文=丸山素行 写真=鈴木栄一留学生とのマッチアップを制して2冠達成ウインターカップ女子決勝はインターハイと同じ、桜花学園(愛知)と岐阜女子(岐阜)の対戦となり、終盤の猛追を振り切った桜花学園が3年ぶりの優勝を果たした。この試合、最大の存在感…
文=丸山素行 写真=鈴木栄一
留学生とのマッチアップを制して2冠達成
ウインターカップ女子決勝はインターハイと同じ、桜花学園(愛知)と岐阜女子(岐阜)の対戦となり、終盤の猛追を振り切った桜花学園が3年ぶりの優勝を果たした。
この試合、最大の存在感を示したのが留学生のオコンクウォ・スーザン・アマカだ。アマカは制空権を支配しインサイドで得点を量産。守備でもリムプロテクターとしてゴールを死守し、確実にディフェンスリバウンドを獲得。25得点14リバウンド4ブロックという素晴らしいスタッツを残した。
優勝を大きく引き寄せたのも、アマカの1プレーだった。最終クォーター残り13秒、オフェンスリバウンドを獲得したアマカはそのままシュートに持ち込み、イベ・エスター・チカンソから個人5つ目のファウルを誘発。1本目のフリースローは外れたが、この緊張のかかる場面で2本目を成功させ、点差を3へと広げた。
2点では届かず、3ポイントシュートを狙うしかなくなった岐阜女子のエース、林真帆の3ポイントシュートが外れ、逃げ切った。
アマカは「今までで一番緊張した」という終盤のフリースローの場面をこのように振り返った。「点数を見て、アマカがこれを決めたら絶対に勝つと思った。めっちゃ緊張して1回外して、2回目はちゃんと落ち着いて決められた。アマカは1回外したら2本目は絶対決める」
こうして、桜花のインターハイとウインターカップの2冠に大きく貢献したアマカだが、「平均30点は取りたいので、25点はちょっと足りなかった」と、この数字に満足していない様子。さらに「疲れたから、全部のリバウンドにジャンプできなかった。でも来年は絶対にやりたい」と、優勝直後にもかかわらず来年の目標を語った。
「まだ終わりじゃない。来年も頑張ります」
岐阜女子にはチカンソとジョル・セイナブ・ライの2人の留学生が所属し、彼女たちの存在はアマカと同様にチームの大きなアドバンテージとなっている。
そして、この留学生同士のマッチアップでアマカが上回ったことが桜花の勝因の一つと言える。彼女たちと違い、アマカに替えは効かない。それだけにファウルトラブルを気にしながら、2人を相手にする必要があった。
「アマカは1人、でも岐阜女子は2人。アマカのプレーも2人はこういうプレーって分かってる。難しかったけど、頑張った」
岐阜女子の2人は合計で20得点10リバウンド1ブロックを記録したが、同時に9個のファウルを犯した。アマカも最終クォーター残り3分40秒に4つ目のファウルを犯したが、ファウルアウトせずに試合を乗り切った。
アマカは彼女たちとのマッチアップについて「勝った」と話したが、「まだ終わりじゃない。来年も頑張ります。これからどんどん上にいく」と、すでに連覇を見据えている。
「今も自信はある」と言うように、アマカは高さとパワーを兼ね備え、無理にブロックショットを狙わずにタフショットを打たせるよう仕向けるなど、高いバスケIQも持ち合わせている万能なプレーヤーだ。今後はダブルチームにも屈しない圧倒的な選手になりたいと言う。
「もっと自信を持って、ドライブもできる選手になる。今はドリブルをついて2人が来たら怖い。来年は2人来ても、ドリブルもできて、絶対にシュートも決めるようになりたい」
2年生ながら大黒柱としてチームを2冠に導いたアマカ。来年はどのチームも『打倒桜花』とともに、アマカ対策を講じてくるだろう。それでも、アマカの成長速度はライバルチームの想像を超えてくる、そんな印象を受けた女子の決勝だった。