専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第236回 アマチュアゴルファーのスコアの最盛期、すなわち一番うまい時期は、俗に「50歳代」と言われています。これは、どこぞのクラブに所属して、月例競技にも毎月せっせと通って、…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第236回

 アマチュアゴルファーのスコアの最盛期、すなわち一番うまい時期は、俗に「50歳代」と言われています。これは、どこぞのクラブに所属して、月例競技にも毎月せっせと通って、熱心にゴルフの研鑽を磨いた場合です。

 さすれば、落ちた飛距離を円熟したショートゲームの技で補って、トータルではベストなスコアを叩き出せる、というものです。

 通常のアマチュアは、オジさんになると飛距離も落ちるし、子どもが私立の学校に入るとなれば、金銭的にも苦しくなり、さほどゴルフに情熱を傾けられません。

 現実とすり合わせてみると、40代ぐらいが最盛期の人が多いと思います。ゴルフはそれだけ、腕前を維持するのが非常に難しいのです。

 個人的にも、一番うまかったのは、40代後半です。一瞬、シングルにもなったし、クラブ競技でも大きな大会で優勝したし、ハンデ12ぐらいをしばらく維持していました。

 ところが、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災があって、個人的にも、世間的にも、ゴルフどころではなくなってしまいました。ゴルフ雑誌の販売部数も落ちて、ラウンドする企画そのものが減ってしまった、ということもあります。

 アマチュアゴルファーのゴルフへの情熱が回復し、ゴルフ人気が復活の兆しを見せ始めたのは、ほんと最近のことです。私自身、シブコ様のおかげで、ラウンド数も増え、ゴルフをしやすい環境になりました。昔ほどとは言いませんが、そこそこスコアもまとまるようになってきました。

 というわけで、オジさんになって、次第にゴルフ環境が変わっていく節目が誰にでもやってきます。今回は、そんな節目の検証をしつつ、これまた誰もが迎える”ジジイゴルフ”について考えてみたいと思います。

 ゴルフ環境が変わる節目の要因と言えば、まずはこれです。

(1)誘いが減る
 昔はあんなにコンペばっかりだったのに、最近はあまり誘われなくなった。そう嘆いている人が多いかもしれませんが、それは全国的な傾向です。

 かつて頻繁にあったコンペは、おおよそ名門コースで開催され、「なかなか取れないコースだから」と、3万円のプレー代を払っていましたかね。さらに、パーティー&賞品代でプラス1万円。ひとつのコンペで、計4万円くらいの出費でしたか。

 そこで、主催者が「賞品は豪華にしておいたから」と言うけれど、こっちには全然ブツが回ってこない。払い損ですよ……って、ほんと、余計なお世話だっちゅうの。

 そんなコンペも、現在では高齢化によって、解散になることはよくある話です。代わりにあるのが、コンペ仲間の葬式です。実際、今年も何回か行きましたが、つらいものです。

 この前まで元気でゴルフをしていた人が、「最近見かけなくなったな」と思っていたら、亡くなっているのですから。おかげで今や、「自分の順番はいつ回ってくるのやら」って思っています……。

 そんなわけで、コンペがなくなる一方だから、ゴルフの誘いが減り、やる機会も少なくなるんですな。

 そうすると、まもなく”ジジイゴルフ”へと突入していきます。

(2)枯れたゴルフと老いたラウンド
 ジジイゴルファーは、時にこれらを同じものと勘違いして、自分で都合よく解釈している人がいますが、大きな間違えです。

“枯れたゴルフ”とは、正確なアプローチやパッティングで、寄せワンパーを取っていく戦法で、ミドルホールなら3オン1パットのパー。そうやって、飛ばし屋の若いゴルファーをギャフンと言わせる高等テクニックです。

 一方、”老いたラウンド”とは、体力の衰えとともに、「なるべく楽をしよう」という考えによるもので、ゴルフだけでなく、生理現象にまで及びます。老いてくると、次のようなことが起きます。

・バックティーからは絶対に打たない
 もちろんレギュラーティーでも、400ヤード以上のミドルホールがあるコースは敬遠しがち。「あそこは(距離が)長いから」と、ラウンドを断ることもあります。

 ゴルフに誘われると、まずコースのヤーデージを見て、「これならイケるかも」と判断すれば参加します。ただ、実際に行ってみると、アップダウンがきついうえ、強風にさらされ、300ヤードのミドルホールが実質的には350ヤードぐらいに感じられて、あんぐりとなることがよくあります。

・動作が遅いので「4番」が定位置
 年老いてくると、ティーショットを打つ際の所作が遅くなります。ティー、ボール、マーク、帽子、グローブは大丈夫か? それら、すべてを確認するのに手間取るから、いつも「先に打ってて」と言って、”4番バッター”が定位置です。

 そうして、無事に1ホール目、「ボギーで上がれた」と言った瞬間、「あっ、スコアカード忘れた」と言うのは、お約束。さらに、3ホール目あたりで「アウトとインを逆に書いていた!?」と言うのは、もはや”鉄板芸”……って、まるでコントですねん。

・トイレが近い
 これは仕方がないのですが、歳をとるとオシッコのキレが悪くなって、なかなか終わらない。「この場所は大丈夫」と立ち小便をしたはいいけど、雫がこぼれ続けて、いつまで経っても終了できない。そうこうしているうちに、後ろの組がやって来て、慌ててホビットをしまうや、ズボンは尿漏れならぬ、ダダ漏れ状態に……。

 じゃあ、「水分を控えめに」と思うんですが、今度は脳梗塞の危険性がありますから、ほどほどに水分を補給しないといけません。困ったものです……。

 あと、大きいほうもね。だんだん堪えが効きませんから、トイレに間に合わないと大変なことになります。おかげで、名門の古いコースはやたらとトイレが多いです。お客さんがお爺ちゃんだから、トイレが近いので、余分に用意しているのでしょう。確かに、老いたらトイレが多めのコースに行ったほうがいいですね。

・連チャンは無理
 1回、ゴルフをやると、体が悲鳴をあげて大変です。腰、首、肩、腕はもちろん、最近はあばら骨がきしむ……とか。たぶん、変なスイングをして打っているから、あばら骨に負担がかかっているのでしょう。

 その結果、1回ラウンドしたら、2~3日は体を休めないといけません。だからもう、コンペシーズンで連チャンをせざるを得ない時は、もう必死ですよ。

 唯一連チャン可能なのは、南の島でのラウンドでしょうか。暖かくて、気分がハイになりますからね。誰か、タダで誘ってあげてください。




「ジジイゴルフ」まで全うできれば、最高ですね...

(3)加齢ゴルフの華麗な最終形
 では、みなさんもやがて迎える”ジジイゴルフ”の最終形というか、理想形のラウンドを考えてみましょう。

 ジジイになると、ゴルフ場に車で行くのがしんどいです。行きはまだしも、帰りは眠くなって、途中のパーキングエリアや道の駅などに車を停めて、仮眠をしないと体がもちません。気づくと、真夜中になっていて、すでに車中泊ですねん。こうなったら、電車でゴルフに行くしかないですね。

 うまく考えたジジイは、自分が持っているコースの会員権を息子にも買ってやり、行き帰りの送り迎えをさせるんですな。「微笑ましい親子ですね」なんて、コースのスタッフや他のメンバーさんは言ってくれるけど、運転手をやらされる息子は大変ですよ。

 また、ジジイになると、ラウンドそのものがきつくなります。見栄を張って、名門コースのメンバーになったはいいけど、歩き専用のコースってことが多々あります。この時ばかりは、「ゴルフは歩くもの」というブリティッシュスタイルを呪います。

 それでも、最近は歩き専用のコースでも、体力的に衰えたお年寄りには、コース内に乗り入れできる2人乗りカートの使用を認めているところが、チラホラあります。ただ、その使用料がバカ高くて……。そんなに払ってまでして……とは思いますが、そういうお年寄りは、「死ぬまでに、あと100回はラウンドできるかな」と、マジで考えています。

 お金は墓場まで持っていけませんからね。使うのは今。華麗にラウンドして、後悔のないラウンドをしていただきたいです。

 私も、あとに続きますよ~。