雪辱を果たす時が、いよいよやってきた。第96回東京箱根間往復大学駅伝(箱根)はあす1月2日、大手町で号砲を迎える。昨年の大会で総合12位に沈んだ早大は、今季13年ぶりに参戦した予選会でも、上位争いを期待されながらまさかの9位。だが直後の全…

 雪辱を果たす時が、いよいよやってきた。第96回東京箱根間往復大学駅伝(箱根)はあす1月2日、大手町で号砲を迎える。昨年の大会で総合12位に沈んだ早大は、今季13年ぶりに参戦した予選会でも、上位争いを期待されながらまさかの9位。だが直後の全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では見事に立て直し、6位で3年ぶりのシード権を獲得した。11月の1万メートル記録挑戦会では新たに3人が28分台に突入し、チームは上がり調子だ。指導陣も「例年よりも質の高い練習ができたメンバーが多く、特に上位層の選手は面白いと思う」(駒野亮太長距離コーチ・平20教卒=東京・早実)と自信をのぞかせる。チームの目標は『総合3位以内』。そのためには往路で上位につけることが必要不可欠だ。他大学も多くの有力選手を擁す往路で、早大はいかにして上位に食らい付くか。本記事では12月29日時点での区間エントリーをもとに、箱根路の展望をお伝えする。

 1区に抜てきされたのは尼子風斗(スポ4=神奈川・鎌倉学園)。今季は箱根予選会に出走し、対校戦デビューを果たした。他大学には昨年区間賞の西山和弥(東洋大)や鬼塚翔太(東海大)など強者がそろうが、臆することなく夢の箱根路を駆け抜け、チームに勢いを与えたい。各校のエースが集う『花の2区』には、太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)が登場。今季は春先に5000メートル13分台に突入すると、関東学生対校選手権(関カレ)1万メートルで初入賞。全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では区間新記録をマークするなど、常にその背中でチームを引っ張ってきた。2区は2年時から任されており、知り尽くしている区間であると同時に、けが明けで臨んだ昨年区間21位に沈み、悔しさを味わった舞台でもある。昨年の屈辱を晴らすためにも、総合3位以内を手にするためにも、エース区間で有終の美を飾りたい。


3年連続でエース区間の2区に出走する太田智。4年間を最高のかたちで締めくくってほしい

 3区に選ばれたのは山口賢助(文2=鹿児島・鶴丸)。今季は箱根予選会のメンバーに名を連ねたが、チーム内7番手で存在感をアピールするには及ばなかった。「練習を離脱することなく継続できている点が評価されていると感じている」(山口)と自己分析する通り、一般入試組ながら入学以降地道な練習を積み重ねて力を伸ばしてきた選手。まだ順位の入れ替わりの激しい3区でどの位置に付けるかで、続く区間の選手の精神的な余裕度が変わってくる。練習の成果を発揮できるか、山口の走りが試される。4区には千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)が出走予定だ。昨年の箱根では3区に登場し、下位でのレースを強いられながら区間10位にまとめた。以降、けがに悩まされた期間もあったが、全日本予選会では太田智と共に最終組で積極的な走りを見せて予選通過を確実にし、全日本では4区区間3位の好成績を残した。怯まない走りで要所でチームに貢献できる選手だ。もし、4区にタスキが渡るまでにチームが振るわなかったときは、ゲームチェンジャーになることを期待したい。山上りの5区に名乗りを上げたのは吉田匠(スポ3=京都・洛南)。昨年もこの区間の筆頭候補に挙がっていたが、直前の事故で欠場を余儀なくされ、チームは下位に沈んだ。その無念を晴らすチャンスをつかんだかたちだ。5区は大きなアドバンテージを稼ぐことができる区間である反面、失速すれば復路での巻き返しが困難になる。全日本では最長区間である8区を任され、混戦の中見事シード権をつかみ取って指揮官の期待に応えた選手。往路のアンカーとして、吉田が芦ノ湖に上位でタスキを届けることを、チーム全員が思い描いている。


前回はアクシデントで5区に出走できなかった吉田。今年に懸ける思いは強い

 なお、早大は新迫志希(スポ4=広島・世羅)や中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)、井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)といった主要選手を補欠に残しており、起用区間を念入りに見極める方針だと考えられる。高速化が進んでいる背景を鑑みれば、スピードランナーである3人も、往路に起用される可能性が大いにある。当日の朝、どんなカードが切られるのか。指揮官の采配にも注目だ。

(記事 町田華子、写真 宅森咲子、加藤千咲)

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