「この負けがいつか、自分にとって必要な負けだった、そう言えるような野球人生を、これから歩いていきたい」――そう言い残し、早稲田実業・清宮幸太郎の2度目の夏は幕を閉じた。■涙の敗退から2ヵ月、主将に任命され、新チームで目指す2度目の甲子園「こ…

「この負けがいつか、自分にとって必要な負けだった、そう言えるような野球人生を、これから歩いていきたい」――そう言い残し、早稲田実業・清宮幸太郎の2度目の夏は幕を閉じた。

■涙の敗退から2ヵ月、主将に任命され、新チームで目指す2度目の甲子園

「この負けがいつか、自分にとって必要な負けだった、そう言えるような野球人生を、これから歩いていきたい」

 そう言い残し、早稲田実業・清宮幸太郎の2度目の夏は幕を閉じた。西東京大会で優勝した八王子に準々決勝で敗れた。あれから約2ヵ月。来年3月に開幕するセンバツ甲子園に向けた戦いは、すでに各地域で始まっている。清宮の早実も同様。新チームでは主将となり、2度目の聖地を目指している。

 本大会に出場するためのブロック予選は、2試合ともコールドで順当に勝ち進んだ。前のチームから出場している1年生4番の野村大樹とともにクリーンアップを組み、アベックアーチも放っている。甲子園に出られなかったため、新チームへの移行は早かった。チームとして体幹トレーニングを徹底的に行ってきた効果からか、2人がスイングし、痛烈なファウルを飛ばすたびに、観衆がどよめいた。多くのテレビカメラが見守る中、清宮は新チーム1号となる高校通算67本目の本塁打をバックスクリーンに軽々と運び、スケールの大きさを改めて証明した。

■「一流の選手になるためには忘れるという技術も必要になる」

 ただこれまでの清宮の動きと違うのは、イニング間で監督の後に必ず、ナインに言葉をかけていることだ。円陣を組んで、士気を高める。甲子園に出場した1年生の時は加藤雅樹捕手、今年の夏は金子銀佑内野手の両キャプテンに頼り切っていたが、今年はその役割を果たさなくてはならない。プレーで引っ張ってきた加藤、どちらかといえば言葉で引っ張ってきた金子。清宮はプレーと言葉と両方で牽引していくという自覚が強く表れているように見える。

 例えばある日の試合。同学年のエース・服部が送りバントをファウルするなどして失敗した。清宮には服部が気落ちしているように見えた。

 悔しがっていた服部を見て「これから僕らが勝ち進むため、自分らが一流の選手になるためにはは忘れるという技術も必要になる。どんどん上にいく近道でもあるからその技術を身に着けよう」と円陣で言った。次へ進まないと何も始まらない、失敗を恐れるなーー仲間のメンタルを取り戻す言葉を選んで、かけていた。

 もう一段階レベルの高い選手になるために、チームを甲子園に導くために、清宮は技術以外の部分でも戦っているようだ。主将となった今季、精神面での成長を見守りたい。