準決勝は関西学大との対戦。今季最多の7得点を奪う猛攻を見せ、快勝。8年ぶり6度目となる決勝進出を果たした。 前半25分。先に揺れたのは自陣のゴールだった。しかし「焦ることはなかった」(中村健)。ここに至るまでに何度も厳しい状況を乗り越えて…
準決勝は関西学大との対戦。今季最多の7得点を奪う猛攻を見せ、快勝。8年ぶり6度目となる決勝進出を果たした。
前半25分。先に揺れたのは自陣のゴールだった。しかし「焦ることはなかった」(中村健)。ここに至るまでに何度も厳しい状況を乗り越えてきた。だからこそ、イレブンの気持ちが切れることはない。6分後の31分、佐藤凌がこぼれ球を押し込みすぐさま同点に。41分に中村健のFKを佐藤瑶が頭で合わせ勝ち越すと、AT2分には佐藤凌が再びゴールイン。45分の間で見事形勢を逆転させた。
サッカーという競技に簡単な試合は一つもない。3-1で迎えた後半だったが、開始直後に失点。9分にも再びゴールインを許し、あっという間に振り出しに戻された。この場面で投入されたのが小野寺と川上の4年生DFコンビ。「4年生で示してこい、という監督のメッセージだと思った」(小野寺)。明大の本領発揮はここからだった。切り口はまたまたまた佐藤凌。「思い切り振り抜けた」。図ったように目前にこぼれたボールを見逃すことなく、ハットトリックを達成。勝ち越しに成功すると、70分にゴール前の小野寺が「自身初めて」右足でシュート。77分には大会前日の負傷によりこれまで戦列を離れていた佐藤亮主将が今大会初めてピッチイン。「やるべきことは前線で走って結果を残すだけ」。〝いつものように〟期待に応え、左足で一閃。最後は小柏が豪快に振り抜き、大乱戦に終止符を打った。
泣いても笑っても、物語は残り1ページ。「ここまできたら全タイトルを狙いに行く」(栗田大輔監督)。視界に入るは3冠のみ。決勝の相手は桐蔭横浜大。全身全霊で駆け抜けた1年間を、ハッピーエンドで締めくくる。
[高野順平]
試合後のコメント
栗田監督
――試合を振り返っていかがでしたか。
「みっともないゲームをしたという感想です。心の中は穏やかではなかったですけど、今日の試合は僕の決断ミスだと思っています。相手の26番と9番の選手が入ってくることは想定していたし、前半立ち上がりに失点食らった時に4-4-2にしようかと思っていましたけど、その判断が遅れてしまいました。同点になってからすぐに変えましたが、良かったところと悪かったところが出たゲームでした」
小野寺
――同点に追いつかれた直後の難しい場面での起用は意気に感じましたか。
「あのタイミングで4年生、同じポジションの選手が同時に出るというのは粋に感じました。川上も1年間ずっと切磋琢磨してきた仲間なので、お互い試合の中で励ましたり、まわりの4年が気にかけてくれていたので、あの場面で出ることができて良かったです」
森下
――今季最多得点です。
「相手もとても攻撃的なサッカーで、僕らもどちらかと言えば攻撃的だったので、お互い相乗効果というか、相手が取ったから僕たちも取らなければいけないような、いい高め合いができた試合だったと思います。観ている人も楽しめたのではないかと思います」」
佐藤凌
――ご自身のハットトリックを振り返っていかがですか。
「3点ともこぼれ球でしたが、森下さんが仕掛けていくときやシュートを打つ時は常に狙っているので、そこでこぼれてきてくれて良かったです。大学の公式戦では初めてです。高校生ぶりですね」
佐藤亮
――次戦勝てば3冠達成です。
「最後に自分たちが勝って今年は明治の年だったなと全大学に思わせたいです。これまで自分たちが戦ってきた相手に結果で応えることしか、そういった思いというのは伝わらないと思うので、しっかり勝っていろんな大学に感謝を伝えたいと思います」