瞬間に同期や後輩と肩を組んで喜び合いました。あの瞬間は最高でした。今でも鮮明に、思い出すと鳥肌が立ちます」

――全日本インカレ総合入賞はチームで追い続けてきた目標でもありました。

 「途中から楽しむことを忘れないようにしました。最後は笑顔で終わりたかったですし、僕たち4年生全員が思っていたことだったので、それがいい方向に働いてくれたんだと思います。オンオフをしっかり切り替えられるようにはしました」

――上級生のいない2年間は大変でしたか。

 「大変でした。去年は自分たちが全部まとめていたのですが、何をすればいいのか正直わからなかったですし、下の人間関係もいろいろありましたから、ほぼ0の状態からのスタートでした。ただ振り返ってみて、その2年があったからこそいろんな成長を実感したし、就活で自分のことをしゃべる時でも、ここから全てピックアップできるくらい濃厚な2年間でした」

――その中でも一番辛かったことは何ですか。

 「大変だったのは部員同士でうまくいかないことがあった時です。ペア競技なので、海の上で喧嘩なんかされちゃったら、陸に帰ってきても自分も状況がわからないから介入もできないですし(笑)。あとはあれだけの人数がいましたから、そこの人間関係をどう勝ちにつなげていくかということには苦労しました」

――逆に、楽しかったことはありましたか。

 「いい意味でオンオフの切り替えができていたので、海に行けばどんな練習でも120パーセントで集中して、陸に帰ったら100パーセントでふざけていました(笑)。今思えば本当にバカなことばかりしていたなと思いますけど、それが息抜きにつながっていました」

――この4年間で一番印象に残っている出来事を教えてください。

 「自分の気持ちが変わったのは2年生の時で、その年の4年生が引退する最後の大会です。自分がものすごい足を引っ張ってしまって、全国でも8位を取るような実力のある先輩がいたのですが、その人を表彰台に上がらせる事ができませんでした。実力のなさを痛感して、その悔しさと申し訳ない気持ちは今でも覚えています。それをどうにかして変えていかなければいけないと思って2年間過ごしてきました」

――4年間で成長できたことを教えてください。

 「自分の中で、どんなことに対しても客観的に物事を捉えられるようになったかなと思っています。入部した当時は自分が強くなればいいとだけ考えていたので、他の人を見下していました。たとえ先輩であっても舐めた態度を取ってしまったのですが、そこで先輩からいろいろなことを指南してもらって、自分もそれを自分の中に落とし入れることができたので、4年生になった時にはペアやチームのことに向き合えるようになりました。そこで起こった問題に対しても、第三者からの観点で見て解決できるようになりました」

――苦楽を共にした同期への想いを聞かせてください。

 「セレクションとして入ってきて、自分と小倉は自分のことだけを考えていたので、思い返せば一般生に対して酷い扱いをしてしまったと思います。でもそれに耐えて、最終的にはチームリーダーをしていた僕たちについてきてくれたっていうのは心から感謝しています。言葉にはなかなか言い表せないですが、これ以上の人たちには出会えないと思うくらいいい人たちだと思っています」

――同様に、後輩への想いを教えてください。

 「入ってきた当初から尊敬してくれる子もいたりして、やりやすかったです。でもそこは大人数だったのでソリの合わない人もいたりしました。それでも最後引退する時に泣いて別れを惜しんでくれて、これも言葉ではうまく表せないですけど、よくついてきてくれたなと思っています」

――ヨットという競技は好きですか。

 「結局は好きですね。小5の時と中3の時に一回嫌いになった時期はありましたがそこで負けたまま終わったらダサいと思って、次の週からはすぐに復帰しました。もう1つは、ヨットをやっている自分ってかっこいいなって自負していたので(笑)、それもあいまって続けられました」

――最後に、ヨット部に入って良かったですか。

 「100パーセント良かったです!」

――今まで本当にお疲れ様でした。ありがとうございました!

[高野順平]

◆朝倉 史悠(あさくら・しゅう) 商4、日大習志野、173センチ・63キロ