2020シーズン最初のグランドスラム(四大大会)、全豪オープンテニスが1月20日に開幕する。 北半球とは違い、真夏のオーストラリアで行なわれる同大会は、気温が40℃を超える日もあり、気象条件によって試合の時間変更や中断を決定する特別ルール“…

2020シーズン最初のグランドスラム(四大大会)、全豪オープンテニスが1月20日に開幕する。
北半球とは違い、真夏のオーストラリアで行なわれる同大会は、気温が40℃を超える日もあり、気象条件によって試合の時間変更や中断を決定する特別ルール“エクストリーム・ヒート・ポリシー”が設定されている。選手にとっては過酷な大会といえる。
女子では2019年大会を制覇し、日本人で初めて世界ランキング1位になった大坂なおみの連覇に注目が集まる。

また2017年以降の男子シングルスのグランドスラム王座は、フェデラー、ナダル、ジョコビッチのTOP3によって独占されてきた。
錦織圭が欠場する中、日本勢では、世界ランキング71位(1月13日現在、以下同)の西岡良仁や、同93位の内山靖崇の活躍が期待される。

そんな今回の全豪オープンについて、WOWOWの放送で解説を務める松岡修造さんにインタビューを行った。

〜松岡修造にとって全豪オープンはどのように映るのか〜

ブルーのコートと暑さ、照り返しとかそういうのも含めて、全豪ってなんか前向きに見えるんですね。そういう意味では1年のテニスの始まりってメッセージと共に、最もホットなグランドスラム。

選手はもちろんですが、応援の雰囲気とかエキサイティングさとかそういうものもあって、すごくオーストラリアはスポーツ大国なんだなって感じるところですかね。

「あと映像から通してくるものはやっぱり“アツさ”ですよね。」

それは天候的な「暑さ」と心の「熱さ」、その心の「熱さ」に特別に入ってくるのは2020。

グランドスラムでの1勝はポイントを大きいわけですから、ここでジャンプアップすればオリンピックも夢じゃない!という熱い想いの選手がたくさんいるわけですから。僕から見ると全豪もオリンピックの一部だという気がします。

-今回の全豪オープンで注目する点、見どころは?

大坂選手が2連覇できるかということを、世界は見ているでしょう。僕は、彼女なら世界一を継続できる選手、第2のセレナになれるという思いで今まで見てきましたし、そういう能力を持っています。でも、昨年は怪我や世界一の重圧という部分で、メンタルサイドがついていけなかったというのはありました。
ただ今の彼女はコーチも変わりすごくフレッシュで、テニス自体もいいですね。もう一度全豪で勝って、世界一に返り咲くことによって、再び第2のセレナとしてチャレンジするストーリーになってくるかどうか。そこを僕は一番注目していますね。

-大坂なおみに期待することは?

率直に言って、優勝、でしょう。優勝できる選手なので。テニスはすごく安定しているように見えるし、フィットネスというものに関しても本当にトレーニングを積んだんだなというのが見ていてわかるんですよ。
だからこそ、“なおみポジティブ感性”がこの全豪で作りあげられるか、一回戦からずっと作り上げていけるかというのが一番のキーポイントだと僕は思います。

「テニスを知らないことが彼女の魅力」
「何でこんなことするんだろう、修正していけばもっと良くなるのに」と思って僕は彼女のテニスを見ていましたが、その修正というのを間違えてしまうと、なおみさんのプレーは彼女らしさがなくなり、こじんまりしてしまう。。僕がもしなおみさんと試合となった時に一番怖いのは彼女のダイナミックさなんですよ。何してくるのかわかんないっていうのが怖いんです。それがきれいなテニスで、なおみさんのテニスはこうですって素直すぎるテニスになってしまうと、相手に読み取られて決まらなくなるのではないですか。

-全米の前にも大胆さが必要とおっしゃいましたけども、まさにそういうことなんでしょうか?

大胆さの中に安定感というものが絶対になければいけません。でど、その安定感とダイナミックさを打ち砕いていたのがプレッシャーなんでしょうね。勝たないといけないとか、そこを一回離脱して、再びチャレンジャーなおみ感覚に戻っていると思います。ただ、自分は世界一のテニスができるという想いは絶対に入れといた方がいいと、僕は確信を持って言えます。彼女は今、世界一のテニスを持っていると僕は思います。

-海外の選手などで注目してる選手は?

世界的な期待はTOP3にはこの地位にいて欲しいという思いがある一方、次世代の選手にももっと安定してトップに入ってきて欲しいという、一期待感がどこかにあるはずなんです。
ただ僕が断言できるのはこの三人は今でも進化しているという事ですね。何より、この三人の進化がすごい。守りからより攻撃的になっているし、フェデラーは体力がどんどん増しているって気がするんですよ。そういう意味では、彼らが生き残っていく技を、テニスの新しい捉え方で見られるのは、楽しいかもしれませんね。

日本のエース、錦織圭が右肘の手術の影響により出場出来ない中で、ジョコビッチ、フェデラー、ナダルのTOP3に一矢報いたいのが、西岡良仁だ。
ジョコビッチを擁するセルビアの優勝で幕閉じた国別対抗戦「ATPカップ」。西岡はこの大会のグループステージ最終戦、スペインとの一戦で、赤土の王者・ナダルと対戦。敗れはしたものの、序盤は2度ブレークを奪い先行するなどナダルを苦しめた。

西岡の全豪オープンでの過去の成績は2回戦進出が最高成績。しかしATPカップでの活躍を見ていた松岡氏は、今年の西岡に期待を抱いていた。

-ATPカップで活躍した西岡選手については?

今回の西岡はどこまで行くかわかんないですよ。彼のテニスが出来て、ドローもしっかりした時にはちょっとした選手には負けないですね。西岡良仁にしかできないテニスっていうのを彼は確立しました。

「彼はみんなを魅了するテニスを持っています」

背がそんなに高くはないですけど、ドロップショットや空中感覚が優れている選手です。たとえば、なんでロブをあげるんだろう、ロブもどこまで高くあげるんだろう、など、平面だけでなく高低も使って攻めている。それが全部入ったり、最終的な大事な時に攻撃していくとか、観ている人をを魅了するテニスです。その人気というのはちょっと世界を変えていける力を持っていると思いますし、特に全豪のお客さんに対しては、すごくハマる気がします。A T Pカップでいい感覚を掴んだ中で、是非この全豪でブレイクして欲しいと願っています。

-西岡選手のテニスでここを見れば面白い点は?

ここを、というよりも、まずは西岡選手の試合を見てください!絶対に面白いです。この170センチほどでも世界と互角に戦えるんだということがよくわかります。そして試合の中で最終的に攻撃しているのが西岡だとわかった時にめちゃくちゃ彼のテニスを見ているのが面白くなりますよ。彼は一球一球にワナを張っているんです。
だから、相手がミスした時に「相手がミスをしました」と僕は解説しないんですよ。「ミスさせられました」と言います。

「もし僕が西岡と当たったら、嫌だなと思いますよ。」
彼のテニスは対戦相手にとっていやらしいと感じさせるテニス。攻めても決まりそうで決まらない、しかも、「ここに打ってくれるな!」というボールを対戦相手はくらうわけですよ。それが毎回、回転もスピードも場所も変えてくる。彼のテニスはチェスとか将棋とか、相当高度なゲームをやっているような感じですね。ゲームをやっていても、イライラしたら終わりじゃないですか。彼のテニスは相手をイライラさせるんです。

「この数年で一番テニスって面白いねって言われました。」
ATPカップを地上波でやったのもあるかもしれませんけど、錦織圭が全米オープンの決勝に行った時よりも言われました。もう会う人、会う人に言われた。でもこれはすごい事だなって。そんな西岡のテニスがこの全豪でたくさんの人に伝わればいいなと思いますね。

連覇を狙う世界ランク3位の大坂なおみは、1回戦で同59位のブーズコバ(チェコ)と、同71位の西岡良仁は、同40位のL・ジェレ(セルビア)と対戦する。

東京五輪イヤー2020年の全豪オープンテニスは、WOWOWで1月20日~2月2日、連日生中継。(大会第1・2日無料放送)

WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。