凍えるような寒空の下、明大と30分×3本という特殊な条件のレギュレーションで試合は行われた。「勝ってこの後の(全国大学選手権)大学選手権に向けて流れをもっていく」とCTB宇野明彦(スポ4=神奈川・横須賀)が意気込んだように、この試合に向け…

 凍えるような寒空の下、明大と30分×3本という特殊な条件のレギュレーションで試合は行われた。「勝ってこの後の(全国大学選手権)大学選手権に向けて流れをもっていく」とCTB宇野明彦(スポ4=神奈川・横須賀)が意気込んだように、この試合に向けての選手たちのモチベーションは十分。宿敵である明大を相手に息巻く早大だったが、スクラムで主導権を握られると、前半2つの試合では明大に続々とトライを許す。3本目で何とか巻き返したものの、最終的に26-31と惜敗した。

  試合が始まると、早大は序盤からスクラムで劣勢となり、苦境に立たされる。その流れから明大が右サイドを切り開いて大きく前進すると、明大のミスもあったが、ボールは奪えず。自陣深くのスクラムを与えると、そのまま相手FW陣にインゴールをこじ開けられてしまう。その後は互いのミスやペナルティーが原因となり、スコアは動かず0-5で1本目を終える。2本目に入ると、明大のミスを利用し徐々に敵陣に侵入。流れの中からSO島本雄太(創理3=神奈川・桐蔭学園)が中央から相手ディフェンスのギャップを突くと、サポートに来たロック高吉将也(教3=神奈川・桐蔭学園)がパスを受けそのままトライを決める。直後のキックも島本が難なく成功し、7-5と逆転した。しかし、ほどなくしてタックルミスから中央を割られて失点を許すと、完全に明大にペースを明け渡す。その後計21点を与え、万事休す。7-31と大きく引き離され2本目を終えた。


チーム最初となるトライをマークした高吉

 3本目を迎え、さすがに疲れの色が見え始めた早大だが、フレッシュなメンバーに入れ替わった明大がミスを連発。そこを見逃さなかった早大は、WTB清水竜成(教2=東京・早実)が相手のキックからビックリターンを見せ、NO・8田中智幸(政経2=東京・早大学院)のオフロードパスなど上手くつなぎながら最後にはロック永瀬功太郎(文構2=東京・早実)がトライし、諦めない姿勢を見せる。以降は両チーム決定的な場面を迎えながら、ペナルティーやミスで好機を逸し、もどかしい時間が続く。早大は終盤に、スクラムで優位な状況を作り、そこからSH蒲谷勇太郎(法4=東京・早大学院)が持ち出し、そのままインゴールに飛び込む。その後も得点を挙げるなど早大は必死の追い上げを見せるも時すでに遅し。明大を前に26-31というスコアで敗れた。


追加点を挙げる永瀬

 大学選手権へよい流れを持っていくために重要なこの試合。前半はスクラムや相手の巧みな攻撃を前に為す術もなくトライを許したが、その中でも光るアタックを見せ何度も敵陣を脅かした。WTB加藤皓己(創理4=北海道・函館ラサール)が「最後まであきらめず自分にできることをやって上に這い上がっていきたい」と語るように、出場機会の少ない選手も気合は十分。チームは一体となって東京・新国立競技場の舞台、さらに、その先の景色への歩みを止めることはない。

(記事 杉原優人 写真 横澤輝、渡邉彩織)

コメント

CTB宇野明彦(スポ4=神奈川・横須賀 )※囲み取材より抜粋

――きょうの試合を振り返って一言お願いします

 勝ちきることを目標としていたので、そこを勝ちきれなかったということは課題だなと思います。

――この試合をどのようなものと捉えていましたか

 明治には今シーズン全て負けているので、Aチームが負けている分も含めて全ての借りを返すという意味で、勝ってこの後の選手権に向けて流れをもっていくというところをテーマとして意識して臨みました。

――1本目についていかがですか

 結構いい流れで最初は入れたので、しっかり体を貼ってディフェンスより前に出ることができました。また、勝負できるなという(思い)があったので、そのまま押せ押せでいきたかったのですが、自分たちのノミネートミスなどの反則で、自分たちを苦しめてしまったので、最終的には0−5で負けてしまったという流れでした。

――2本目についてはいかがですか

 2本目が一番課題がしっかり出たのかなと思います。結果が一番悪かったので、2本目で自分たちがやろうとしている仕掛けるディフェンスというのをやろうと言っていた中で、最後仕掛けきれず、相手にパスを回す余裕を持たせてしまったことが、あのような点差につながってしまったのかなと思います。

――3本目はいかがですか

 相手が変わった部分もあると思いますが、自分たちで最後勝ちきろうというところで、1、2本目負けてきたので、勝ちきることに執着できました。自分たちの1対1の勝負を相手に仕掛け続けられたというのがかなり良かったのかなと思います

――きょうの敗因は何だと考えていますか

 1対1という部分というよりかは、自分たちがきつくなってきた時にコミュニケーションのディフェンスが一番課題だと思います。

――この負けをどのようなものに捉えていますか

 自分たち下のチームは、出られる機会も限られているので、このチャンスを無駄にしないという思いで臨んだのですが、これからこの試合で自分も含め、はっきり課題が見つかったので、それをチーム全員が、自分が上がるためにできることを考えることが必要だと考えています。

――10月にCチームが明大と戦った時には歯が立たなかった印象でしたが、今回は手応えはありましたか

 自分たちは1度負けている身で失うものは何もないので、捨身というか自分たちができることをやってぶつかりに行こうという姿勢がこのような結果につながったのかなと思います。

――4年生同士でこの試合に向けてテーマ設定はされましたか

 チームとして、4年生が見せるということをやってきて、今は時期は時期ですし、4年生が見せないと下級生もついてこないという中で、まだまだ下級生に助けられる部分も多かったのです。4年生としてこの早明戦というものに執着はあるので勝ちたかったのですが、まだまだ甘いなという印象です。もっとできたなと思います。

――ウォーターボーイとしてAチームの選手がサポートしていましたが

 下のチームのことも注目してくれていることはすごくうれしいですし、チーム全員で戦っているので、早稲田の代表として負けられないなという思いはすごくあります。Aチームの選手がいることで、コーチの指示も伝えてくれるのですが、同じラグビーをやっている人間が言うことにはすごく説得力がありますし、自分たちも伝わりやすいなと思います。

――そのようにチーム全体として成長していきますか

 自分は今週にシニアカテゴリーからこの試合で落とされた立場なので、自分が落ちた分すぐ上がって結果を残すことが下の励みにもなるかなと思うので、結果を残すことに自分は執着したいと思います。1個1個のプレーで、みんながどう自分のプレーで感じるかはわからないですが、これからは自分が一番体を張ってタックルにいくということを受け取ってもらうことが一番大事です。

フランカー増原龍之助(教4=広島・崇徳)

――今回の試合の位置づけはどのようなものでしたか

 僕達下のチームでやれる早明戦は今後ないと思うので、人生で最後の早明戦ということで負けるわけに行かないという思いで臨みました。

――チーム全体として、個人としてこの試合に向けてどんな準備をしてきましたか

 チームとしては自分たちが当たり前にすべきことを当たり前にするように必ず話し合いながら、声掛けながら徹底できるように臨んできました。個人としては自分の強みであるタックルを毎日コツコツ積み重ねて試合で出せるようにしましたし、きょうは出せたので良かったと思います。

――チーム全体をどのように捉えていますか

 前半はロースコアで2本目は点差開いて自分たちが相手に圧倒されることなく戦えたのは自分たちが当たり前にすべきことを徹底してできていたからだと思います。そういう面でチーム力は上がってると思うし、一人一人の戦う姿勢ができていたと思います。

――1本目の試合は相手のミスも多く、こちらが攻め込んでも点を取れないということがありましたが、原因は明治のディフェンスが強かったことか、こちら側のアタックミスかどちらにあったと思いますか

 自分たちのミスかなという部分があって、アタックでいったら外に回す気のない部分があったりして。ポジショニングの部分でサボってしまって立ち位置がフラットになってしまって、パスが回せなかったです。自分たちがやるべきことができた時はトライを取れましたし、自分たちが当たり前にできることを徹底できなかったので相手に(点を)取られてしまいましたし、自分たちも取り切れなかった部分があると思います。

――2本目ではトライを連続して取られる場面がありましたが、原因はどこにあるとお考えですか

 疲れもあったのかもしれませんが、それよりも大きな問題としてはやるべき事をコミュニケーションをとって意識を徹底することができなかったからだと思います。特に内側をきられてトライを取られることが多くて、スナイパーが最後まで内側をフォローすることが必要条件なのですができていなかったです。

――3本目では最後にトライに持ち込みましたが、感想を教えて下さい

 相手も変わってはいるんですが、セットプレーの部分では修正できて立ち位置の部分だったりFWだったり、ディフェンスも2本目の反省生かして前に出るという話をしました。3本目ではある程度修正できて戦えたんじゃないかと思ってます。

――これからに向けて一言お願いします

 これからはチーム全体として戦わないと僕達も引退してしまうし、優勝に近づくにはAチームから下のチームまでが同じことを徹底して行っていくことが必要だと思っています。4年生が下級生に声がけしながらどれだけモチベーションを上げていけるかにフォーカスしてやっていきたいと思っています。

WTB加藤皓己(創理4=北海道・函館ラサール )

――約2か月ぶりの明治との対戦で、ケガからの復帰となりましたがいかがでしたか?

 そうですね、やっぱり4年生のこの時期という大事な時期にけがをしてしまって久しぶりに試合ができるということで楽しみにしていました。

――この試合はどういった位置づけで捉えられていましたか

 やっぱり相手が明治ということで普通の試合ではなく、自分の中でも特別な思いもありました。個人的な話になるのですが1年生の頃の新人早明戦で同点でこの四年間でどっちが成長したかという見せられる試合だったと思います。なので、ですごく思い入れのある試合でした。

――この試合に向けてどのように準備されてきましたか

 リハビリが主なのですがけが人だからといって休憩時間という感じではなくてそのなかでも自分のできることをしっかりやってきました。

――この試合を振り返ってみていかがですか

 やっぱり、4年生が多いメンバーだったので気合の入ったタックルなどはできたと思いますが、やはり結果的に負けてしまったというのは良くなかったと思います。

――相手のBKがボールを外に出すプレーをしていましたが、それに対して試合中にどのように話合われましたか

 中途半端に前に出てしまったときに外側で抜かれてしまったところがあったのでしっかり出るなら出る、出ないなら出ないで自分たちは前にしっかり出て止めようとそういうディフェンスをしようと心がけていました。

――メンバー争いに向けて一言お願いいたします

 この大事な時期にけがをしてほかのメンバーよりもやっぱり一歩遅れてしまっているところはあるのですけれどもそれでも最後まであきらめず自分にできることをやって上に這い上がっていきたいと思います。

冬季オープン戦
早大スコア明大
前半後半得点前半後半
1931
26合計31
【得点】▽トライ 蒲谷、高吉、遠山、永瀬 ▽ゴール 島本(3G)
※得点者は早大のみ記載
 

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
大平 純造文4東京・早実
 60分交代→17小沼  
長谷川 太スポ2群馬・県太田
 30分交代→16芦刈  
武田 雄多文4東京・早実
 30分交代→18安西  
永瀬 功太郎文構2東京・早実
山野 浩暉文構3東京・早実
 30分交代→19高吉  
岸野 楓教4岐阜聾
増原 龍之介教4広島・崇徳
 60分交代→20永嶋  
田中 智幸政経2東京・早大学院
 44分交代→21宮下  
藤浪 魁基理4東京・本郷
 60分交代→22蒲谷  
10島本 雄太創理3神奈川・桐蔭学園
 41分交代→23武田誠  
11加藤 皓己創理4北海道・函館ラサール
 60分交代→24池本  
12松本 悠汰スポ4大阪・天王寺
13宇野 明彦スポ4神奈川・横須賀
 51分交代→26竹下  
14佐々木 奎介社2東京・早大学院
 51分交代→27村岡  
15島田 雄大商3東京・早大学院
 51分交代→28遠山  
リザーブ
16小沼 宏太スポ2茨城・清真学園
17芦刈 太政スポ3福岡・東筑
18安西 樹法4東京・早大学院
19高吉 将也教3神奈川・桐蔭学園
20永嶋 一光スポ3福岡・修猷館
21宮下 龍樹人3茨城・茗溪学園
22蒲谷 勇太郎法4東京・早大学院
23武田 誠太郎社4島根・石見智翠館
24池本 暖人2愛知・千種
25清水 竜成教2東京・早実
26竹下 日向教2神奈川・桐蔭学園
27村岡 隆貢人3東京・国学院久我山
28遠山 拓教2東京・国学院久我山
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)