大一番の天皇杯がついに開幕した。初日は吉村拓海(スポ4=埼玉栄)、松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)、米澤凌(スポ2=秋田商)、鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)、そして山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)の5人が出場した。 初めに出番を迎えた…

 大一番の天皇杯がついに開幕した。初日は吉村拓海(スポ4=埼玉栄)、松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)、米澤凌(スポ2=秋田商)、鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)、そして山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)の5人が出場した。

 初めに出番を迎えた山崎は、五輪階級ということで強敵たちがひしめくなか、初戦から全日本学生選手権(インカレ)と内閣総理大臣杯全日本大学選手権をともに優勝し学生二冠を手にした吉田ケイワン(日大)との勝負。強敵相手に力強く攻撃を重ねるも得点できず、0―9と学生王者の実力を見せつけられる結果となった。同じく1年の鈴木は今年すでに2度当たり接戦の末競り勝っている相手、伊藤朱里(中央大)との初戦に臨んだ。2点のビハインドを追いかける展開となったが、テークダウンとローリングを決め、逆転勝利。しかし、準々決勝でインカレ2位の実力者に2―6で敗北。一度1点差になったものの、引き離されてしまった。同じく70キロ級で出場した米澤は、初戦を8点差無失点で快勝したが、続く準々決勝で無得点に終わり敗北。何度も相手の足を捉えたが得点につなげることができなかった。無念の結果となったが、鈴木と米澤はともに敗者復活戦へつないだ。


準々決勝で苦戦を強いられた米澤

 早稲田最後の大会として臨んだ吉村と松本。吉村は初戦からテークダウンを重ね得点し、相手に攻め入る隙を与えず6―0で勝利。テクニカルポイントを確実に獲ってきたが、次戦ではインカレ3位の清水蛍汰(拓大)に対し攻撃に転じられず敗北。昨年準決勝まで到達したために悔しい結果となった。そして、初日で唯一グレコローマンに出場した松本は、先にパッシブを献上するもローリングを2連続で決められ失点。その後自分にパッシブからのチャンスが来たが、得点することはできなかった。得意のグラウンド技を出すことができなかったところに初戦敗退の原因があるといえる。しかし、対談で天皇杯について「思い切ってやりたい」と意気込みを語っていたが、「クリアできた」と悔いのない表情で試合後松本は述べた。


早稲田最後の試合に臨んだ松本

 吉村、米澤、鈴木の3人が敗者復活戦へとつなげることができた。3位入賞を目指して強敵たちに臨む。また、明日からは山﨑弥十朗(スポ4=埼玉栄)、梅林太朗(スポ3=東京・帝京)、臼池優月(社3=茨城・鹿島学園)、小玉彩天奈(社2=高知東)の4名が予選に登場する。強敵相手に殊勲を立てることができるか。特に山﨑は五輪階級でありかつ五輪内定選手がいない状況であるため、明治杯全日本選抜選手権優勝の高谷惣亮(ALSOK)、準優勝の松坂誠應(自衛隊体育学校)などをはじめとする強敵たちが東京五輪出場のために集まっている。目標の「優勝」を達成できるか。

(記事、写真 北﨑麗)

結果

男子フリースタイル

▽61キロ級

吉村 1回戦敗退 敗者復活戦へ

▽70キロ級

米澤 準々決勝敗退 敗者復活戦へ

鈴木 準々決勝敗退 敗者復活戦へ

▽97キロ級

山崎 予備選敗退

グレコローマンスタイル

▽97キロ級

松本 予備選敗退

コメント

松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)

――今大会を振り返っていただけますか

最後の大会ということで全力でやるというのは決めていたので、それはできたかなと思います。悔いはそこまで残らなかったです。全力が出せたかなと思います。

――対談の際に「思い切ってやりたい」とおっしゃってましたが、それは達成できましたか

クリアできましたね。

――早稲田の4年間で出会った人たちはどうでしたか

なかなか変わった人間も多くて(笑)。結構苦しい時期もあったんですけど、それがあったからこそ強くなれたし、今後も活かせるような気はしてます。

――早稲田に入ってよかったなと思った瞬間はありましたか

自分JOCジュニアオリンピックカップを3年のときに優勝したんですけど、そのときにセコンドの方見たらエンジの人間がいっぱいいて、盛り上げてくれてて、そういうときはすごく嬉しいなって思いますね。

――早稲田で精神的に追い込まれたと思ったことはありますか

1年生の頃は全然勝てなくて、半年ぐらいずっと勝てなかったんですけど、その時期は本当に苦しかったですね。何やればいいのかもうわからなかったので。そこを乗り越えられたっていうのが自分のなかで大きな価値になったと思います。

――早稲田だから成長できた部分というのはありますか

少人数というのは大きくて。重量級が一人しかいなかったというのもあって、もうやるしかないってなったのと、コーチ陣も何とか成長させようとしてくれて。早稲田の少数精鋭があったからこそ強くなれたなと思います。

――後輩たちへのメッセージはありますか

最近引退に伴って自分自身の練習が少なくなって練習の大切さがわかりました。なので後輩達には一つ一つの練習を大切に頑張ってほしいと思います。