大坂なおみ(WTAランキング3位、1月13日づけ)が、オーストラリアンオープン(全豪)で日本人選手としては、初めてディフェンディングチャンピオンとしてコートに立つ。 グランドスラムのディフェンディングチャンピオンとしてプレーするのは、20…

 大坂なおみ(WTAランキング3位、1月13日づけ)が、オーストラリアンオープン(全豪)で日本人選手としては、初めてディフェンディングチャンピオンとしてコートに立つ。

 グランドスラムのディフェンディングチャンピオンとしてプレーするのは、2019年USオープンに続いて2回目となる。大坂の水色のラケットバッグには、自由の女神とカンガルーのシルエットの白い刺繍が縫いつけてあり、ニューヨークとメルボルンでのグランドスラム優勝が表現されている。



コーチとの練習中に笑顔を見せる大坂なおみ。1回戦に向けて仕上がりは上々

 USオープンでは3回戦で敗れて、タイトルを守ることができなかった大坂だったが、今回の全豪では、穏やかな表情を浮かべ、落ち着いて大会を迎えられていると語った。

「USオープンと比べたら、明らかによりリラックスしていると思います。あそこ(ニューヨーク)では、自分が神経質になることや自分に期待することへの対処など、多くのことを学びました。経験すべきすべてを、(ニューヨークで)経験できて本当によかった。この大会(全豪)に臨むにあたって、よりいい準備ができるでしょう」

 昨シーズン末には、右肩の痛みからWTAファイナルズを途中棄権して2019年シーズンを終えた大坂は、11月は完全休養に当て、12月に練習を再開させた。同時に、新しいツアーコーチとしてウィム・フィセッテコーチを招き、2020年シーズンに向けて再始動した。

「オフシーズンには、フィットネストレーニングをたくさんして、ウィムと一緒にトレーニングしました。前に進むためのアイデアを出し合い、理解しようと努め、たくさんのことを話しました。私は、その話し合いができたことが本当にうれしい」(大坂)

 初めてフィセッテコーチと臨んだ、ツアー開幕戦のWTAブリスベン大会で大坂はベスト4に進出して、シーズンの好スタートを切っている。

 大坂は体のラインがシャープになり、全豪の会場での練習を見る限り、右肩の心配はなさそうだ。

「私の肩はとてもいい状態よ。(前哨戦)ブリスベンでは、いいサーブが打てていたと思うし、できればこの大会でもいいサーブを打てたらいい」

 フィセッテコーチとの練習中に、大坂は、しっかりコーチの目を見てアドバイスを聞き、ときには笑顔も見られ、新パートナーとの師弟関係は良好なようだ。

「彼(フィセッテコーチ)は、以前組んでいた選手とのたくさんの経験があり、彼が知っているたくさんの情報に期待しています。彼を信頼できるし、尊敬もできます」

 フィセッテコーチは、ベルギー人で39歳。これまでキム・クライシュテルス(ベルギー)、シモナ・ハレプ(ルーマニア)、アンゲリク・ケルバー(ドイツ)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)らと組んで、彼女たちをグランドスラムの決勝や優勝へ導いた実績がある。試合データやショットのスタッツを駆使しながら、選手にアドバイスをする手腕は一目置かれており、大坂とはどんな化学反応が起きるのか、新タッグで初めて戦うグランドスラムに期待が膨らむ。

 今回の全豪で第3シードになった大坂は、大会ドローのトップハーフに入り、1回戦で、マリエ・ボズコバ(59位・チェコ)と初対戦することになった。

「彼女(ボスコバ)のことは本当に知らないの。メインドローにいるみんながいい選手であり、1回戦はいつもとてもタフなものだと思う」

 このように語った大坂が勝ち上がった場合、2回戦では、ジェン・サイサイ(41位、中国)と予選を勝ち上がったアンナ・カリンスカヤ(108位、ロシア)の勝者と対戦する。サイサイとの対戦成績は、大坂の1勝1敗。大坂が17歳の時に、2015年ITF岐阜大会の決勝ではフルセットの逆転負けを喫している。カリンスカヤとは対戦したことがない。

 さらに順当に勝ち上がった場合、3回戦からはシード選手同士の対戦が始まり、第32シードのバルボラ・ストリコバ(33位、チェコ)なら、過去の対戦成績は大坂の2勝1敗。もしくは、15歳の新鋭コリ・ガウフ(66位)と対戦する可能性も秘められている。昨年のUSオープン3回戦での対戦が記憶に新しいが、大坂の1勝0敗だ。

 4回戦では、大坂と2勝2敗の第14シード、ソフィア・ケニン(15位、アメリカ)、と当たる可能性がある。前哨戦のWTAブリスベン大会2回戦で対戦して、大坂がフルセットで逆転勝ちを収めている。

 準々決勝では、第8シードのセリーナ・ウィリアムズ(9位、アメリカ)が出てくる。対戦成績は大坂の2勝1敗。38歳のセリーナは、全豪で7回の優勝を誇るが、3年ぶりのタイトル奪取と同時に、1968年のオープン化(プロ解禁)以前も含めたグランドスラム優勝回数の新記録24回を狙っている。

 そして準決勝では、第1シードのアシュリー・バーティ(1位、オーストラリア)が待っているだろう。対戦成績は2勝2敗。事実上の決勝になり得るようなタフバトルになるかもしれない。

 大坂の1回戦は、大会初日の1月20日に入り、全豪のセンターコートにあたるロッド・レーバーアリーナのオープニングマッチに組まれた。

「もし自分ができる限りベストなプレーをすれば、明らかに1回戦で負けることはないでしょう」とトッププレーヤーらしい自信も備えた大坂は、果たしてメルボルンでディフェンディングチャンピオンとしてふさわしいベストプレーを披露し、大きな結果を残せるのかどうか、世界中から注目が大坂に注がれる。