「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~2月2日/ハードコート)は、新しいスター選手を発掘する大会という評判を確立しつつある。2006年、マルコス・バグダティス(キプロス)が…

「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~2月2日/ハードコート)は、新しいスター選手を発掘する大会という評判を確立しつつある。2006年、マルコス・バグダティス(キプロス)が20歳でグランドスラム初の決勝進出を決め、一躍有名になった。2年後、ノーシードの22歳ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)が準決勝でラファエル・ナダル(スペイン)をストレートで下し、こちらも自身初のグランドスラム決勝進出を果たして、鮮烈な印象を与えた。

2013年のスローン・スティーブンス(アメリカ)、2014年のユージェニー・ブシャール(カナダ)、そして2015年のマディソン・キーズ(アメリカ)と、3年連続で十代のスターたちが準決勝に進出し、その力を世界に示した。

2018年、チョン・ヒョン(韓国)とカイル・エドマンド(イギリス)も彼女らに続いた。そして2019年にロジャー・フェデラー(スイス)を倒し、準決勝に進んだのはステファノス・チチパス(ギリシャ)だった。これだけ多くの新しい才能が躍進を見せてきた「全豪オープン」。2020年も同じような物語が見られるだろうか。

ダブルスで22回のグランドスラム優勝経験があるトッド・ウッドブリッジ(オーストラリア)は、男子ではフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)とデニス・シャポバロフ(カナダ)の2人が、同様の成功を収める可能性があると考えている。

オジェ アリアシムについて、ウッドブリッジは「去年の今頃、フェリックスにインタビューしたんだ。その時彼は“全豪オープン”予選で負けて、本戦開幕を前に飛行機で家に帰るところだった。だがこの1年多くの勝利を重ねて、今は自信に満ち溢れている。良い状態のたくましい身体を作り上げていて、身体的には十分戦えるように見えるね。“全豪オープン”は、ドローが良ければ彼にとって大きなチャンスだと思う」と、「全豪オープン」公式サイトに語っている。「我々はここ数年多くの若いセミファイナリストを目撃してきた。チョンにエドマンド、そしてチチパス。オジェ アリアシムもそれをやってくれると期待している」

さらに、オジェ アリアシムと同じカナダ選手で世界13位のシャポバロフの名前を挙げた。「彼のプレーは、いい方向に向かい始めている。あとは、5セットマッチを勝ちきることだ。若い選手にとっていつも問題はそこなんだ。安定したプレー、集中力、そして5セットの中で訪れるうまくいかない時間をどう乗り切るか。でもシャポバロフは良い速度で成熟しつつあり、正しい時に正しいショットを選択すると言う意味で、より良いテニスをするようになってきている。以前はややランダムだったけれど。オジェ アリアシムとシャポバロフは、勝ち進むと期待している選手だね。準々決勝か、準決勝までいくかな。2人のうちどちらかは行くと思うよ」

女子では、男子テニス界ではまだ見られないような大きな形で、若い選手たちが既に躍進を始めている。2019年「全豪オープン」を制したのは当時21歳の大坂なおみ(日本/日清食品)で、「全米オープン」覇者となったのは19歳のビアンカ・アンドレスク(カナダ)だった。ウッドブリッジは、次のスター候補としてソフィア・ケネン(アメリカ)とアマンダ・アニシモワ(アメリカ)の名前を挙げた。

アニシモワは、去年「全豪オープン」4回戦進出後、「全仏オープン」ではベスト4入り。当時17歳の彼女は、前回優勝者だったシモナ・ハレプ(ルーマニア)を圧倒して自身初のグランドスラム準決勝進出を決めた。今は世界ランキング22位。次の段階に進む準備はできているだろう。

「アメリカの女子選手たちにとって、2019年は大躍進が見られ、非常に心躍る一年だった。中でもケネンは、今年も成長を続けるだろう」とウッドブリッジは語る。現在世界ランキング15位のケネンは、21歳になる前に3つのWTAタイトルを獲得し、「全仏オープン」ではセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を倒すという番狂わせを演じた。「ケネンは自信に満ちているし、自分の力を信じている。脆く見えない。何度か落胆してもそれに耐え、立ち直ることができるように見える。そこがいい」

(テニスデイリー編集部)

※写真は2020年「ATPカップ」でのオジェ アリアシム(左)とシャポバロフ(右)

(Photo by Bradley Kanaris/Getty Images)