2019年も数々の熱戦を繰り広げ、多くのファンを魅了した男子テニス。そんな中、惜しまれつつ現役生活に幕を閉じた選手たちをATP(男子プロテニス協会)が特集している。今回は、そんな引退選手たちに…

2019年も数々の熱戦を繰り広げ、多くのファンを魅了した男子テニス。そんな中、惜しまれつつ現役生活に幕を閉じた選手たちをATP(男子プロテニス協会)が特集している。今回は、そんな引退選手たちに敬意を表しつつ、その生涯成績やエピソードを振り返ってゆきたい。

ATPで紹介されている、2019年シーズン限りで現役を引退した主な選手は以下の通り。(年齢は12月29日時点)

■ダビド・フェレール(スペイン) 37歳

最高世界ランク:シングルス3位(2013年)、優勝27回、通算成績:734勝377敗

■トマーシュ・ベルディヒ(チェコ) 34歳

最高世界ランク:シングルス4位(2015年)、優勝13回、通算成績:640勝342敗

■マルコス・バグダティス(キプロス) 34歳

最高世界ランク:シングルス8位(2006年)、優勝4回、通算成績:349勝274敗

■ヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア) 35歳

最高世界ランク:シングルス8位(2012年)、優勝4回、通算成績:288勝257敗

■ニコラス・アルマグロ(スペイン) 34歳

最高世界ランク:シングルス9位(2011年)、優勝13回、通算成績:397勝278敗

■ティム・スマイチェク(アメリカ) 31歳

最高世界ランク:シングルス68位(2015年)、優勝0回、通算成績:43勝85敗

■ビクトル・エストレーリャ ブルゴス(ドミニカ共和国) 39歳

最高世界ランク:シングルス43位(2015年)、優勝3回、通算成績:84勝81敗

■マルチン・マトコウスキ(ポーランド) 38歳

最高世界ランク:ダブルス7位(2012年)、優勝18回、通算成績:472勝387敗

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◆不屈の闘志でファンを魅了、ダビド・フェレール(スペイン)

身長175cmと男子プロテニス選手の中では小柄ながら、通算734勝377敗の素晴らしい成績を残した「リトル・ビースト」フェレール。強靭なスタミナと強いメンタルを持ち、約19年にわたってトッププロとして活躍した。

現役最後のグランドスラムとなった2018年の「全米オープン」1回戦では、同胞ラファエル・ナダル(スペイン)との運命的とも言える顔合わせに。この試合、脚を痛めながらもナダルからエースを奪う姿には胸を熱くさせるものがあった。

そして、現役最後の大会となった「ATP1000 マドリード」でも激しく熱いプレーを見せたフェレール。試合後には清々しい笑顔と涙が見え、観客から盛大な拍手が贈られた。そして彼は地元大会「ATP500 バルセロナ」のトーナメント・ディレクターに就任し、ATPツアーで新たな役割を担うこととなった。

◆長年トップ10で活躍、トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)

美しいフォームから繰り出される強力なサービスとストロークを武器に、およそ7年もの間トップ10に君臨したベルディヒ。2010年「ウィンブルドン」では、ロジャー・フェデラー(スイス)やノバク・ジョコビッチ(セルビア)を撃破。決勝ではナダルに敗れたものの、準優勝を果たした。

そんなベルディヒは、WOWOWのインタビューでキャリアを振り返り「僕の選手生活は歴史上最高の選手が競い合うとてもタフな時代と重なった。でも僕はこの時代に関われたことをとても誇りに思っているよ」と語った。

◆コーチとして新たな道へ、マルコス・バグダティス(キプロス)

バグダティスは2003年にプロに転向。2006年、当時世界54位で臨んだ「全豪オープン」では、アンディ・ロディック(アメリカ)らトップ10選手を破り見事準優勝。その後「ウィンブルドン」でベスト4入りを果たすと、同年8月に自己最高の8位を記録した。

引退後、女子テニス選手の世界6位エリナ・スビトリーナ(ウクライナ)のコーチに就任したバグダティス。現役時代について「思い出は沢山あるけれど、全豪は最高の2週間だったよ。テニスのおかげでとても有意義な人生になった。世界中を旅して多くの人と出会い、未来を切り開くことができたからね」と振り返った。

素晴らしい現役生活に幕を閉じた選手たち。心から拍手を送るとともに、新たな舞台で活躍する姿が見られることに期待したい。

(テニスデイリー編集部)

※写真は左からバグダティス、フェレール、ベルディヒ

(Getty Images)