新たな年が明け、全日本学生選手権(インカレ)が開幕した。最大の学生大会であるこの舞台に、全国の大学生が集って技を競った。競技1日目には、早大から3名のスケーターが演技。3級女子に土屋凜菜(国教1=東京・頌栄女学院)と谷川栞理(人3=岡山一…

 新たな年が明け、全日本学生選手権(インカレ)が開幕した。最大の学生大会であるこの舞台に、全国の大学生が集って技を競った。競技1日目には、早大から3名のスケーターが演技。3級女子に土屋凜菜(国教1=東京・頌栄女学院)と谷川栞理(人3=岡山一宮)、5級女子に正村瞭子(文構1=東京・早実)が出場した。土屋は初出場ながら3位に入賞。谷川とともに、3級女子団体で優勝した。


スピード感のある演技を見せた土屋

 3級女子に登場した土屋は、初めてのインカレに挑んだ。予選の東日本学生選手権を1位で通過し、期待が寄せられる中での演技。『ドン・キホーテ』の華々しい音楽とともに、勢い良く滑り出した。シングルフリップ-シングルアクセルのシークエンスを決めて流れに乗ると、続くダブルサルコーも着氷した。前回の試合であげた体力面の課題に向き合い、ダブルジャンプの跳び方を意識してきたという土屋。「今までよりダブルジャンプに体力がとられない風な跳び方ができていたのかなと思います」と練習の成果を実感した。コレオシークエンスでは、ポジションや進行方向を変えて3パターンのスパイラルを行なった。脚を後ろに上げて後方へ滑っていくものを披露すると、情緒的かつ上品な雰囲気が会場に広がった。後半に入れたダブルトーループ、シングルルッツにシングルループを2つつけた3連続ジャンプも流れよく着氷し、音楽の盛り上がりによく合ったスピンで演技を締めくくった。「内容的にはここ最近で一番いい演技ができました」と振り返ったこの演技は、37.22点を獲得。3位で表彰台に上る、鮮烈なインカレ初戦となった。


最後まで表情良く滑った谷川

 同じく3級女子に登場した谷川は、きょねん、おととしに続いて3年連続での出場となる。曲は、9to5 the musicalより『One of the Boys』。髪をかきあげるような振り付けから演技が始まった。最初に置いたダブルサルコー-シングルトーループ-シングルループの3連続時ジャンプを降り、2つ目のダブルフリップに向かった。こちらは着氷時にオーバーターンが入ってしまったが、小さなミスにとどめる。中盤にはシングルルッツとシングルアクセルのシークエンスを着実に決めた。「最近少し構成を変えたこともあってなかなかジャンプが入っていなかった」との言葉にもあったように、その後のジャンプで少し着氷が詰まる場面も。しかし、全てのジャンプでしっかりと踏ん張り、転倒はゼロに抑えてみせた。踊りの部分では、音楽と滑り、そして表情をよく調和させて表現した。安定したポジション変化を見せたコンビネーションスピンで演技を終えると、33.30点で10位につけた。演技終了後、「きょうの演技は自分が練習してきたことが出せなかった」と肩を落とした谷川。しかし、しなやかな手脚の動きや余裕のあるビールマンポジションなど、谷川ならではの技を存分に披露したプログラムだった。ラストイヤーが迫る中、「もし(インカレに)来年出られたとしてもあと1回しかないんだって思うと、もっと本気で練習に取り組みたいなと思いました」と決意新たにまい進する。

 土屋、谷川両者の結果を受け、早大は女子3級クラスの団体優勝に輝いた。今後の試合に向け、幸先の良いスタートとなった。


笑顔で初舞台を終えた正村

 5級女子に登場した正村はピンクの可憐な衣装に身を包み、明るい表情でリンク中央に立った。土屋と同じく、インカレにはことし初めて出場する。『パリのアメリカ人』の音楽に合わせ、楽しげに演技を開始した。まずはダブルフリップ-シングルトーループの連続ジャンプに成功。次のアクセルジャンプは回転が抜けてしまった。「(調子は)良かった方なのですが、ジャンプにつながらなかったかなと思います」と振り返ったように少しタイミングが合わない部分もあったが、ダブルルッツ、ダブルサルコー-シングルアクセルのシークエンスなど、後半に置かれた得点の伸びるジャンプをしっかりと着氷した。技と技のつなぎの部分でも気持ちを切らさず、曲調によく合った笑顔で表現。終盤に挑んだダブルトーループとアクセルジャンプのシークエンスは回数制限を超えてしまったためにリピート扱いになってしまったが、最後まで全力で滑りきろうという積極的な気持ちが現れた場面でもあった。レイバックスピンで締め、36.44点の18位でフィニッシュした。演技終了後、滑りの中の表情について「本当に、純粋に楽しくて笑いました」と明るく話した正村。笑顔が印象強いインカレデビューとなった。

 早大勢の先陣を切り、大舞台での演技に挑んだ三選手。全員が口にした「楽しい」という言葉が、今後のさらなる伸びを期待させた。あすからは男女7、8級の試合が始まっていく。全日本選手権を経た永井優香(社3=東京・駒場学園)、石塚玲雄(スポ2=東京・駒場学園)が披露する演技にも引き続き注目したい。

(記事、写真 犬飼朋花)

結果

▽3級女子


土屋凜菜 3位 37.22点


谷川栞理 10位 33.30点


▽3級女子団体


早稲田大学(土屋、谷川) 1位 13点


▽5級女子


正村瞭子 18位 36.44点


コメント

土屋凜菜(国教1=東京・頌栄女学院)

――初出場でしたが雰囲気などいかがでしたか

東インカレ(東日本学生選手権)の方が、予選だったので緊張と大会感はあったなと思ったのですが、きょうは思ったよりも緊張せずに滑れたなと思います。

――3位という順位についてどう感じますか

ずっと調子が良くなくて。公式練習も6分間練習も。だから内容的にはここ最近で一番いい演技ができました。内容的に満足しているので、3位は普通に嬉しいです。

――改めて演技を振り返っていかがですか

いま自分ができることは、やり切れたとは言えないけれどある程度は、(秋季)交流戦とか東インカレよりかは成長した演技ができたかなと少しは思います。色々直すところもこの大会で見つかったので、来シーズンに向けて頑張りたいなと思いました。

――ダブルジャンプを入れた際のスタミナの課題について以前お話しされていました。今回はどうでしたか

頑張ってこの3週間ぐらい、あまり力を入れずにダブル(ジャンプ)を跳ぶことを意識していて、練習してきたので今までよりダブルジャンプに体力がとられない風な跳び方ができていたのかなと思います。

――表現の面についてはどうでしょうか

すごく楽しく滑れたので、それが見ているお客さん側にも伝わっていたらいいなと思います。

――今後に向けて意気込みを聞かせてください

今シーズンは6年ぶりのスケートで色々緊張とかもありました。来シーズンは思い切り、いろいろなことに挑戦しつつ安定したジャンプやスピンを滑って、ブラッシュアップしてシーズンに入れたらなと思います。

谷川栞理(人3=岡山一宮)

――演技を振り返っての感想をお願いいたします

きょうの演技は自分が練習してきたことが出せなかったので、反省しなきゃいけないなという点がたくさんありました。

――ジャンプの調子は

最近少し構成を変えたこともあってなかなかジャンプが入っていなかったので、その点がうまくいかなかったと思います。

――以前スピンの回転不足が課題とおっしゃっていましたが、きょうはいかがでしたか

(秋季)交流戦からきょうに向けてスピンを改善すること、回転数の改善を目標にやってきたのですが、想像よりレベルが取れていなかったので、次回はちゃんと入れられるようにしたいです。

――表現はいかがでしたか

表現に関しては、自分自身はすごく楽しく滑ることができたので良かったと思います。

――インカレの舞台に立つのは3年連続になります。3年目のことしはどんな大会でしたか

1年生、2年生のときはあまり深く考えることはなかったのですが、きょうこの演技をやって、もし(インカレに)来年出られたとしてもあと1回しかないんだって思うと、もっと本気で練習に取り組みたいなと思いました。

――今後の抱負は

自分がもうこれ以上できないって思うところまで日々練習して、最後には笑顔で終えられるような演技を目標に頑張っていきたいです。

正村瞭子(文構1=東京・早実)

――演技を終えていかがですか

ジャンプの出来はそんなに良くなかったけれど、楽しめたので良かったかなと思います。

――初めてのインカレでしたが

あまり緊張もしなかったので、楽しんで出来ました。

――体の動きなど、きょうの調子はどうでしたか

良かった方なのですが、ジャンプにつながらなかったかなと思います。

――ジャンプにつながらなかったというのは何か原因はありますか

練習不足かなと思います。

――最後まで楽しげな表情でした

本当に、純粋に楽しくて笑いました(笑)。

――今後に向けての意気込みをお願いします

やはり自分は体力が全然なくてジャンプもあまりうまくいかないことが多いので、体力をつけてもっといい演技ができるように頑張りたいと思います。