今回は系属校出身の下級生投手コンビ、森田直哉(スポ2=早稲田佐賀)と雪山幹太(教1=東京・早実)にお話を伺った。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)、そして念願の早慶戦での登板を果たした森田は、さらなる高み『信頼される投手』を目指す。一…

 今回は系属校出身の下級生投手コンビ、森田直哉(スポ2=早稲田佐賀)と雪山幹太(教1=東京・早実)にお話を伺った。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)、そして念願の早慶戦での登板を果たした森田は、さらなる高み『信頼される投手』を目指す。一方雪山も、持ち前の冷静さで『負けない投手』へと進化を続ける。1軍、2軍を行き来しながらも、着々と成長を見せている2人。抜群の安定感を誇る早大投手陣の中で、来季は存在感を放てるか。

※この取材は12月17日に行われたものです。

「投げる度に六大学のレベルの高さを感じた」(雪山)


冷静に受け答えをする雪山

――今年度の投球を簡単に振り返るといかがでしたか

森田 自分としては、2年の秋までに(リーグ戦で)ベンチ入りすることを一つの目標に掲げていました。その中で、2年の秋にベンチに入って、投げることができたことはうれしかったです。

雪山 入学する前から、フレッシュリーグ(東京六大学春季フレッシュリーグ、春季フレッシュリーグ)があるということを聞いていて、(入学前は)投げられるかどうかはわからなかったですが、まず始めにそこで投げて、しっかり結果を残せるようにと思っていました。(実際に)投げられたので、結果はどうであれ、投げることができたことはいい経験になったと思います。

――先ほど話題にも出た、春季フレッシュリーグでの収穫はいかがしたか

森田 自分は、東大戦と明治戦に投げさせてもらったのですが、明治戦では自分が打たれて優勝を逃してしまったので、同級生に対して申し訳なかったです。フレッシュを終えて、自分がもっと成長して秋は臨まないといけないと実感しました。

雪山 自分はほとんどの試合でリリーフとして投げたのですが、投げる度に六大学のレベルの高さというものを感じました。点を取られる場面も多々あったので、秋に向けて課題が出た試合でした。

――夏季オープン戦での収穫と課題はいかがでしたか

森田 夏休みのオープン戦では、自分は1軍、2軍を行き来する状況でした。自分としては、任されたイニングは絶対に0点に抑えて、しっかりアピールすることを目標にしていたので、夏休みはある程度結果を残せたことが一番良かったかなと思います。

雪山 僕も森田さんと一緒で、1軍と2軍を行ったり来たりという夏休みだったのですが、夏休み中に調子を落としてしまいました。コントロールが乱れたりしてしまい、あまり調子は良くなかったのですが、秋のフレッシュ(東京六大学秋季フレッシュトーナメント)に向けて、少しずつ調子を上げていけたらなと思っていました。

――森田選手にお聞きします。秋季リーグ戦、立大3回戦でリーグ戦初登板となりましたが、それまでのリーグ戦はどのように見ていましたか

森田 自分たちの代の徳山(壮磨、スポ2=大阪桐蔭)、西垣(雅矢、スポ2=兵庫・報徳学園)がどんどん投げていて、悔しいという思いがずっとありました。でも自分の実力では全然(リーグ戦に)出られないと感じていたので、ふがいないと思いながら応援していました。

――早慶戦での登板を振り返っていかがですか

森田 自分もああいう場面で投げられると思っていなかったので、緊張はしたのですが、早慶戦という舞台で投げられる喜びを投球で表そうと思いました。先輩からも声を掛けてもらったので落ち着いて投げられたかなと思います。

――フレッシュやオープン戦との違いはありましたか

森田 リーグ戦だと応援もありますし、早慶戦に関してはそこまでの大観衆で投げるという経験がなかったのでいい経験になりました。

――救援という役割についてどのように考えていますか

森田 自分の中では、救援で投げるのであれば、一点も取られずにチームに流れを持ってくることが一番の役割だと思っています。まずは0点に抑えるということを意識して投げていました。

――先発を希望する投手が多いですが、先発と救援、どちらがご自身に合っていると思いますか

森田 自分は救援で投げたいなと思っています。自分は試合を最後抑えて、チームに勝利を呼び込みたいと高校時代から思っています。将来的には、抑えでも投げてみたいですし、どちらかと言えば救援の方が好きですね。

――早慶戦後、「安心して任せられるピッチャーになりたい」とおっしゃっていましたが、具体的な理想像はありますか

森田 自分はリーグ戦で(ベンチに)入ったのですが、ずっと『入るだけ』みたいな状況になっていて、それが悔しかったです。柴田さん(迅、社3=東京・早大学院)とかが連投しているのに自分は一試合も投げられないという状況で、何のためにいるのだろうと思うこともありました。やはり先輩たちがどんどん投げているのを見て、自分ももっと信頼してもらっていつでもいけるような、いつでも任せてもらえるような投手になりたいなと思いました。

――そこに近づくために必要なことは何だと思いますか

森田 今はフォームであったり、体づくりの部分であったり、足りないことばかりなので、この冬、そこの部分を埋めて、また春のシーズン投げられるようになりたいと思います。

――リーグ戦で活躍している慶大・森田晃介選手(2年)について何か意識する部分はありますか

森田 同じ名前というのもあって意識はしているのですが、やはり向こうの方が全然すごいですし。4年生になったら自分が抜いてやるのだという気持ちで、練習しています。

――続いて雪山投手にお聞きしていきます。秋季フレッシュトーナメントを振り返るといかがでしたか

雪山 何人かは知っている打者もいたので、春の経験も踏まえたうえで、打者を見ながら、春よりはもっと落ち着いて投げられたのかなと思います。

――試合後のインタビューで、「夏からチェンジアップを投げている」とおっしゃっていましたが、投げ始めた経緯はどのようなものですか

雪山 先ほども夏休みに調子を落としてしまったと言ったのですが、その理由の一つにフォークボールがあまり落ちなくなったというのがありました。もう一つとして、投球の幅を持たせるときに、チェンジアップは打者のタイミングをずらすという点で、有効なボールかなと自分で思ったので、研究しながら投げようかなと思いました。

――チェンジアップの精度はいかがですか

雪山 秋のフレッシュでも、何球かいいボールはあったと思うのですが、やはり駄目な球の方が圧倒的に多かったので、精度という点に関しては、まだまだ上げるべきだと思っています。

――インタビューの際に、ご自身の投球の強みとして、「大崩れすることがない」ということを挙げられていましたが、その秘訣は何でしょうか

雪山 客観的に自分を見ることができるかなと自分では思っています。ピンチになったときでも、周りに声を掛けることは忘れないようにして、いつでも冷静に、ということを心掛けています。打者だけに集中するのではなく、落ち着いて周りの状況を見て投げることができているのが、大崩れしない要因かなと思っています。

――目標とする投手像はどのようなものですか

雪山 負けない投手になることを一番の目標にしています。任された試合は全て勝てるように、なるべく失点をせずに、投げ切るであったり、後の投手に任せられる投手になったりすることが自分の目標です。

――負けない投手になるために、必要なのはどういうことですか

雪山 秋のフレッシュの(決勝・慶大戦の)時に、疲れもあったのですが、球威が前の試合(明大戦)よりもだいぶ落ちてしまって、スタミナ面で課題が出てしまいました。球威を上げることはもちろんですが、スタミナという面も課題かなと思います。

――同級生の田中星流投手(スポ1=宮城・仙台育英)がリーグ戦で投げられていますが、意識することはありますか

雪山 リーグ戦で投げている同級生なので、負けたくないという気持ちはいつも持っています。先ほどの課題を克服することはもちろんですが、日々の練習から(田中投手を)意識していきたいと思います。

――高校時代の捕手経験は現在の投球に生きていますか

雪山 先ほど言った、周りに声を掛けるということは、捕手の時から心掛けていたことですし、投球の中で配球を組み立てることは捕手ならではです。そのような部分は投手として生かしていこうと思って、(実際に)そのような部分で捕手の経験が生きています。

普段の2人の関係性は・・・


仲良く話す2人

――普段のお2人の関係性について教えてください

森田 1年生の中では、結構仲がいい方だと思います。ご飯とかよく行っているので。

雪山 入学した時から結構喋りかけてくれる先輩の一人ではあったので、先ほどご飯にもよく連れて行ってくれるという話もありましたが、仲良くさせてもらっています。

――お2人の高校を簡単に紹介してください

森田 早稲田佐賀のいいところは、唐津城というお城がすぐ近くにあることですね。練習しながらお城が見えたりするのですごいなと思います。

雪山 早稲田実業は全国的にも名の知れた学校で、王貞治さんや斎藤祐樹さん(平23教卒=現北海道日本ハムファイターズ)をはじめ、有名な方々が伝統を引き継いでくれた、伝統のある学校だと思います。

――お2人とも甲子園に出場されていますが、甲子園の思い出を教えてください

森田 自分に関しては、すぐ負けてしまったので、思い出という思い出はないですが、甲子園で投げられたというのはうれしかったです。

雪山 自分が出た時は、お客さんがたくさん入っていて、大観衆の中で野球をさせてもらえたというのは、本当にいい経験だったなと思います。でもその反面、2回戦で負けてしまったという苦い経験もあるので、いい面も悪い面も体験できた場所だったかなと思います。

――森田選手に質問です。高校まで九州で過ごされていましたが、東京の印象はいかがですか

森田 電車がきついというのと、街がうるさいという印象です。福岡の方が落ち着いているので、そっちの方がいいかなと思います。

――雪山選手に質問です。プロ入りした清宮幸太郎選手や野村大樹選手はどのような人物でしたか

雪山 偉大すぎるというか、ずっと背中を追いかけてきた存在だったので、プロに行き、遠い存在になってしまったなという印象はあります。でも、プロで活躍している姿を見て、その分自分も頑張らなくてはならないなと思わせてもらっています。

――仲のいい同期はどなたですか

森田 スポーツ推薦組や、長柄(昇、人2=石川・金沢桜丘)、中岡(凛太郎、スポ2=東京・早実)といつも旅行に行っているので、仲がいいですね。(早稲田)佐賀の同期とも仲がいいです。

雪山 特にこの人というのはないのですが、今いる14人の(1年生)ピッチャー陣全員でご飯行ったりするくらい、ピッチャー陣の横の仲はいいですね。

「150キロを投げたい」(森田)


救援登板、特に抑えへのこだわりを持つ森田

――新体制が始まってから1カ月ほど経ちました。新体制の雰囲気はいかがですか

森田 早川さん(隆久主将、スポ3=千葉・木更津総合)がキャプテンになって、厳しくというか、一つ一つの練習を突き詰めていこうという雰囲気で、以前より練習も締まりがあります。その点でいいかたちで進んでいるのではないかと思います。

雪山 練習メニューが一新されて、以前までのメニューよりも、もっともっと突き詰めるというか、練習の一つ一つに意味を持たせたものが多いので、毎日の練習が充実しているという印象です。

――練習メニューはどのように変わりましたか

雪山 特に下半身強化と筋力アップ等、投球動作に直結するようなトレーニングをやっています。(それは)渡辺トレーナー(大夢、スポ1=滋賀・膳所)と早川さんが話し合って決めたメニューですね。

――新しい練習メニューを始めて、ご自身の中で違いを感じる部分はありますか

雪山 投手陣全員が感じていると思うのですが、下半身強化メニューが多いので、筋肉痛が取れないなと。かなり強度の強いメニューなので、疲れが体にきているなと感じています。

――早川主将は主将としてどんな存在ですか

森田 プレーでも(チームを)引っ張ってくれますし、言葉でも厳しいことを言ってくれますし、自分から先頭に立って動くので、本当にすごいなと思います。自分も早川さんに近づいていって、優勝という結果になればいいかなと思います。

雪山 ほとんど同じようなことなのですが、常に意識が高くて、プレーでも言葉でもチームの先頭に立って引っ張っている先輩なので、鏡のような、見習うべき点が多い先輩です。

――投手としての早川主将はどのような印象ですか

森田 自分は同じ左投手ですし、尊敬する憧れの人なので、自分もいつかあの人に追い付けるようになりたいと思っています。

雪山 自分は左と右で違う部分もあるのですが、考えて野球をやってらっしゃるという印象です。色々な質問をしても何でも返してくれますし、タイプは違いますが、少しずつ近づけるようになりたいと思っています。

――お二人のこの冬の課題や練習の計画はどのようなものですか

森田 自分としては、救援としての立場が多くなってくると思います。現在の最速は145キロですが、150キロというものを個人の目標にして、トレーニングをやっていきたいなと思います。

雪山 自分はスタミナという大きな課題と、球威を上げるということを課題にして、この冬はやっていきたいと思います。

――来年度への思いをお願いします

森田 自分は立場がまだ確立されていなくて、この秋もほとんど投げられずに、悔しい思いをしたシーズンでした。来年以降はその悔しい思いをせずに、自分が投げてチームが勝つ、ということを目標にして、この冬頑張っていきたいなと思います。

雪山 僕はまだ1軍のベンチに入っていないので、 いち早くベンチに入って、1軍のリーグ戦で投げるということが目標なのですが、まだまだそこに及ばないので、ベンチに入れるように頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 後藤泉稀、杉﨑智哉)


来季ブレークを果たすことはできるでしょうか!

◆森田直哉(もりた・なおや)(※写真左)

2000(平12)年3月4日生まれ。180センチ。福岡県出身。スポーツ科学部2年。投手。左投左打。今秋、目標にしていたリーグ戦デビューを果たした森田投手。「信頼される投手になりたい」という思いそのまま、色紙には迷わず『信頼』の2文字を書いてくださいました!

◆雪山幹太(ゆきやま・かんた)

2000(平12)年5月17日生まれ。169センチ。兵庫県出身。教育学部1年。投手。右投右打。「客観的に自分を見ることができる」との言葉通り、自己の課題を冷静に見つめた発言が目立った雪山投手。課題を克服し、「負けない投手」を目指します!