ブレーメンが3連敗と苦しんでいる。第14節は最下位パーダーボルンに0-1で敗れ、続くバイエルン戦は6-1の大敗。そして直近の第16節はホームでマインツに0-5と敗れた。順位も急降下し、降格圏が目の前の15位となった。 マインツ戦の前半8分…

 ブレーメンが3連敗と苦しんでいる。第14節は最下位パーダーボルンに0-1で敗れ、続くバイエルン戦は6-1の大敗。そして直近の第16節はホームでマインツに0-5と敗れた。順位も急降下し、降格圏が目の前の15位となった。

 マインツ戦の前半8分、味方のパスが相手ディフェンダーにあたって大迫勇也の足元に転がると、大迫はディフェンダーを背にしながら反転、シュートに持ち込んだ。シュートはGKにセーブされて実らず、結局、これがこの日の大迫にとって唯一のチャンスとなった。



大敗したマインツ戦に先発、69分までプレーした大迫勇也(ブレーメン)

 マインツの先制点は2分後の10分。GKからのロングボールをアダム・シャライがポストプレーでレビン・ウツトゥナリにつなぎ、ウツトゥナリはロビン・クアイソンにスルーパス。クアイソンはダイレクトでネットにボールを突き刺した。手数の少ない効率のいいゴールだった。

 その後、ブレーメンは15分、19分と自らのミスからたて続けに失点。士気が失われていくのが明らかだった。38分にはCKからクアイソンにハットトリックを許し、勝負はついた。69分、大迫に代えてクラウディオ・ピサロを投入するが、成す術もなかった。

『ビルト』紙はマインツ戦の歴史的な大敗を受けて「普通なら監督は解雇だろうが……」とした。だが、いまのところフロリアン・コーフェルト監督の立場は揺らがないようだ。

 マインツ戦後、フランク・バウマンSD(スポーツディレクター)は「いつも我々は話し合っている。この状況から抜け出せると確信している」と語り、「コーフェルトへの信頼はいまでも無限なのか?」との質問に「もちろん」と即答している。

 その一方、ビルト紙の表現によれば、「初めて」コーフェルトが公然と選手を批判した。

「自分の責任についても考えます。でも正直なところ、今日に関しては選手について話すべきで、監督がどうこうという話ではない。だれも最初からよくなかったし、これでは私はこのチームを率いることはできないです」

 バウマンSDもこの日に限っては選手に厳しかった。

「試合前やハーフタイムに選手たちは叫び、鼓舞し合っていた。だが、それはアリバイでそうしただけにすぎず、パフォーマンスで表現しないといけない」

 責任を押し付けているように聞こえなくもないが、選手に問題があることは、バイエルン戦後に大迫勇也も指摘していたことだった。

「自信を失うのが早すぎる」

 バイエルン戦のブレーメンは、アウェーにもかかわらず積極的に戦い、ボールを奪ってはカウンターを仕掛けていた。先制したのもブレーメン。24分、自陣でのパスカットから縦パスを受けたミロット・ラシカが一気に運び、ネットに突き刺しした。

 大迫勇也は2トップの一角で先発、前線で体を張り、起点になった。ツヴァイカンプフ(競り合い)で勝った数は16。67分に退いたにもかかわらず両チームでトップだった。いかに体を張ってチームに貢献していたかがわかる数字だ。

 ブレーメンは0-1としたあともペースは保っていた。だが、前半終了間際の45分にフィリペ・コウチーニョに同点弾を、前半アディショナルタイムにロベルト・レバンドフスキに逆転弾を奪われた。2点とも簡単に最終ラインの裏をとられ、巧みなシュートで決められた。とくに2点目は、最終ラインに5人がきれいに並んでいたところを、コウチーニョからの浮き玉のパスでレバンドフスキに抜け出されてしまった。

「2失点目がすべてじゃないですか。ちょっと簡単すぎました。人数は多いけど、全然マークにつけていなかった。やっぱり失点してから自信を失うのが早すぎたというか。40分くらいまではプランどおりに試合を運べていて、すごくよかったんですけど……」と、大迫は言う。

 ハーフタイムでも、落胆の気持ちは切り替えられなかった。日本人選手はよく「ドイツ人はバイエルンやドルトムントを過剰にリスペクトして、どうせ勝てないと思っているところがある」と言うのだが、後半のブレーメンはまさにそのような感じだった。前半とは違い、守備的に後ろを固めようとしたが、それもただ人数を揃えているだけで、好き放題に4点を追加された。

 コーフェルトは多彩な戦術を持ち、相手によって戦い方やシステムをガラッと変えることで知られている。大迫も「いろいろな戦い方をするのも新鮮だし、どの戦い方も攻撃的で楽しい」と言っていたことがある。だが最近は、それが空回りしているところがある。

 たとえば、バイエルン戦の大迫はすでに3-1とされた67分に交代してしまう。大迫に代わって入ったのは、レオナルド・ビッテンコートだった。

 ビッテンコートは大迫とタイプが違う。ボールを収め、起点となることができる大迫と違い、スピードで持ち込むことができるのがビッテンコートだ。この時点でコーフェルトは、前線のスピードを求めたということになる。ボールを奪ったら、とにかくボールを前線に入れてシュートまで持ち込むことを選択した。

 だがその結果、前線でボールが収まらなくなったブレーメンは、下位のチームが上位相手に見せる典型的なサッカーになってしまった。

 そもそも、こういうサッカーになると、大迫のチーム内での重要度は自ずと下がることになる。指揮官から厚い信頼を寄せられている大迫だが、連敗中のこの3試合、出場時間はいずれも70分以下だった。チームを救い、自身の立場も盤石なものにするには、攻撃の起点になりながら、得点を取らないといけない。

 12月21日、ブレーメンは年内最終戦をケルンと戦う。